充実した英語教育が認められ
日本初の「IELTS認定校」に
校長 青木 謙介 先生
広野 貴校は今年7月に国際基督教大学(ICU)と高大連携協定を締結されました。その経緯を教えていただけますか。
青木 もともとICUとは、本校がグローバルコースを設立した2021年から交流がありました。高校グローバルコースの探究活動の発表の場に、ICUから教授をお招きしたり、反対に生徒たちが大学に出向いてプレゼンテーションの“出げいこ”をさせてもらったりというところから、行き来が始まったのです。ICUでは、以前から高校生向けの公開授業を積極的に開いています。そうした授業に、本校のグローバルコースの生徒が参加するなかで、教授や大学生からのフィードバックが励みになり、学習に対する姿勢に大きな変化が見られました。そこで今後も双方で交流を継続していくため、正式に連携協定を結ばせていただくことになりました。
広野 ICUには中学がありませんから、双方に良い効果が生まれそうですね。交流が盛んになれば、ICUを志望する生徒も増えるのではないですか。
青木 提携の試みの一つとして、本校の生徒向けにキャンパスツアーを実施していただくのですが、参加した生徒は全員、外国のリベラルアーツカレッジのような雰囲気に魅了されて帰ってきます。本校の建学の精神は「平和な社会の繁栄に役立つ若者の育成」です。ICUも「平和構築に貢献する人を育成する」という目的の下に設立された大学で、共通のビジョンを持っています。
広野 世界につながる大学ですから、交流を通して生徒の視野がさらに広がることが期待できますね。また、貴校は日本で初めて「IELTS推進校」に認定されたと伺いました。
青木 本校では、グローバルコースの設立時から、英語教育のなかに英語検定の一つであるIELTSを取り入れてきました。高1からアカデミック・ライティングや英語4技能のスキルアップに励み、その学習到達度を高2の12月と高3の7月に行われるIELTSの本試験で測ろうというものです。
高3のグローバルコースには現在36名が在籍していますが、そのうち海外大学の受験基準となるスコア6.5以上を取得している生徒が8名、国内大学を有利に受験できる5.5以上を取得している生徒が18名います。これらの取り組みと成果が、今回の推進校認定につながりました。
広野 高校から海外大学をめざすにしろ、国内大学進学後に留学するにしろ、IELTSは汎用性が高いですからね。
青木 高2の12月と高3の7月の本試験の結果を比較すると、生徒の半数以上はスコアを0.5~1.5も伸ばしています。一般的には「スコアを0.5伸ばすのに100〜300時間かかる」と言われていますので、ここまで力を伸ばせたことには非常に手応えを感じています。高2の春休みには、グローバルコースの集大成として、アメリカ・ボストンで投資家に向けてプレゼンテーションを行う最終発表会の場を設けています。この企画の存在も、生徒たちの英語学習へのモチベーションにつながっていると思います。
コースを超えて力を入れる
得意分野を生かした探究活動
ボストン研修でのアントレプレナー発表のほか、国内外を問わずさまざまなプレゼンテーションの機会があります
広野 グローバルコースで取り組んでいる探究活動について教えてください。
青木 アントレプレナーシップ、つまり起業家精神にフォーカスした、新しいビジネスやサービスにつながる探究活動を行っています。具体的には「落とし物と持ち主をつなぐ全く新しいマッチングサービス」「ジビエを通じた人間と自然のつなぎなおし」などです。あるチームは、小・中学生が投資について学べるボードゲーム「金融すごろく」を開発し、製品化につなげました。現在そのチームは法人化し、1セット3000円でゲームを販売しています。わたしも2セット買いました(笑)。
広野 どの探究テーマも着眼点がおもしろいですね。
青木 探究活動は、グローバルコースの生徒に限らず、中1からすべてのクラスの生徒が取り組んでいます。昨年、高2の生徒が発表した「カルシウムがザリガニに与える影響」という研究は、高校生国際シンポジウムの生物学分野で最優秀賞をに選ばれ、さらに文部科学大臣賞も受賞しました。この生徒はザリガニが好きで、中1のときから生物室に入りびたり、生体を解剖しては、カルシウムを貯蔵する胃石の大きさを細かく調べていました。その地道な成果が高い評価を受けたことは、たいへん喜ばしいと思っています。
広野 探究活動を通して、自分のアイデンティティーや個性が発揮できるというのは、生徒にとっても幸せなことですね。
青木 本校はアメリカンフットボールの強豪としても知られます。同じ教室内にアメフトのプレーヤーや、彼のようなザリガニの研究者がいて、異なる個性を互いに尊重し合い、うまく共存しているところも、本校の良さだと思います。
好調な大学進学実績を支える
“団体戦”を意識した受験指導
サピックス小学部
教育情報センター本部長
広野 雅明
広野 探究活動をはじめとする学びの充実度が、近年の大学進学実績にも表れていますね。
青木 2023年度は、東京工業大学や東京医科歯科大学を含む国公立大学に57名、早慶上理に68名、GMARCHに156名が合格し、いずれも過去最高の数値となりました。
広野 進路指導の特色はありますか。
青木 高校はグローバルコース、難関国公立コース、総合進学コースの3コース制で、それぞれの希望進路に沿ったサポートを行っています。なかでも目玉は、難関国公立コースで実施される「トップレベル講習」です。本校と佼成学園女子高校から成績上位者を集め、難関大学の入試を想定した講習を行っています。この夏休みは、佼成会の宿泊施設を借りて合宿を行いました。
トップレベル講習のスローガンは「早く行きたかったら一人で行け。遠くへ行きたかったら大勢で行け」です。これは外国の格言ですが、何事も団体戦で取り組むことで、自分の実力以上のものが発揮できると考えています。
広野 優秀な同級生はもとより、他校の生徒と切磋琢磨することで、大いに刺激を受けるでしょうね。
青木 学習サポートについては、卒業生チューターの存在も大きいと思っています。本校では、難関大学に通うOBが学習チューターとして平日の放課後8時まで自習室に常駐しています。OBが気さくに質問や相談に対応してくれるので、生徒にとっては非常に心強いようです。大学の合格発表も、教員やクラスメート、卒業生チューターと一緒に学校で確認するのが恒例です。友人の合格を自分のことのように跳び上がって喜ぶ姿は、見ているこちらも胸が熱くなります。
広野 強い連帯感が、大学受験にも生かされていますね。最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
青木 本校は「男子が大きく成長する学校」です。男子特有の成長曲線を理解したうえで、探究活動や国際教育を通じて、生徒の成長に深くコミットしていきたいと考えています。新しい時代に活躍するための資質をしっかりと磨くことができる学校ですので、大切な6年間を本校に任せていただけたらうれしく思います。