受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 出版社

 お気に入りの本を持っているという小学生は多いのではないでしょうか。さまざまな分野の本や雑誌を制作し、書店で販売するまでの仕事を行うのが出版社です。今回は、皆さんになじみのある児童書を数多く出版している偕成社を訪問。実際にどんな仕事をしているのか、販売部プロモーション担当の宮沢香織さんにお聞きしました。

作家など多くの人と協力して本を制作
企画から販売までの仕事を担う

子どもたちに愛される本を出版する偕成社
子どもたちに愛される本を出版する偕成社

日本でいちばん売れている翻訳絵本であり、誰もが知っているエリック・カール作の『はらぺこあおむし』、世代を超えて愛され続けている「ノンタン」シリーズ、五味太郎さんの絵本などをはじめ、数々の人気の児童書を出版する偕成社。2026年は『はらぺこあおむし』の刊行から50周年、「ノンタン」シリーズの刊行から50周年を迎える記念すべき年となり、それぞれの絵本を特集した展覧会も予定されています

さまざまな部署が出版にかかわる

株式会社偕成社
販売部
プロモーション担当
宮沢 香織 さん

 本や雑誌などを制作し、印刷会社や製本会社と協力して出版物として完成させ、取次会社を通して書店に本を卸し、売っていただくのが、出版社の基本となる仕事です。偕成社は1936年に創業され、戦後から児童書専門の出版社となりました。創作絵本や読み物はもちろん、海外の児童書を翻訳したもの、学校の図書館に置く学習資料も出版しています。

 出版社といってまず思い浮かぶのは、編集の仕事でしょう。本を企画し、作家さんなどと一緒に作る出版社の要となる仕事です。一方で、本を形にして販売するためには、さまざまな部署が必要になります。紙を仕入れたり、本の印刷や製本を手配したりする製作部、書店や学校に営業を行う販売部などが挙げられます。出版社は本を作って売るまでが仕事なので、販売部も大切な役割を担っています。また、商品の在庫と物流を管理する商品管理部では、本の売れ行きを確認して、重版の時期や部数を決めます。そのほか、テレビやラジオで紹介したい、朗読したいといった本の二次利用の依頼に対応する著作権管理の仕事、グッズなどの商品化希望に対応する仕事もあります。

 わたしはメディアに向けて情報を提供したり、読者に向けてSNSなどで発信したり、書店で使用する販売促進用の看板やPOPなどを制作したりするプロモーションの仕事を担当しています。営業チームとともに、新刊の宣伝のほか、作家さんやシリーズの書店フェアの企画なども行っています。

※重版…すでに出版された書籍を同じ内容で再び印刷すること

子どもたちが本と出合うきっかけを

 時代の流れに伴って、本の在り方も変わってきているかと思いますが、わたしたちは1冊でも多くの本を、1人でも多くの子どもたちに届けたいという思いで仕事をしています。どんな入り口でも構わないので、本を手にとってもらえたら…という気持ちが強くあります。子ども時代に読んできた本は、その人を形づくるものだと思います。児童書は大人が読んでも楽しく、久しぶりに読んだときに、子どものときとは違った感情が湧き出てくることもあります。生涯にわたってその人と伴走できるジャンルの書籍に携われることは、大きなやりがいだと感じています。

 出版社で働きたいという子どもたちには、児童書に限らず「本が好き」という気持ちが大事だと伝えたいです。「これが好き」と思ったら、とにかくのめり込んでみると、気づいたら次の道につながっていることがあると思います。本を通じて貪欲に吸収した記憶や経験を積み重ねること自体も、どこかの場面で必ず生きてくるのではないでしょうか。

出版社の主な部署

編集部

偕成社では、一人ひとりの編集者が幅広いジャンルの本を手掛けています。学校の図書館に卸す学習資料と絵本を並行して作ったり、専門家と協力して生き物など興味のある分野の本を作り上げたり、編集プロダクションと一緒に制作したりと、さまざまな方法で仕事を進めています。自由度が高く、編集者の裁量に任されているのが特徴です

販売部

書店や学校の図書館に営業活動を行うのが販売部の仕事です。書店の担当者に新刊を紹介したり、フェアの企画を考えたり、全国にいる「セレクター」と呼ばれる営業活動の手伝いをしている方々に情報を伝えたりします。全国の学校への営業では、ほかの児童書の出版社と協力してエリアを分担し、自社の本とともに他社の本も紹介しています

出版社の主な部署

偕成社では、数多くのバリアフリーの書籍も手掛けています。スウェーデンの写真家が視覚障がい児を撮影した本を1977年に翻訳して発行した『指で見る』を皮切りに、障がいがある人を理解するための絵本などを出版。「ノンタン」などの人気の絵本の点字付きの触る絵本も刊行しています。文章を点字にしているだけでなく、ノンタンや車の形が浮き出る印刷が施され、触ると描かれている絵もわかるようになっています

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