受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 早稲田大学高等学院中学部

中学受験という名の成長物語

 31年前、私は憧れの中学を受験した。得意だったはずの算数が霧の向こうに消え、本番で実力を発揮できなかった。悔しさは大きかったが、12歳で夢中になって挑んだ時間と経験は、私の人生に確かな“礎”を築いてくれた。その実感があったからこそ、息子にも中学受験に挑戦させたいという強い想いが芽生えた。

 4年生で入室して初めて気づいたのだが、息子は雑な性格で、式や筆算を省略し、薄くて読みにくい字で問題用紙と解答用紙を埋めていた。そのため算数はケアレスミスが連発し、実力を十分に発揮できていなかった。

 そんな息子を支えることになったのは“社会”だった。歴史が好きだった彼は、社会でSAPIXの仲間や先生から「すごいね」と言われた。厳しい競争を強いられる環境の中で、初めて自分はここでやっていけると思えた瞬間だったと思う。

 もっとできるようになりたい。息子は地図帳や資料集を布団に持ち込んで眠るようになった。ページを開いたまま眠る姿に、「この子は自分の力で居場所をつくろうとしている」と胸が熱くなった。その後、社会の偏差値はついに72を超えた。社会という得意教科で、居場所と自信を作れたことは大きな勝因だったと思う。

 6年生の夏休み明け、過去問に取り組むと算数が厳しい。難関中学の算数は全然レベルが違う。2~3割しか取れない。あと半年で6~7割取れるようにしなければならない現実に、焦りから泣いた日もあった。一日5時間以上、黙々と算数の難問と向き合っていた。気づけば、一人で長時間勉強できるようになっていた。「この努力がどうか報われますように」勉強している後ろ姿を見ながら祈った。

 そして、本番1か月前。31年前の私を打ち砕いた算数の入試問題を国会図書館で見つけ、お願いして親子で挑戦した。数か月前なら歯が立たなかったであろう、私にとって因縁の試験問題で、息子は高得点を取り、あっさりと私を超えていった。式や考え方を、まるで高校生のようにしっかり書き、難問を解いたノートは3年前とは見違えるものになっていた。

 2月1日。今までの軌跡を思い出しながら保護者待合室で待っていた自分のところへ、息子が戻ってきた。開口一番「絶対受かっているから、安心してね!」。前日は不安で叫んでいた息子から告げられた。励まそうと思っていたら、逆に親を励ました息子が心も成長したのだと実感した。最終的に受験は全勝という素晴らしい結果で幕を閉じることができた。

 中学受験という厳しい競争のなか、何度も壁にぶつかりながら、成長し、自分で合格を掴み取った息子に、心から敬意を表します。

 SAPIXは、失われた数十年といわれる日本のなかで、優秀な人材を絶えず輩出させているすばらしい塾だと思います。SAPIXの先生方、プリバートの先生方、そして共に戦った仲間たちに、心から感謝しております。本当にありがとうございました。