受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

おしえてピグマはかせ

2026年5月号から転載

おしえてピグマはかせ どうして木には年輪があるの?

「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は年輪のお話です。木の幹を切った断面に現れる輪のしま模様、年輪。読んで字のごとく、1年たつごとに輪が増えていきます。この年輪は、どのようにしてできるのでしょうか。

どうして木には年輪があるの?

1年ごとに年輪の輪は増える

話者A近所の神社に大きなスギの木があったんだけど、弱っていて、枝が落ちたりしたら危険だというので、切り倒されたんだ。300年も前に植えられた木だったんだって。

話者Bへええ。300年かあ。でも、どうして300年前に植えられたってわかるんだろう?

話者A木の年齢、つまりその木が生きた年数のことを「樹齢」といって、それは年輪を見ればわかるよ。木の幹を切った断面を見ると、丸い輪が何重にも刻まれた模様があるでしょ。あれが年輪。たとえば50本の輪があれば、その木は50年間生きているということなんだ。

話者B年輪は1年に1本ずつ増えていくの?

話者Aそうだよ。木は毎年、少しずつ幹が太くなっていくよね。その成長の跡が年輪になって現れるんだ。中心に近い、内側にある小さい輪は、その木が若い時期にできたもので、外側にいくほど新しくなっていくんだ。

話者B1年ごとに少しずつ太くなっていくのね。

話者A年輪は幅が広くて色が薄い部分と、幅が狭くて色が濃い部分の繰り返しになっているよ。一般に、樹木は日差しが強い春から夏にかけて大きく成長するから、細胞が膨らんで広がる。それは色が薄く、幅が太い層として現れるんだ。この部分を「早材」というよ。日照時間が少ない秋冬はあまり成長が進まないから、木の細胞がぎゅっと詰まった細くて濃い色の層になる。この部分を「晩材」というよ。

話者B1年で「早材」と「晩材」の両方ができるんだ。じゃあ年輪は、薄い部分と濃い部分をセットで1年として数えるんだね。

話者Aそうだよ。年輪ができるのは、季節によって気候が違い、木の成長の仕方も違うからなんだ。一年中日差しが強く、季節の区別がない熱帯地方などでは、こうした違いは生まれないので、年輪が確認できない木が多いよ。木の種類によっても成長の仕方が違って、年輪が見えやすいものとそうでないものがあるよ。

話者B日本は四季があるから、年輪が見えるのね。

話者A日本では昔からいろいろな道具や仏像、建物などが木でつくられてきたよね。そこに使われた木材に年輪が出ていれば、その木材がいつ切られたかがわかるから、いつごろつくられたものかが大体わかるんだ。奈良県の法隆寺が現在残っている世界最古の木造建築だといわれるのも、柱の年輪の研究によって、お寺が建てられた年を推定できたからなんだよ。

年輪の出方でわかる過去の気候や災害

話者A年輪からわかるのは樹齢だけではないよ。年輪の幅は全部同じではなく、年によって広かったり狭かったりしている。幅が広い年は、幹が成長する時期に雨の量が多く、気温が安定していたんだ。逆に幅が狭い年は、雨が少なく、気温が低かったと考えられる。その年に寒冷、干ばつなど、木の成長を妨げる気象条件があって、幹が成長できなかったという理由も考えられるよ。

話者B年輪を見ると、その年の気候がどうだったかもわかるってことだね。

話者A長生きの木なら数千本もの年輪が刻まれているから、研究すれば、大昔にどんな気候だったかがわかるんだ。噴火や地震などの災害も、年輪を見ればわかるよ。長野県と群馬県にまたがる浅間山は江戸時代に大噴火したんだけど、周辺の地域の樹木の年輪の幅を確認すると、その時期は極端に狭くなっているんだ。これは、火山灰が直射日光をさえぎるなどして起きた異常気象の影響だと推測されている。東日本大震災の被災地の周辺でも、その時期の木の年輪を調べると、輪の幅が狭くなっているものが多いそうだよ。津波で海水が地面にしみ込んだり、地盤沈下が起きたりして、木の成長が妨げられたからなんだ。

話者B災害も年輪が記録しているんだね。

話者A年輪で過去のことがわかれば、未来に生かすこともできるよ。たとえば、年輪から森林の木の成長速度が遅くなっているとわかれば、その原因を追究して、今後の森林保護に役立てられるよね。実際、年輪のデータから過去の気候変動を探り、今後どのように地球温暖化などが進んでいくかを予測する研究が進められているよ。

話者B年輪がそんなに大事なものだなんて知らなかった。ぼくも年輪を見てみたくなったよ。

話者A大きな公園などで切り株を見つけたら、観察してごらん。

年輪の仕組み

年輪

保護者の方へ

木の樹皮の下には「形成層」という幹をつくる組織があります。ここが細胞分裂をして、そこから新しい年輪がつくられていきます。大きな公園などで、切り株や切られている枝を見つけたら、年輪を観察してみましょう。同じ太さの木でも、木の種類によって年輪の数は違います。同じ種類の木でも、生えている場所の違いで年輪の幅は違います。細い木に年輪が意外に多かったり、太い木なのに年輪が少なかったりすることもあります。周りの木と比較しながら見てみると、おもしろい発見があるかもしれません。