浅い海・深い海
「へえ、水族館は飲食店も並ぶ観光施設『港八十三番地』の一画にあるのか。おーっ、外壁に巨大なカニや魚のオブジェが飾ってあるよ! 入館前からわくわくするなあ」
「よし、それじゃ見学開始ね! わあ、館内は薄暗くて本当に深海みたい。最初のコーナーは、浅い海にすむ生き物と、深い海にすむ生き物の比較だよ。特徴は同じだけど、異なる水深の海で暮らす生き物を並べているんだ」
「ええと、浅い海のキリンミノカサゴは、背ビレや胸ビレがひらひらしている。でも深い海のアヤメカサゴは、ヒレが短くてギョロ目だ。同じカサゴでもずいぶん違うな」
「ほかにもアンコウやナマコなど、いろいろな生き物が展示してあるね。どれも環境に合わせて進化を続け、今の姿になったんだ」
ヘンテコ生き物
「次はユニークな姿や生態の生き物を紹介するコーナーね。うわあ、この細長い、しま模様の生物は、ヨウジウオの仲間のオイランヨウジだって。個性的でおもしろいなあ」
「こっちは工事現場のジオラマ水槽だよ。ここの主役は、砂を掘って巣穴をつくる魚、イエローヘッドジョーフィッシュ。魚が作業しているみたいで、楽しい演出だな」
「小さな土管とベンチ入りの水槽には、ヒメセミエビが隠れているよ。うーん、頭が大きくて目が離れていて、まさにセミって感じ」
「ひゃあ、干潟の水槽でミナミトビハゼが跳ねた! 魚だけど、長く水中にいるとおぼれてしまうし、胸ビレを使って、這ったり跳ねたりするんだって。変わった生き物だよね」
深い海
「実は『深海』にははっきりした定義はなくて、一般的に水深200mより深い海域をそう呼ぶんだ。このコーナーでは世界各地のさまざまな深海生物が見られるぞ」
「オレンジ色のしまを持つアズマハナダイ、陶器みたいにつるりとしたセトモノイソギンチャク…。個性派の生き物がたくさんいるね!」
「これはオキナエビか。全身に白くて柔らかい毛が生えていて、それがおじいさんの白髪にも見えるから、この名がついたんだって」
「あ、8本の足の半分以上が大きな膜で覆われたメンダコの標本だよ。時々、網にかかる生き物だけど、飼育はとても難しいんだって。でも、ここ沼津港深海水族館では孵化に成功したことがあって、世界で2例目だったそうだよ」
駿河湾大水槽
「見て。日本一深い湾、駿河湾を再現した水槽だよ! 本物の最深部は水深2500mだけど、ここでは水深300mの様子を切り取って展示しているんだね」
「おーっ、タカアシガニだ! オスは脚を広げると約4mもあり、世界最大のカニとして有名だよね。ロボットみたいでかっこいいな」
「小型だけどサメもいるよ。これはフトツノザメといって、背ビレに、太くて短いトゲを持つ種なのね。青緑に輝く目がきれい!」
「淡い紅色でアゴが大きいのがハシキンメ、背ビレに鋭いトゲが並ぶのがツボダイ、口が長く突き出ているのがサギフエか。駿河湾はいろいろな生き物が暮らす、豊かな海なんだね」
深海のプラネタリウム
「太陽の光が届かない深海だけど、光るからだを持つ生き物は多いよね。この小部屋にいるヒカリキンメダイも、そんな発光生物の一種なんだ」
「黒いカーテンをくぐって小部屋に入ると…。わあ、本当だ! 星みたいにぴかぴか光る魚が泳ぎ回っているよ! 幻想的でうっとりしちゃう」
「光っているのは、目の下にある発光器なのか。発光バクテリアが共生するこの部分を裏表に回転させることで、ヒカリキンメダイは光を点滅させているんだね」
「この光は仲間とのコミュニケーションや、敵への目くらましなどに使われている可能性が高いんだって。からだの仕組みもおもしろいね」
シーラカンス・ミュージアム
「2階の一角はシーラカンスのエリアだよ。シーラカンスは3億5000万年前からほぼ姿が変わっていない『生きる化石』。絶滅したと考えられていたけど、1938年に南アフリカで捕らえられた魚がシーラカンスだと判明したときは、世界中で大ニュースになったんだ」
「日本でも1980年代にシーラカンスの学術調査を行ったんだね。館内にあるシーラカンスの標本5体は、すべて当時の調査隊が持ち帰ったものなのか」
「すごーい、古代の海を再現したジオラマには、シーラカンスの剥製が展示されているよ。ほかにも遊泳中の映像や、CTスキャンの画像など、エリア内は貴重な資料だらけ!」
