Booksコーナー
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Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。
『アメリカから来た友情人形』
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- ◆今関信子=作
- ◆双森文=絵
- ◆新日本出版社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
校長先生は言った 「これは憎い敵の人形だ。みんなで焼こう」と
早希が通う滋賀県の小学校には、メリーとナンシーという二つの人形が学校の宝物として大切に保管されています。人形は1927年にアメリカから日本に贈られたものです。アメリカと日本の子どもたちの間に友情を育てるために、たくさんの友情人形がアメリカから届き、日本全国の小学校や施設などに配られたのです。それからおよそ100年。現在、人形は数えるほどしか残っていません。人形たちはどこに行ったのでしょうか。早希たちは平和学習の一環として友情人形について調べることになりました。
当時、アメリカから贈られた人形は1万3000体近くもありました。その多くは、アメリカの子どもたちがお小遣いを出して買い、服を作って着せたものです。ところがアメリカとの間で戦争が起きたため、日本に来たほとんどの人形が敵国のものとして、焼かれたり壊されたりしました。そんななか、戦後、全国でほこりをかぶった人形が何体か発見されました。人形を守ろうとした人たちがいたからです。
アメリカに渡った日本人移民への差別、世界恐慌、満州事変、そしてアメリカへの宣戦布告。主人公たちの調べ学習を通じて、戦時中の子どもたちの生活や人々の考え方が浮き彫りにされていきます。激動の時代に人形たちがたどった運命が、戦争のむなしさ、平和の尊さを強く訴えます。
『けんちくってたのしい!
たてものとそざいのぼうけん』-
- ◆隈研吾=監修
- ◆たつみなつこ=絵・文
- ◆KADOKAWA=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
「くまさん」は考えた、みんなが喜ぶ建物にしたいと
高知県の「ゆすはら雲の上の図書館」は、地元の杉材で建てられたすてきな図書館です。小学生のいつきとひかりは、ここで知り合った「くまさん」に、建物めぐりに連れていってもらうことになりました。訪れたのは美術館、公園、駅など。木以外に石や土、布などいろいろな素材が使われていて、2人はびっくりします。
世界的建築家の隈研吾さんと共に、隈さんが設計した建築物をめぐります。「こんな建物にしたかった」という隈さんの考えも紹介。使う人への思いとアイデアを形にした、建築のおもしろさが伝わってきます。
『水のはなし
水をめぐる冒険の旅へ』-
- ◆オリガ・ファジェーエヴァ=文・絵
- ◆横山和江=訳
- ◆鈴木出版=刊
- ◆定価=2,200円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け
もっと知ろう、考えよう、命を支える「水」のこと
地球の表面の約70%は水で覆われています。陸地にも川や湖があります。人々は川を使って海に出て、他国と交流してきました。その海には多くの生き物がすんでいます。わたしたちの体の中にも水があります。人間の体重のうち水分の占める割合は訳3分の2もあるのです。
海や湖、川、地下水、虹、雨、水が多い土地と少ない土地、古代の水の入手方法、現代の水の使われ方と守る方法など、水にまつわるさまざまな話を詰め込んだ、ロシアの自然科学絵本です。見返しにある一口知識やエピソードにも、おもしろい話がいっぱいです。
『青春サプリ。
─新しい一歩を踏み出す』-
- ◆青木美帆=文
- ◆くじょう=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
ぼくの人生の中心には いつもバスケがあった
バスケットボールが大好きな匠は、中学でも迷わずバスケ部を選択。キャプテンとしてチームを引っ張り、高校でもバスケ部のキャプテンになります。でも真面目な匠は、ふざけ合う部員たちの輪に入れず、言いたいことも言えません。キャプテンなのにチームをまとめられない…。もやもやした気持ちが膨れ上がっていきました。
中学から大学までバスケ一筋だった主人公が、責任感の強さから心の病にかかり、回復していく姿を描きます。実在の若者をモデルに、10代の悩みと成長を描く読み物シリーズの最新巻です。
『自分ゴトとして考える難民問題
─SDGs時代の向き合い方』-
- ◆日下部尚徳=著
- ◆岩波書店=刊
- ◆定価=1,089円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
日本にも苦しむ人がいる 理解して考えてほしい
世界には紛争、差別、迫害などの理由で故郷を追われた人がたくさんいます。そうした人々の数は現在、1億2000万人に達します。そのうち国外に逃れた人を「難民」といいます。ただ日本にいる難民は少ないため、大きな関心事にはなっていません。それでいいのでしょうか。
なぜ難民になるのか、なぜ難民の受け入れは難しいのか、どうしたら難民問題は解決できるのかについて、ミャンマーから来た少数民族のロヒンギャの少女を例に、わかりやすく説明します。彼女の中学校生活の話は、難民が身近な存在であることを教えてくれます。
『ガールズ・スクール』
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- ◆いがしん=著
- ◆文芸社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:保護者向け
生徒に期待するのは 未来への希望を探すこと
学校は子どもにとって重要な場所であるように、先生にとっても笑いあり涙ありの真剣勝負の毎日を送る場です。そんな自身の教員生活を、46年間、中学・高校の生徒たちと接してきた女子校の元副校長が振り返ります。
学校選びの話をはじめ、担任として、美術教師として、また部活や生徒会の顧問として、生徒と接してきた熱い日々のエピソードはどれも、子どもたちの学校での姿を知る参考になります。特に授業の話は圧巻で、「ここまで考えているのか」と驚くほど、人を育てる本質的な教育をしてきたことに感銘を受けます。
『博士の愛した数式』
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- ◆小川洋子=作
- ◆新潮社=刊
- ◆定価=693円(税込)
数学のおもしろさと 人を思いやる温かさ 心を豊かにする物語
下高井戸校 校舎責任者主人公の「私」は、元数学者の「博士」の家に通う家政婦です。博士は記憶を80分しか維持できません。80分たつとそれまでのことを忘れてしまうのです。博士にとって、常に初対面の「私」に、博士はいつも電話番号や誕生日を聞きます。主人公の誕生日は2月20日、つまり220です。一方、博士の腕時計には284という数字が刻まれています。学長賞を受賞した際の記念の腕時計で、284番目の授賞を意味します。220と284。二つの数をどう思うか聞かれて困惑する「私」に、博士はていねいに説明します。220の約数を全部足すと284になり、284の約数を全部足すと220になるのです。こうした数を「友愛数」といい、めったにない組み合わせです。「君の誕生日とぼくの手首に刻まれた数字が見事につながっている」と、博士は感動して言いました。
物語にはこうした話がたくさん出てきます。算数が好きな人なら、そのおもしろさを知ってさらに興味が湧くと思います。わたしは算数を教えていますが、おもしろい数の話などをすると皆さんが「すごい!」と言ってくれるので授業が楽しく、そういうときのわくわく感があると思います。
また、心情表現が豊かで、登場人物のやり取りを通して温かい気持ちになれるので、算数が苦手な人にもお薦めです。特に主人公の息子が登場する場面では、10歳の少年が記憶を失ってしまう博士を思いやってあれこれ考える場面が描かれ、その優しさが胸を打ちます。
算数や数学にはいろいろな発見があります。勉強としてただやらされるだけではもったいないです。この本を通して楽しさを知って学んでほしいと思います。
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