受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

おしえてピグマはかせ

2026年7月号から転載

おしえてピグマはかせ なぜ食べ物は時間がたつと腐るの?

「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は食べ物の保存のお話です。肉や野菜はもちろん、飲み物やお菓子、熱を加えて調理したものも、そのまま置いておくと、状態が変化して食べられなくなることがあります。なぜ食べ物は腐るのでしょうか。

なぜ食べ物は時間がたつと腐るの?

菌が増えると、食べ物の成分が変わる

話者A昨日食べたカレーを今日も食べようと思ったら、変な臭いがして食べられなかった。お母さんが冷蔵庫に入れておくのを忘れちゃったんだって。

話者Bぼくも、飲みかけのペットボトルのお茶を置きっぱなしにしておいたら、臭くなっていて飲めなかったことがあるよ。

話者Aペットボトルの飲み物も、一度口を付けたら、冷蔵庫に入れておかないと、雑菌が増えてすぐに腐ってしまうよ。

話者Bどうして雑菌が増えると腐るの?

話者Aわたしたちの身の回りには、目に見えないくらい小さな生き物がたくさんいるよ。空気中でも水の中でも土の中でも、どこにでもいるんだ。人の手や指の間にだって付いている。それが雑菌だよ。そのなかには、物を腐らせる原因になる菌があって、それが食べ物にくっつくと、その食べ物を栄養にしてどんどん増えていくんだ。そうなると、食べ物の色が変わったり、変な臭いがするようになったり、味が変わったりして、食べられなくなる。それが「腐る」ということだよ。

話者Bそんなにどこにでもいるなら、食べ物をお皿に出しておくだけで菌が付いちゃうよね。

話者A菌が付いただけでは腐らないよ。菌が食べ物の中ですごい勢いで増えて、そのせいで食べ物の成分が変わることで腐るんだ。

話者B菌はどんなときに増えるの?

話者A増えるための条件はいくつかあるよ。その一つは温度。菌の種類によっても違うけど、普通は20~40℃ぐらいの環境になると、活発に活動して、特に30~40℃ぐらいがいちばん増えやすいといわれるよ。

話者Bだから、冷蔵庫の中に入れたほうがいいのね。

話者Bそうだよ。冷蔵庫の中は2~6℃の低温を保っているから、菌の活動が鈍く、たとえ菌が付いても、食べ物は腐りにくいんだ。

「開封後はお早めに」にはわけがある

話者A水分を含んでいることも菌を増やす原因になるよ。生の魚や肉、野菜や果物は水分が多く、栄養分も豊富だから菌が増えやすいよ。

話者B「生ものは腐りやすい」って言うもんね。

話者A同じ魚でも、干して水分を飛ばして干物にしたものは腐りにくく、生の魚より長く保存ができるよ。干しシイタケもそうだよ。乾燥させた食品は腐りにくいんだ。フリーズドライの食品は、水分を取り除いて作ることによって、長く保存できるようにしたものだよ。

話者Bカップ麺の具材がそうね。野菜や肉がからからに乾いているよね。

話者Aお菓子は腐りにくそうだけど、どうなの?

話者Bあめやビスケットは、水分が少ないから腐りにくいよ。まんじゅうや大福などの和菓子は水分が多く、食品保存料が入っていない場合も多いから、早く食べたほうがいいね。

話者Aそういえば、梅干しは冷蔵庫に入れなくても長い間、腐らないよね。

話者B梅干しは塩を大量に入れて作るよ。その塩が水分を外に出してくれるから、菌の活動が鈍くなって腐りにくくなるんだ。砂糖漬けも含めて、漬物類は一般に塩分や糖分が多いから、腐りにくいんだよ。

話者A知らないで食べていたけど、乾燥させたり、漬物にしたりして、腐りにくいように工夫された食品は昔からたくさんあるんだね。

話者Bそれから、酸素があることも腐る条件の一つだよ。酸素があると、菌が増えるほかに、酸素に触れること自体が原因で食品の成分が変わる場合もあるんだ。ハムやソーセージなどは、真空パックに入っていることが多いよね。あれは酸素に触れさせないためなんだ。

話者A腐りにくくするために、容器も工夫されているのね。

話者Aパッケージに「開封後はお早めにお召し上がりください」と書かれていることがあるよね。これは、パッケージを開けて空気に触れると、品質が急速に落ちてしまうからだよ。

話者Aそうなんだ。ただ冷蔵庫に入れておけばいい、っていうわけじゃないんだね。

話者A食べ物が腐ると、病気を引き起こす菌も増えていくよ。腐った物を食べないのはもちろん、食べ物を腐らせないように気をつけることが大事だよ。特に今のような梅雨の時期は、気温も湿度も菌が増えやすい条件がそろっているから、注意しようね。

食べ物が腐る条件

食べ物が腐る条件を表すイラスト

保護者の方へ

「腐敗」と混同しやすいものに「食中毒」がありますが、この二つは違うものです。腐敗は細菌やカビなどの微生物が増殖することで、食べ物の成分が変わり、食べられなくなった状態をいいます。一方、食中毒はその原因になる細菌やウイルスが付いた食品や、有毒物質が含まれる食品を食べることで、腹痛や下痢、嘔吐、発熱などの症状が現れる病気です。腐敗とは異なり、原因になる細菌などが付いていても、見た目や味、臭いは変わらない場合が多いのが怖いところです。細菌による食中毒も気温が上がる6月から9月に多いので、注意が必要です。