さぴあ職場見聞録
テレビやインターネットで毎日伝えられる天気予報。わたしたちの生命や暮らしに密接にかかわる大切な情報です。今回、訪問したのは、自然現象の観測や、その移り変わりの予測を行い、気象に関するさまざまな情報を発信する気象庁です。実際にどのような仕事をしているのか、広報室長の深畑純一さんにお聞きしました。
自然現象の観測と予測を行い、情報を発信
データを活用して
人と自然と地球を守る
人々の暮らしを支える気象庁の仕事
風や波、降水確率、最高・最低気温、天気分布予報、週間天気予報を発表
1か月から半年先までの平均的な気温や降水量について、平年※を基準にして可能性の大きさを確率で予報
世界各地で発生する異常気象の状況の分析や、気候変動の監視・解析結果を発表
海洋観測を基に解析シミュレーションを行い、海洋の状態や今後の見通しなどを発表
航空機の安全かつ経済的な運航を支援することを目的として、各空港や上空の気象情報を提供
時には命にもかかわる熱中症について、危険性に対する「気づき」を与える情報を発表
緊急地震速報や津波警報をはじめとする、震源や震度分布など各種の地震津波情報を発表
全国111の活火山を監視(そのうち50火山を常時監視)し、噴火警報や降灰予報などを発表
※平年…過去30年間のデータから算出した平均の数値
大気や地中の多くのデータを集める
気象庁
総務部総務課広報室
室長
深畑 純一 さん
地球の大気や地面の中のさまざまな動きをいち早くとらえ、その情報を皆さんに正確にわかりやすくお伝えするのが気象庁の仕事です。予測できるものは予測して、いざというときには、大雨・台風・地震といった自然災害から身を守るための行動をとってもらいます。一方で、気象の影響を受ける多くのビジネスに対して情報を提供し、産業界に貢献するのも役割の一つです。
気象を把握するためにまず行う仕事は、大気の状態をさまざまな測定器で測る観測です。たとえば、地上では「アメダス」※で降水量・気温・湿度などを観測しています。また、気象レーダーから電波を発射して雨雲の様子をとらえたり、宇宙からは、地球より約3万5800㎞離れたところにある静止気象衛星「ひまわり」が雲の分布などのデータを送ってきたりしています。
次に、そのデータを使って予測していきます。世界各国の気象機関とも連携し、地球全体のデータを気象庁の本庁に集めています。そのデータをスーパーコンピューターに取り込んで、地球を取り巻く大気の様子を再現し、大気がどのように動いていくか予測します。そうしたデータや日々の観測データから予報官が天気を予報します。危険な状況のときには、警報や特別警報などを出して警戒を呼び掛けます。
地震と津波については、全国各地に地震計と震度計を設置して、24時間体制で監視しています。火山も常時観測しており、噴火などの前兆があれば情報を出します。ほかにも、航空機の安全運航のために、リアルタイムで細かい気象情報を提供しています。
※アメダス…自動で気象観測を行うシステム。アメダス観測所は全国に約1300か所設置されている
自然に対する謙虚さを持って
気象庁の職員は全国で約5000人。各都道府県に地方気象台などの機関があり、職員が都道府県庁などと密接に連絡を取って地域の防災を支援しています。本庁では情報を集約・分析して、予測を集中して行い、地方に指示を出す業務を遂行しています。
職種は観測や予測を行う技術職と、総務・人事・経理などの業務を行う事務職とがあり、技術職が9割程度です。ていねいな研修と現場での実践で、専門的な技術を持つ職員を育成しています。なお、気象予報士は、民間の気象会社で予報を行う際に必要となる国家資格です。
気象庁で働きたい人には、自然に対する好奇心と謙虚さを持っていてほしいですね。自然のことを勉強していると、そのメカニズムをわかったような気になってしまうかもしれませんが、実際には想像もできない現象が起こることもあります。自然に敬意を表しながら、自然への興味を広げていってほしいと思います。
全国の気象台では、気象状況を24時間体制で監視し、観測データや数値予報を基に、気象災害の防止・軽減、二次災害防止を目的とした防災気象情報、日々の生活を支える天気予報などを発表しています
「現在」の風や気温などの気象状況を基に、その時間変化をスーパーコンピューターで計算して、「将来」の気象状況を予測
◀︎スーパー
コンピューター
▲数値予報で求めた台風予想結果の例

世界中から集めた観測データや、数値予報の資料などから、日々の天気予報や特別警報・警報・注意報などの防災気象情報を作成して発表。数値予報による予測精度は年々高くなっていますが、最後に決断を下すのは経験を長年積んだ予報官です

予報官は短時間の強い雨、竜巻・突風・雷など、天候の急変に対して適切な防災気象情報を発表するため、刻々と変化する気象状況を監視しています

外国気象機関の観測データ
みずから観測したデータだけでなく、国の機関や地方自治体、外国の気象機関の観測データも収集
世界中から集めた観測データや、数値予報の資料などから、日々の天気予報や特別警報・警報・注意報などの防災気象情報を作成して発表。数値予報による予測精度は年々高くなっていますが、最後に決断を下すのは経験を長年積んだ予報官です
観測データを基に、低気圧・高気圧の位置や強さ、前線の位置などを図で示した天気図を作成



外国気象機関の観測データ
みずから観測したデータだけでなく、国の機関や地方自治体、外国の気象機関の観測データも収集

気象庁から報道機関への発表が行われている記者会見室。大雨や台風、地震などによる緊急記者会見もここで行われ、その際には記者やカメラマンが昼夜を問わず一斉に集まります

気象庁から報道機関への発表が行われている記者会見室。大雨や台風、地震などによる緊急記者会見もここで行われ、その際には記者やカメラマンが昼夜を問わず一斉に集まります
- 第40回/気象庁:
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