「なかでも、これが! じゃーん、世界でもここでしか見られない冷凍シーラカンスだ! -20℃を保つ専用ケースで、しっかり凍らせているんだね。近くで見ると大迫力だよ」
▲シーラカンスが発見された歴史なども詳しく紹介されているよ
名前の意味は
「空っぽ」+「骨」
生き物の名前はからだの特徴に由来するものが多いよね。「シーラカンス」という名前は、二つの古代ギリシャ語を組み合わせた造語なんだ。その意味は「空っぽの、中空の」「魚の骨、植物のトゲ」。実際にシーラカンスの尾ビレの骨は中空の構造になっているんだよ。
深海の世界
「暗く、冷たく、水圧もすさまじい深海は、まだまだ未知の部分が多い世界。ここでは模型なども使って、深海の不思議を紹介しているぞ」
「これは熱水噴出孔のジオラマだよ。水深2000m以下の海底には、こうやって熱水が噴き出す場所があったりするのね。地熱で熱せられ、水温は400℃を超えることもあるけど、その近くには、特殊なエビなどが生息しているんだ」
「おっ、ダイオウグソクムシの水槽発見! 世界最大のダンゴムシの仲間だよね。海底に沈んだ生き物の死骸を食べることから、『深海の掃除屋』とも呼ばれているんだって」
「あれっ、こっちの標本は透き通っているよ。そうか、これらは薬品で筋肉を透明化して、骨を赤と青に染めたものなんだ。アート作品みたいできれいだね」
イマーシブディープシーワールド
「ここから先は『没入型』のエリアだ。深海をイメージしたオブジェや映像がそろっていて、海の底を歩くような気分が味わえるのね」
「おっ、『剥製の海』だって。メガマウスザメやリュウグウノツカイなど、深海生物の剥製14体が並んでいるよ。見応えがあるなあ」
「わあ、この壁には深海生物のCGが投影されているよ。生き物にタッチすると、逃げたり光ったりするのね。ふふふ、楽しい!」
「最後は想像の深海世界か。巨大クラゲをはじめ、神秘的なオブジェがたくさん飾ってあるよ。ここをバックに記念写真を撮っていこう」
見学を終えて…
「さすが世界唯一の深海水族館だなあ。館内にはシーラカンスをはじめ、貴重な深海生物が大集合していたよね。どこを見てもびっくりの連続で、とても楽しかった!」
「本当だね。それに雰囲気も作り込まれていたし、駿河湾の解説コーナーや深海生物の豆知識のパネル、タッチパネルのクイズ端末とかもあったでしょ。いろいろ遊べておもしろかったよ」
「もともと沼津は底曳き網漁が盛んな地で、深海生物に詳しい漁師さんも多いんだ。そんな下地もあって、2011年に地元の水産会社が開設したのが、ここ『沼津港深海水族館』。珍しい魚がどんどん入るし、季節ごとに特別展も行うから、熱心なリピーターをたくさん獲得しているんだよ」
「ああ、わかるなあ、リピーターになる気持ち。深海は謎に満ちていて、だからこそいろいろな発見があって、おもしろい。そういうところに興味をひかれるよね」
「そのとおりだね。よし、それじゃ帰る前に、アトラクションにも挑戦していこうか。水族館の隣には、深海を舞台にしたVRアドベンチャーとシューティングライドのアトラクション施設があって、どちらもリアルな映像が大好評なんだよ」
「やったあ、今日は深海尽くしだね! ご飯も沼津の海の幸を味わっていかなきゃ」
ミュージアムショップもチェック!
2階の一角にあるショップ「ブルージュエリー」は、来館記念に寄っていきたい場所。シーラカンスやメンダコのぬいぐるみ、深海生物をモチーフにした「こまんじゅう」、靴下、トートバッグなど、オリジナルグッズがずらりと並んでいるんだ。ポップで愛らしいものが多いので、どれを選ぶか迷っちゃうかも。
INFORMATION
沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
●開館時間
10:00~18:00(最終受付17:30まで)
※繁忙期変更あり
●休館日
年中無休
※1月にメンテナンス休業あり
●入館料
大人(高校生以上)2200円
子ども(小・中学生)1200円
幼児(4才以上)600円
※65才以上の方は200円引き(証明書をご提示ください)
所在地:静岡県沼津市千本港町83
TEL:055-954-0606
交 通:東海道新幹線「三島」駅よりJR東海道線に乗り換え(5分)、「沼津」駅下車、南口よりバスで「沼津港」まで約15分、またはタクシーで約5分~10分