さぴあインタビュー/全国版
創意工夫があふれる
先進的・先導的な教育を通じて
未来を強く生き抜く力を育む
筑波大学附属中学校 校長 水上 勝義 先生
深い内省、幅広い興味を促す
伝統の「ホームルームアワー」
神田 水上先生は昨年の4月に校長として着任されましたが、学校や生徒の雰囲気などについてどんな印象を持たれましたか。
水上 優秀な生徒が集まっていることはすぐに感じましたが、伸び伸びと楽しそうに学校生活を送っているのが印象的でした。それぞれが自分の考えを伝え、互いに協力しながらさまざまな活動に取り組んでいく、そうしたところも「自治」の良さが浸透していて感動しました。
神田 自治活動は、貴校を語るうえで欠かせないものですね。
校長 水上 勝義 先生
水上 ふだんの学校生活のなかに自分たちで考える場面、自分たちで意見を出して決めていく場面が多くあります。生徒たちの活動をあまり制限しないかたちで試行錯誤させ、その分、責任を持たせます。教員はそれを見守りながら、時にはアドバイスをしたり方向修正をしたり、そうしたプロセスを経て豊かな人間性を養ってほしいと考えています。
神田 人間性を養う場として、道徳と特別活動を発展的に融合させた「ホームルームアワー」という授業があると伺いました。
水上 ホームルームアワーは1974(昭和49)年から行っているもので、教科書などの教材を使って学ぶだけでなく、さまざまな活動を通して道徳的な心を身につけることをめざしています。学級単位のほか、学年全体、学校全体でも活動できるように時間が組まれています。
本校では行事が終わると、必ず振り返りを行います。運動会、学芸発表会(文化祭)、学外での学習でも、「あのときはこうだったね」「もっとこうすればよかったかも」などと振り返ると、道徳的な内省につながります。講演会などもそうです。そこから発展させて道徳的な学びにつなげます。たとえば以前、東京パラリンピック競泳の金メダリストの木村敬一さんに講演していただいたときは、生命尊重論に関連づけながら進めていきました。
上/卒業生が設計した桐陰会館の大講義室。授業をはじめ、講演会や発表会などで利用されています
下/桐陰会館には和室や茶室もあります。部活動のほか国際交流にも使われます
神田 講演というと、かつてはイギリスの首相だったマーガレット・サッチャーさんも訪れたことがあるそうですね。外国の要人、あるいは国内で大きな影響力を持つ方々がたくさん来られ、生徒にはとても良い刺激になりますね。
水上 さまざまな分野の方が来てくださいます。ロケット開発で有名な植松電機の社長が北海道から来てお話をしてくださったこともあります。卒業生の力を借りて南極教室を開いたこともあり、その際は南極と本校をオンラインでつないで、隊員の方と質疑応答をしました。先日は数学の教員が音楽クリエイターのヒャダインさんをお呼びして、「クリエイティブ・シンキングはどこから出てくるのか」をテーマに2時間の授業を行いました。これは3年生の総合学習のコースの一つとして行ったもので、ヒャダインさんと生徒がアイデアを出し合いながら曲を作り、テーマの「創造性」について肌で感じられる深い内容になりました。そうしたかたちで、教員がおもしろい授業をいろいろ企画しています。教員自身が「知りたい」「やってみたい」と思うことを、「おもしろいから生徒にもぜひ伝えたい」という発想で行っています。
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