おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はボールペンのお話です。毎日の生活に欠かせない筆記具、ボールペン。ボールペンはいつ、誰が、どのようにして発明したのでしょうか。その歴史と仕組みを探ってみましょう。
ボールペンはどうやって発明されたの?
ひらめきは印刷用のインクから
| 文房具屋さんに行ったら、外国の人たちがボールペンを何本も買ってたよ。 |
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| 日本の筆記具は安くて、とても優れているから、お土産に買う外国人観光客が多いよ。 | ||
| 外国にはボールペンがあまりないのかな。 | ||
| あるけど日本ほど種類は多くないよ。日本のボールペンは、色はもちろん、書ける線の太さもいろいろで、外国製に比べてインクがにじまず、滑らかに書けるから人気なんだ。 | ||
| でも、ボールペンって、もともと外国で発明されたんじゃないの? |
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| そうだよ。ボールペンが誕生したのは1943年。ハンガリーのビーロー・ラースローさんという人が発明したんだ。それまでもボールペンのようなものは考えられていたんだけど、インクが簡単に漏れて使い物にならなかった。インクがさらさらし過ぎていたんだよ。ビーローさんは新聞社で、印刷された文字をチェックする校正者をやっていたんだけど、当時の万年筆はインクがにじみやすく、とても使いにくかったんだ。そうしたなか、ビーローさんが目を付けたのが、新聞の印刷に使うインク。新聞印刷用のインクは粘り気が強く、乾きやすいことを知り、このインクが筆記具に使えないかと考えたんだ。 | ||
| 万年筆に印刷用のインクを入れられるようにしたの? | ||
| 印刷用のインクを万年筆に入れたのでは粘り気が強過ぎて、ペン先までインクが下りてこないんだ。そこで、このインクが使えて、しかもペンの中に少量のインクを入れておける新しい仕組みの筆記具を、科学者の弟と一緒に開発したんだ。これがボールペンの始まりだよ。それまでペンといえば、ペン先にインクを付けたり、インクを吸入したりして使っていたんだ。そんな手間がいらないビーローさんのボールペンはすぐに評判になって、いろいろな会社で作られるようになったんだよ。 | ||
ボールペンにはボールが入っている!?
| みんなはどうして「ボールペン」っていうか知ってるかい? | ||
| 知ってるよ。すごく小さなボールがペンの先に付いているよね。 | ||
| よく見ているね。あの小さなボールがくるくる回ることで、細い管に入ったインクがボールの隙間から少しずつ出て紙に付く。そうやって書けるようにしたのがボールペンだよ。ちなみにボールペンには「0.5」とか「0.3」とか数字が記されているけど、これはボールペンにセットされているボールの直径の長さで、単位はmm。ボールが小さいほど書ける線は細くなり、大きいほど太くなるよ。 | ||
| へぇー。あの数字って、書ける線の太さだと思っていたけど違うのね。知らなかった。 |
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| ボールペンで大事なのは、ペン先とボールの隙間から常に均等にインクが出ること。インクが水っぽいと、じわじわ漏れて紙が汚れてしまうし、逆に粘り気が強過ぎると、ペン先までインクが下りてこない。だからインクそのものにも工夫が必要なんだ。また、ペンの先にちょうどよい隙間を作るための精密な加工技術や、使わないときにインクが乾燥しないような仕組みも必要だよ。いろいろな技術が集まってできているんだ。 | ||
| あんなに小さなところに、多くの技術が詰まっているんだね。 |
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| ビーローさんの開発から数年後には日本にもボールペンが伝わってきて、国内でも製造することになったんだ。でも最初は、良いものがなかなか作れなかったそう。日本で使いやすいボールペンが製造されるようになったのは、1950年代になってから。60年代には日本で世界初の水性ボールペンが誕生して、書きやすくて大人気になったよ。それから20年くらい後に、今度は日本でゲルインクのボールペンが開発されたよ。これは油性ボールペンのにじみにくさと乾きやすさ、水性ボールペンの滑らかさの両方の良さを持つボールペン。今ではボールペンの多くがこのタイプになっているよ。 | ||
| 書いた文字を消せるボールペンもあるよね。 | ||
| 温度が変わると色が変わる特殊なインクを使っていて、付属のラバーでこすると消えるんだよね。これも海外で人気だよ。 | ||
●ボールペンからインクが出る仕組み

保護者の方へ
日本では小学生は鉛筆を使うことが多いですが、欧米では小学生でもボールペンを使って勉強します。日本の小学生は間違いを消して書き直しますが、欧米の小学生はどこで間違ったのかを振り返って考えられるように、間違いを消さずにあえて残すのです。また、日本では古くから筆と墨の筆記文化があり、文字の書き順や「とめ、はね、はらい」を重んじます。さらに、画数の多い漢字を使うため、細部までわかりやすく書かなくてはなりません。このように、「書く文化」には違いが表れています。日本で「きれいに書く」を追求した筆記具開発が盛んなのもうなずける話です。
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