蚊は唾液を残して去っていく!?
「かゆい」と思って足を見たら、赤くなっていたよ。どこで蚊に刺されたんだろう。
あんまりかかないほうがいいよ。余計にかゆくなるから。
蚊って刺されたときには気がつかなくて、かゆくなってからわかるんだよね。
どうして蚊に刺されるとかゆくなるんだろう? 痛いんだったらわかるけど。
みんなは、蚊がなぜ人を刺すか知ってる?
血を吸うためでしょ。人の血っておいしいのかなあ。
動物の血にはタンパク質などの栄養があるよ。ハチが刺すのは巣や自分を守るためだけど、蚊は血から栄養をとるために動物を刺すんだ。蚊はふだんは花の蜜や草の汁から糖分をとって生きているけど、産卵前はタンパク質が必要になるから、動物の血を吸うんだよ。
じゃあ、刺すのはメスだけなの?
そうだよ。メスの蚊の口は血を吸いやすいようにできていて、相手に気づかれないよう上手に皮膚を刺して血を吸っていくんだ。そのときに自分の唾液を皮膚に注入する。蚊に刺されるとかゆくなるのはそのせいだよ。
えーっ!? 血を吸われるだけじゃなくて、蚊の唾液が体の中に入ってきちゃうんだ。
蚊の唾液って、人間の体にはない物質だよね。人間の体には、そういう異物が外から入ってくると、取り除こうとするはたらきがあるんだ。これを「アレルギー反応」というよ。花粉症の人が花粉を吸うと、鼻水やくしゃみが出るでしょ。あれも花粉を外に出そうとするアレルギー反応だよ。この反応によって、唾液を体の外に排除しようとする。そのときに、かゆみを引き起こすヒスタミンという物質が、体の中でつくられるんだ。ヒスタミンは蚊の唾液そのものにも含まれているよ。
だから刺されるとかゆくなるんだね。
そうはいっても、アレルギー反応の出方は人によって違うから、かゆみの強さや感じ方にも違いがあるよ。
刺す針は精密機械みたいな構造
どうして蚊は皮膚に唾液を入れていくの?
蚊の唾液にはいろいろな成分が含まれているんだ。まず麻酔効果のある物質。刺されたときに痛みを感じにくい原因の一つは、この物質が含まれているからだよ。それから、血が固まらないようにする成分。血は空気に触れると固まる性質があるから、血を吸っている最中に固まらないようにしているんだ。蚊の唾液には血管を広げるはたらきがある成分も含まれていて、これを血管内に入れることで、効率的に血を吸えるようにしているんだ。
蚊の唾液ってすごいね。
唾液だけじゃないよ。針もよくできていて、刺されてもチクッとしないのは、その構造も関係しているんだ。蚊が人を刺す部分は1本の針に見えるけど、実は役割の違う7本の針の集まりなんだ。皮膚を切る役割を持つ針、血を吸う役割を持つ針、唾液を出す管の役割を持つ針などがあって、この7本を巧みに動かして血を吸っていくんだよ。そのなかに特殊なギザギザを持つ針があって、この針を小刻みに動かすことで、針が皮膚に触れる面積を小さくして、刺しても痛みを感じにくくしているんだ。
精密機械みたいだね。そんな細かい作業をしていたなんて驚いたよ。
蚊が皮膚を刺す針の仕組みは、医療用の注射針の開発に生かされているよ。ギザギザした針の構造とか、細かく動かして刺す機能からヒントを得て、糖尿病の患者さん用の注射針などが開発されているよ。注射を何本も打たなくてはならない糖尿病の患者さんにとって、痛くない注射針があればうれしいよね。
刺されるとかゆくて嫌だけど、蚊の針ってすごくよくできているのね。
刺していることに気づかれたら、すぐその場で叩きつぶされちゃうもんね。蚊も必死なんだろうね。
でも、蚊は病原体を運ぶ怖い虫であることも忘れてはいけないよ。蚊が媒介する感染症は多く、日本脳炎やデング熱、ジカ熱などは日本でも流行する可能性がある、怖い病気なんだ。蚊には刺されないことがいちばんだね。
蚊が刺すとかゆくなる原因は?
保護者の方へ
蚊に刺されると、かゆくなるだけでなく皮膚が赤く腫れたり、水ぶくれができたりすることがあります。これも蚊の唾液の成分に対して起こるアレルギー反応です。特に子どもは大人より皮膚が薄く、そうした症状が現れやすいので注意が必要です。
蚊に刺されないようにするには、蚊がいそうな場所に近づかないことが重要です。屋外のレジャーなどに出掛ける場合は、長袖・長ズボンを着用し、虫よけ剤を使用するなど、予防策を忘れないようにしましょう。