先史の時代 〜大地のおいたち〜
「博物館の入り口は2階で、展示室は1階なのか。階段を下りると…。実物大で再現された奈良時代の米倉があるね。この反対側が常設展示室なんだって」
「最初のゾーンは、文字を使用する前の『先史時代』だね。なるほど、北区は武蔵野台地の北東部で、約3万年前にはすでに人が住んでいたのね」
「当時の人々は狩猟民。鋭い石器を手に、獲物を捕まえて、生活していたんだ。こういうナイフ形石器は、肉も簡単に切れるんだって」
「そして縄文時代に入ると、人々は定住を開始。区内の『中里貝塚』は、長さ1㎞、幅70~100mともいわれる日本最大級の貝塚で、当時は水産物の加工を行っていたのね。貝塚の地層をはぎ取った標本もある。うーん、大迫力!」
原始の時代 〜弥生人のムラ〜
「次は弥生時代と古墳時代ね。うわあ、実物大の竪穴住居の模型だ。これは飛鳥山で見つかった弥生時代の住居の復元なんだ」
「弥生時代のポイントは、稲作が広がったこと。人々はムラをつくり、共同で農作業に励んだんだね。当時の土器なども並んでいるぞ」
「やがてムラの有力者は、豪族として巨大な古墳を造るようになったんだ。区内だと飛鳥山のほか、赤羽台や十条台にも古墳があったんだね」
「おっ、古墳に付き物の埴輪を発見! 刀や、C字形に曲がった勾玉、鉄でできた矢じりなどもある。古墳にはいろいろな宝物を納めたんだな」
古代から中世 〜水と大地の支配者たち〜
「ここからは古代から中世にかけてだね。奈良時代のころの日本は、法律と刑罰で人々を治める律令社会。地方にも「郡衙」と呼ばれる役所が置かれ、北区には『武蔵国豊島郡衙』があったんだ」
「そして、平安時代になると、律令制度は緩み、武家の豊島氏がこの北区周辺を支配。豊島氏は源頼朝に加勢して、鎌倉幕府の成立を助けたのね」
「でもその豊島氏は、江戸城を築いた太田道灌に1477年に滅ぼされたのか。道灌も9年後に上杉氏に討たれたし、中世は戦乱続き。この石造りの板碑は、人々の冥福を祈る供養塔として建てられたんだ」
「あら? 天井から下がった花笠は、王子駅の近くにある王子神社の伝統行事『王子田楽』の道具なの? この踊りは中世に誕生して、現在まで受け継がれているのね」
近世 〜名所 王子・飛鳥山・滝野川〜
「こっちは江戸時代ゾーンだよ。飛鳥山が整備されたのはこの時代。8代将軍・徳川吉宗が、享保の改革の一環として、庶民のために1200本余りの桜を植えて行楽地にしたんだって」
「あっ、文献を基にした、当時の花見弁当のサンプルだ! 煮物、焼飯、きんとん…。刺身まで入っているよ。どれも豪華でおいしそう」
「へえ。王子・飛鳥山・滝野川は、日本橋から約8kmの距離だから、江戸市中から日帰り可能な、桜と渓谷美で有名な名所として人々に親しまれていたんだ」
「江戸城から北区の『日光御成道』を通って、徳川家康をまつる、栃木県日光市の日光東照宮まで行く道筋を描いた『日光山道中図絵』のパネルも飾ってあるよ。絵図の要所に現在の写真が添えられていて、風景の比較ができるのがおもしろいな」
飛鳥山シアター
「近世」の一画にある座敷は、将軍の御座所(休憩所)だった金輪寺の内部の復元だよ。こちらはシアターを兼ねていて、王子・飛鳥山・滝野川にまつわる4本の映像が見られるんだ。スタートボタンが地元の王子の名物・玉子焼きのサンプルなのにも注目してね。
近現代 〜荒川と共に生きるくらし〜
「最後は明治時代以降か。北区は、過去に何度も地域に水害をもたらした荒川の南側。ここでは天井裏に避難スペースのある、大正時代の民家と納屋を復元しているぞ」
「わあ、地元野菜の紹介だ。北区の地名がついている滝野川ニンジンと滝野川ゴボウがあるね。明治から大正時代にかけての北区王子・滝野川には、種苗問屋が集まっていたんだって」
「お、北区の近代産業のコーナーだ。ここではその発展ぶりを、区内の地図とリンクさせるかたちで確認できるぞ」
「見て。荒川の生態系のジオラマよ! 河川敷の生き物と水辺の生き物、それぞれの姿を再現しているんだね。すごくリアル!」
見学を終えて…
「北区は歴史的スポットが多いエリアなんだね。飛鳥山自体もそうだし、展示品には『本物』がたくさん。縄文時代の丸木舟とか、貴重な実物資料がそろっていて、夢中で見て回ったよ」
「うん。実物大の復元模型も、たくさん並んでいるしね。たとえば入り口には、奈良・平安時代に周辺地域の政務を執った地方役所、豊島郡衙の正倉の復元。役人の『郡司』と、税のコメを納めに来た村人の人形も立っていて、当時の様子を知ることができて楽しかったよ」
「行楽地・飛鳥山が公園に指定されたのは、明治時代初期のこと。以降、近くにあった、明治時代の有名な実業家、渋沢栄一の邸宅を譲り受けるなど、少しずつ姿を変えていき、1998年に三つの博物館を開いたんだ。その一つが『北区飛鳥山博物館』でね。企画展やイベントも行って、郷土の魅力を発信しているんだよ」
「ああ、工作とかの体験講座もあるって聞いたよ。おもしろそうだよね。スケジュールを調べてみなきゃ」
「博物館の残り二つ、『紙の博物館』と『渋沢史料館』も気になるし、絶対にまた来ようよ」
「それがいいね。よし、じゃあ帰る前に公園内をひと巡りしていこう。ここには渋沢栄一ゆかりの旧渋沢庭園のほか、引退した都電や蒸気機関車、古墳など、見どころがたくさんあるからね」
「へえ、さすが由緒正しい行楽地ね」
「アスカルゴというモノレールのような乗り物もあったよね? あれにも乗ろうよ」
ミュージアムショップも
要チェック!
エントランスロビーの目の前には、ショップコーナーがあるんだ。店頭には企画展や北区に関する書籍をはじめ、オリジナルのバッグやボールペンなど、お土産にぴったりのグッズが勢ぞろい。博物館のマスコットキャラクター、キツネの「コン吉」の缶バッジなども扱っているので、来館記念にぜひのぞいてみてね。
INFORMATION
北区飛鳥山博物館
●開館時間
10:00 ~ 17:00
(常設展示室観覧券の発行は16:30まで)
●休館日
毎週月曜(国民の祝日・休日の場合は開館し直後の平日に振替休館)、年末年始(12月28日
~ 1月4日)、臨時休館日
●入館料
一般300円、65歳以上150円
小・中・高100円、小学生未満は無料
所在地:東京都北区王子1-1-3
TEL:03-3916-1133
H P:www.city.kita.lg.jp/museum/index.html
交 通:JR京浜東北線「王子」駅南口より徒歩5分、東京メトロ南北線「西ケ原」駅より徒歩7分、都電荒川線「飛鳥山」停留場より徒歩4分、都バス「飛鳥山」停留所より徒歩5分、北区コミュニティバス「飛鳥山公園」停留所より徒歩3分