さぴあインタビュー/全国版
中高大10年間を見据えた教育で
世界に貢献できる
「第一級の人物」をめざす
明治大学付属明治高等学校・明治中学校 校長 井家上 哲史 先生
校則の是非もみんなで議論
受け継がれる「独立自治」の精神
校長 井家上 哲史 先生
神田 先ほどお話が出た鵜澤先生は、明治・大正・昭和の三つの時代にわたって活躍された法学者です。生徒たちには「第一級の人物たれ」と話されていたそうですね。
井家上 本校では校訓の「質実剛健」と「独立自治」、そして鵜澤先生が語った「第一級の人物」という三つのことばを大切にしています。鵜澤先生はこのことばを通して、学問だけでなく教養人としての立ち居振る舞いや礼節などを身につけてほしいと願っていました。校訓の「質実剛健」には、第一級の人物としての資質を持ち、誠実で心身ともにたくましく健やかに成長して、社会のリーダーになってほしいという願いが込められています。「独立自治」は明治大学の創立者の一人である岸本辰雄先生の思想によるもので、私学の雄として学問の独立を保ち、互いに協力しながら問題解決を図っていこうという精神を表しています。そのためには、基礎学力をきちんと身につけさせるとともに、中学からの6年間、あるいは高校からの3年間できちんとした人物に育てていきたいと考えています。
神田 「独立自治」といっても「何でも自由な学校ではない」と学校紹介にも書かれています。これはとても大切なことだと思います。自由をはき違えることなく、社会人としてのルールをきちんと守っていく。そして他者に対する礼儀、あるいは他者をリスペクトする心を持つ。そうでなければ、社会に出たときに一人前の人間として認められません。
上/人工芝の張り替えが終わり、新しくなったグラウンド。この日はサッカー部が練習していました
下/校舎のエントランス部分は、2階までの吹き抜けになっており、広々とした空間が広がっています
井家上 時代が急激に変化している今、難しい部分はあります。たとえば、本校では女子の髪は「肩につくようになったら結ぶ」とされています。でも、このルールは廃止してもいいのではないかということが、昨年から全校的な議論になっています。もともと、こうしたルール作りは生徒の請願から始まったことで、生徒会が中心になって、生徒にアンケートをとって請願書という形でまとめてきました。それを受けて生徒指導の教員たちが会議をして、生徒たちと話し合いの場を設けて議論をしています。まだ方向性は固まっていませんが、どうしたら本校の「質実剛健」「独立自治」に沿ったものになるのかを、みんなで議論しながら決めていこうとしています。
神田 まさに自立と自律の両方を生徒たちが理解していないと、先生方に請願書は出せないと思います。
井家上 そうですね。生徒たちがみずから「こういうルールが守れていないのに、そういう要求をするのはおかしいよね」といった議論を大事にしながら、みんなでルールを作っていくということです。
神田 そうした事例一つをとっても、110年を超える歴史のなかで、「独立自治」の精神を守り続けてきたことがよくわかります。
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