受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

おしえてピグマはかせ

2026年8月号から転載

おしえてピグマはかせ なぜ海の水はしょっぱいの?

「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は海の水のお話です。海の水はなめるとしょっぱい味がします。それは塩が含まれているからです。でも、海に注ぐ川の水や、湖の水はしょっぱくありません。なぜ海の水はしょっぱいのでしょうか。

なぜ海の水はしょっぱいの?

しょっぱいのは
地球が誕生したころから!?

話者Bこの前、海に行ったんだ。波が来たときに水が口に入っちゃった。海の水はしょっぱいね。

話者B海の水には塩が入っているんでしょ?

話者A海水の中には、塩分が約3.5%含まれているよ。つまり500mL入りのペットボトルの水に、だいたい大さじ1杯(約15g)の塩を入れたぐらいの濃さだよ。

話者Bそんなにたくさんの塩が含まれているんだ。

話者A塩分のほとんどは「塩化ナトリウム」だけど、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなども含まれているよ。ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどは、「ミネラル」または「無機質」といって、骨や血などをつくったり、体の調子を整えたりするのに役立つ、栄養の素のようなものだよ。

話者Aどうして海の水にはそういうものが含まれているの?

話者Aそれは地球が誕生したころのことと関係しているよ。地球が誕生したのはおよそ46億年前。そのころの地球は熱いマグマに覆われていて、火山活動も活発で、地球全体が溶岩のかたまりみたいなものだったんだ。だから、最初は海はなかったけど、時間がたって、だんだん温度が下がって雨が降るようになると、水がたまり、やがて海ができたんだ。

話者B海の水がしょっぱい原因って、そんな時代の話なの?

話者Aそうだよ。今と違って、そのころの空気には、火山から噴き出した塩素ガスなどが多く含まれていたんだ。雨や海の水にもそうした物質が含まれていて、それが岩石を溶かす性質を持っていたので、岩石からいろいろなものが水に溶け出したんだ。ナトリウムもその一つ。ナトリウムが塩素と結びついて塩化ナトリウムができ、海の中に溶け出していったんだよ。

話者Bだから、海の水には塩が多く含まれるのね。

話者A深い海の底には熱水が噴き出す場所が今でもあるけど、大昔の地球にはそういう場所がもっとたくさんあった。そこでも岩石の成分が溶け出して、塩化ナトリウムなどができていったんだよ。

話者Aじゃあ、ずっと昔から海水はしょっぱかったってことなのね。

話者A海水がいつごろ、今と同じくらいしょっぱくなったかについては、いろいろな説があって、はっきりしていないよ。でも、何億年も前の話であることは間違いないよ。

川の水がしょっぱくないのはなぜ?

話者B川はどうなの?川は海とつながっているのにしょっぱくないよね。どうしてなの?

話者A川の水はもともと、山や森に降った雨や雪解け水だよ。それがたまって、流れて海に注いでいるんだよね。じゃあ、その雨のもとって何だと思う?

話者B雨のもと?雨は空から降るけど、空のどこから来るんだろう。

話者A雨も、もともとは海の水だよ。海水が太陽の熱で温められて蒸発すると、それがどんどん上空に上がって雲をつくり、雨を降らせるんだ。水蒸気は、水が気体になったもの。目には見えないけど、湿気として感じるよね。海水が蒸発するときには水だけが蒸発して、海水に溶けている塩分はそのまま海に残るんだ。だから、水蒸気はしょっぱくないし、雨もしょっぱくない。

話者Bだから、川の水はしょっぱくないんだね。

話者A川が流れるときに、地上の岩や土の成分が水に溶け出すことはあるよ。でも、それはごく少量だし、川には常に新たに降った雨が流れ込んでいるから、何かの成分がたまって濃くなることはない。海の水は大量にあって、そこには大昔から塩分がたまり続けているから、しょっぱいんだよ。海の水は常に蒸発していて、それが上空に上がって雲をつくり、雨を降らせ、川になって、また海に流れてくる。それを何億年もの間、繰り返しているんだ。

話者A海があるから、雨が降って川が流れる。なんか海ってすごいね。

話者Aそうだよ。塩が含まれているとはいっても、海の水はただの食塩水とは違うよ。塩化ナトリウムだけじゃなく、海には誕生したときからいろいろな物質が溶け出しているんだ。だからこそ、「生命は海から誕生した」といわれるんだよ。

海の水と川の水

海の水と川の水のイラスト

保護者の方へ

塩はわたしたちの健康に重要な役割を果たしています。人間の体には一定量の塩分が含まれ、細胞と体液の浸透圧を調整したり、筋肉の収縮を助けたりするなど、生命維持のためのさまざまなはたらきをしています。

塩は世界では、岩塩や、海水を天日で乾燥させて作る天日塩(てんぴえん)を原料とした製法が主流ですが、日本には岩塩がなく、年間降水量も多いことから、海水を煮詰めて作るのが一般的です。とはいえ、岩塩も天日塩も、もともとは海水に溶けていた塩が結晶化したもの。塩に代わるものを人工的に作ることはできません。しょっぱい海は、かけがえのない資源なのです。