子育てインタビュー
毎日が楽しくなる子育て法をアドバイス

「子育てを学ぶ」環境があれば
親子はもっと幸せになれる
「お母さんが笑顔で楽しく暮らしていれば、子どもは健やかに成長していく」という理念の下、子育てに悩む母親のために、オンライン講座の実施やコミュニティーの運営などを行っている組織があります。今回は、一般社団法人sunnysmile(サニースマイル)協会 代表理事の工藤いずみさんにインタビュー。協会を設立した経緯や活動内容、親子が笑顔でいられる子育て法などについて語っていただきました。
声掛けの方法を変えるだけで
子どもの力は大きく伸びる
広野 工藤さんの著書『イラッとした時の怒り言いかえ手帖』(総合出版すばる舎)にも、声掛けの大切さが紹介されていますね。
工藤 この本では、子どもを伸ばすさまざまなフレーズについて説明しています。育児書を手に取る方は、真面目で自分を責めてしまう傾向が強いように思います。怒ってしまった後に、「またやっちゃった」「わたしってダメだな」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。そんな方に、この本で紹介した声掛けの方法を試し、ことば一つで子どもがどう変わるのか、実感していただきたいと考えています。ただし、紹介したすべての方法を覚えて実践しようとすると、しんどくなってしまいます。まずは一つだけ覚え、これまでの声掛けの仕方を変えてみてください。子育てに悩む母親の皆さんに、本書をきっかけにして声掛けの大切さを考えるようになっていただけたら、うれしいですね。
広野 たとえば、先ほど話題に上がった、子どもがやりたいことと親がやらせたいことが一致しないときは、どのように声掛けをするといいのでしょうか。
工藤 子どもには、親が眉をひそめたくなるようなことに夢中になる時期がありますよね。それを「そんなこと、やめなさい」と禁止するのではなく、「何をやっていたのか、教えて」という声掛けに変えてみるのです。子どもはきっと「興味を持ってくれた」とうれしくなり、一生懸命に説明してくれるはずです。そうすると、いい親子関係が築けて、こちらのことばも届きやすくなります。そのうえで、「時間を決めて遊ぶと、ほかにいろんなことができるよ」などと話を進めていってはどうでしょうか。
子どもの意思を尊重し
ことばを引き出すことが大事

広野 発達心理学では、中学受験に取り組む10歳から12歳は、どういう時期とされているのでしょうか。
工藤 小学4年生前後になると、多くの子どもが学校や家庭生活のなかで大きな変化に直面します。この時期、いわゆる「9歳の壁」を越えると、相手の気持ちを理解し、それをことばで表現できるようになり、大人に近い存在になっていきます。幼いうちは多くの場面で親のフォローが必要でしたが、この時期からはわが子を一人の人間として尊重することがとても重要になってきます。志望校を決める際などに親が主導することもあるでしょうが、できるだけ本人の意思を尊重していただきたいと思います。
また、この時期に自己肯定感の基盤をしっかりと築くことも大切です。13歳ごろになるとアイデンティティーが一時的に揺らぐことがあります。進路について考え始めたり、感情のコントロールが不安定になったりする年頃で、「自分は何のために生きているんだろう」と悩み、不安定な状態に陥りがちです。不登校が増えるのも、この時期が多いようですね。そうなる前に、「自分はどういう人間なのか」「何が好きで得意なのか」「誰に愛されているのか」といったことを自覚できる状態にしてあげることが大事です。
広野 小学校高学年になると、家庭のルールを破ったり、問題集の答えを丸写ししたりして、保護者の方を悩ませることがあります。そういったときは、どんなことば掛けが必要でしょうか。
工藤 年齢にかかわらずいえることですが、大人からみて「悪いこと」でも、子どもは悪意があってやったのではなく、好奇心がきっかけだったり、役に立ちたいと思ってやり過ぎていたりすることがほとんどです。それなのに、「なぜ、そんなことをしたの」と問い詰めると、子どもは委縮して心を閉ざしてしまいます。「なぜ」を「何」に置き換えて、「いったい何があったの」「何を思ってこれをやったの」「何を伝えたかったの」と問い掛けてみると、子どもの思いが聞けるかもしれません。子どもは語彙力が十分ではないので、じっくりと耳を傾けることが必要です。
広野 やったことを頭ごなしに否定せず、子どものことばを引き出しながら、その理由を一緒に考えるというわけですね。そうした会話のなかから、自分がやったことがどんな結果を引き起こすのか、自分で気づかせることもできそうです。
最後に、中学受験に取り組む保護者の方に応援メッセージをお願いします。
工藤 受験という目標があると、お子さんにこうなってほしい、ああなってほしいと期待して、それがかなわないと不安になったり、自分を責めたりして、しんどい思いをすることもあるでしょう。でも、保護者の方がしんどいと感じていたら、お子さんも必ずしんどくなってしまいます。そうならないように、受験生活のなかで「楽しい」とか「ワクワクする」ものをお子さんと一緒に見つけていただきたいと思います。一緒に乗り越えていく、一緒に良い方向を見つけていくという視点から伴走者としてかかわると、受験生活がポジティブなものになるのではないでしょうか。
広野 「この問題、ママも解いたけど難しかったわ」「あの学校のあのクラブ、ママも入ってみたい」などとことばを掛けて、お子さんを支えていただきたいですね。本日はありがとうございました。
| 一般社団法人sunnysmile協会 | |
| sunnysmile協会は、「育児に疲れたママに笑顔になってもらうための団体」です。毎日が楽しくなる子育て方法をオンライン講座などで伝授するとともに、母親同士のコミュニティー運営をサポート。「子育ての知識を仕事に生かしたい」という母親には在宅ワークの方法も教えています。同協会のホームページでは、開催講座やイベントの情報、子育て経験談などが閲覧できます。 | |
- 26年1月号 子育てインタビュー:
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