受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はシマエナガのお話です。真っ白で、まん丸のかわいらしい姿で大人気のシマエナガ。「雪の妖精」とも呼ばれる、寒さに強い野鳥です。なぜ寒くても平気なのでしょうか。

シマエナガはどうして寒くても平気なの?

冬は羽毛がダウンコートになる!?

さやかちゃん シマエナガの刺しゅうが付いた手袋、買ってもらっちゃった。
えりちゃん かわいいよね、シマエナガって。木の枝に止まっている写真を見たけど、丸くてふわふわしていて、ぬいぐるみみたいだよね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 丸くてふわふわしているのには理由があるんだよ。シマエナガが暮らしているのは北海道。冬は厳しい寒さになるよね。だからシマエナガは、冬が近づくと、寒さに備えるために羽毛が生え替わるんだ。冬の羽毛は白くてふわふわしていて、逆立てると羽毛と羽毛の間に空気をたくさんため込むことができるんだ。そうやってふっくらと丸くなって、外から冷たい空気が入りにくいようにしているんだよ。
ひかるくん なんかダウンコートみたいだね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 同じだよ。ダウンコートは羽毛でできているからね。シマエナガは冬の羽毛をダウンコートみたいにして使っているんだ。
げんちゃん じゃあ、丸くてふわふわしているのは冬だけってことなの?
ピグマはかせ そうだよ。夏と冬では見た目がずいぶん違うんだよ。夏は羽毛をふくらませる必要がないから、夏が来る前に羽毛が自然に生え替わるんだ。気温が上がり始める3~4月ごろに生え替わりが始まり、羽毛は短くなってボリュームもなくなるよ。その分、空気の通りが良くなって、冬に比べて体全体がスマートになる。色も首の回りが黒っぽくなるんだ。
さやかちゃん ふーん。夏はやせちゃうのね。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 夏になると活発に活動して、山や森の高いところを飛んでエサを探すようになるから、動きやすい体のほうがいいんだ。真っ白だと森の中で目立つから、目立たない色に変わるんだよ。夏に人里離れた山で巣を作って子育てをして、冬が近づいてエサが少なくなると低地に下りてくるんだ。
げんちゃん 冬が近づくと、羽毛がふわふわになるんだね。
ピグマはかせ 気温が下がり始める9~10月ごろになると、夏の羽毛から冬の羽毛に少しずつ生え替わっていくよ。綿毛のような柔らかい羽毛になり、体全体がふっくらして、黒かったところも白っぽくなる。体が白いと、雪が多いところでは目立たないから、敵から身を守れるよね。
ひかるくん 寒い北海道で生き抜くために、ああいうかわいい姿になるってことなんだね。
ピグマはかせ そうなんだ。冬は群れで行動して、鳴き声で連絡を取りながらエサを探すんだよ。並んで体を寄せ合っている写真を見たことないかな。
えりちゃん 「シマエナガだんご」でしょ。見たことある。10羽ぐらいがくっついて枝に止まっているんだよね。すっごくかわいいよね。

冬の北海道に行けば会える?

げんちゃん シマエナガって小さい鳥なんでしょ? げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 体長は13~14cm。その半分は長い尾で、体そのものは小さいんだ。重さは5.5~9.5g。スズメでも25gぐらいあるから、鳥のなかでもかなり軽いことがわかるよね。
ひかるくん シマエナガの「シマ」って何? 体は真っ白で、しま模様なんてないのに。
ピグマはかせ シマエナガの「シマ」は、しま模様のシマではなく、北海道のことなんだ。昔、本州の人は、遠く離れた北の島、北海道を「シマ」と呼んだ。そして、そこにすむ生き物にも「シマ〇〇」という名前をつけたんだ。シマフクロウもそうだよ。
えりちゃん シマ、つまり北海道にすむエナガってことね。エナガって鳥の名前なの?
ピグマはかせ そうだよ。シマエナガはエナガという野鳥の仲間だよ。エナガは日本では本州から九州まで広く生息している、尾の長い小さな鳥。尾は「柄」とも言って、エナガには「尾が長い」という意味があるよ。北海道にすむエナガは、ほかのエナガとは違って、寒さに適した体の特徴を持つので、シマエナガと呼んで区別しているんだ。見た目も違うよ。ほかのエナガは目の部分を横切る黒っぽい線があるけど、シマエナガにはそれがないよ。
さやかちゃん シマエナガを一度見てみたいな。北海道で見られるの?
ピグマはかせ 夏場は高い山の森や林にいるけど、冬場はエサを探して人里の方に下りてくるので、公園とか町中でも見かけることがあるそうだよ。住宅地で見つかったなんていうニュースも聞くから、運が良ければ会えるかもしれないね。

シマエナガはこんな鳥

シマエナガはこんな鳥

保護者の方へ

 鳥類には、羽毛が生え替わる「換羽」という現象が見られます。繁殖のために目立つ必要がある、飛行能力を維持する、体温を調節するなど、理由はいくつかありますが、どれも鳥類にとっては生存に欠かせない生理的プロセスです。その時期は鳥の種類によって異なりますが、多くは1年に1~2回、換羽します。たとえば、スズメはシマエナガ同様、春と秋の2回、羽毛が生え替わります。冬に太ってまん丸になっているスズメを見たことはないでしょうか。シマエナガに会うのは難しいですが、身近にいるスズメを見れば、シマエナガも同じようなことをしているのだとわかると思います。

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