さぴあ職場見聞録
株式会社偕成社
編集部
中嶋 千夏さん
前半ページでは、本を企画してから販売するまで、さまざまな部署がかかわっている出版社の仕事の内容やその役割を紹介しました。ここでは、実際に絵本や読み物の編集に携わっている編集者の中嶋千夏さんにご登場いただきます。どんな仕事をしていて、どういうときにやりがいを感じているのでしょうか。
株式会社偕成社
編集部
中嶋 千夏さん
Qどんな仕事をしているの?
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『しゅんしゅんブタくん』は中嶋さんが手掛けた最新の作品です。主人公のブタくんが鼻をしゅんしゅん吸っていたら、鼻になってしまったというシュールなストーリーが展開されます。『とっきゅうれっしゃがやってくる!』は特急列車の「音」に着目した絵本。表紙の裏には全国の特急列車の一覧も載っており、細部にまでこだわって作りました。
中嶋 偕成社に入社して4年になりますが、最初の2年間は企画の種をまくことが主な仕事でした。いろいろな作家さんに「こんな企画をやってみませんか」と声を掛けて打ち合わせをしたり、実際にラフ※を書いてみて、企画会議で採用してもらえるように形を練ったりすることから始めました。ルーティンワークがほとんどないのが編集者の仕事の特徴です。ラフの段階から、印刷会社に渡す最終段階になっている本まで、企画が通ったものだけで10冊ほどを1人の編集者が担当しています。
たとえば、『しゅんしゅんブタくん』という絵本は、文と絵を別々の人が担当しています。ブタくんが鼻になってしまうという作家さんの話をおもしろく伝え、さらにインパクトがあって目をひくように、下描きの段階から画家さんと何度も相談して絵を作り上げました。『とっきゅうれっしゃがやってくる!』は、乗り物の絵本が得意な作家さんに「電車の音をテーマに作りませんか」とお声掛けして実現したものです。
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『しゅんしゅんブタくん』は中嶋さんが手掛けた最新の作品です。主人公のブタくんが鼻をしゅんしゅん吸っていたら、鼻になってしまったというシュールなストーリーが展開されます。『とっきゅうれっしゃがやってくる!』は特急列車の「音」に着目した絵本。表紙の裏には全国の特急列車の一覧も載っており、細部にまでこだわって作りました。
Q仕事のやりがいは?
中嶋 仕事をするうえでめざしているのは、おもしろいものを作ることです。しかし、おもしろさは人によって違うため、自分たちがそう思うものができるだけ多くの人に伝わるよう、わかりやすく作ることを心がけています。ただ、いろいろな人の意見を取り入れて、子どもでも理解できるような落としどころを見つけるのにいつも苦労しています。また、作家さんが最も伝えたいことを引き出すのも大切にしたいので、文章を変えたり、絵を変えたりと、試行錯誤しています。
こうしたことを経て、読者から「おもしろい!」という反応をもらえたときは、とてもうれしいですね。偕成社で最初に担当したのは回文の絵本でした。あるお子さんがその本を読んでいて、「反対から読んでも同じことばになっている!」と気づいてくれたことがあり、それを家族の方がSNSに投稿してくれました。メッセージから回文を発見したお子さんの喜びが伝わってきて、わたしもうれしくなりました。本のおもしろさが子どもに届き、その反応を作家さんと一緒に喜べる。そういう仲間がいることにもやりがいを感じています。

編集者の一日の流れは、その日ごとに異なります。ある日は、進行中の本の打ち合わせに出向き、作家と修正の内容を相談します。また、会社にいるときは原稿や原画を印刷会社の人に渡したり、本の装丁をデザイナーに依頼したり、印刷の試し刷りのチェックをしたりします。新しい本の企画をもらったときには返事のメールや電話をしたり、出版された本を著者に送ったり、二次使用の許可を得るために著者に連絡したりと、仕事の内容は多岐にわたっています。
Qどうして出版社に入ったの?
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企画や打ち合わせで使うノート、試し刷りに修正の指示を入れるための色ペンや付箋は欠かせません。印刷された大きな用紙を切る機会が多いため、定規やカッターもよく使います。
中嶋 幼いころから絵本や図鑑が好きで、小学校では国語や図工が得意でした。引っ込み思案な性格でしたが、作文をほめられたことがうれしくて、「文章を書くのが得意なのかな?」と思ったのが本に携わりたいと考えたきっかけです。小学生のときはテニス、水泳、英会話、習字といろいろな習い事をしていて、中学受験も経験しました。通っていた塾では、誕生日に本をプレゼントしてもらえるのもうれしく、楽しく勉強していました。
フェリス女学院に入学すると、周囲にマニアックな本を読んでいる友だちが多く、おもしろい本を薦めてくれることもありました。さまざまなジャンルの本をいちばん読んだ時期だったと思います。さらに本に夢中になったのは、友だちに刺激をもらえる環境も大きかったのかもしれません。卒業後は早稲田大学文学部に進学し、サークルでフリーペーパーを制作する活動をしていました。自分で記事の企画を考えて、街に出てインタビューをするのは楽しかったです。
最初に入社したのは、別の児童書の出版社でした。人気のキャラクターの絵本シリーズを担当し、楽しさも感じてはいたのですが、作家さんと一から本作りをしたいという気持ちが募り、偕成社に転職しました。
実際に出版社で編集者として仕事をしていると、多くの人と会うことが大切な職業だと感じます。ここ(上の写真)に並べられている本は、さまざまな人たちと会うことから始まって実現したものです。もともとは内向的な性格で、話すよりも読み書きが好きだから本の仕事をしたいと思っていましたが、人と話すのが何より肝心だと気づきました。いつの間にか積極的な性格に変わってきた気がします。
編集者に向いているのは、いろいろな考えの人と話せる人、人とかかわるのが好きな人だと思います。文章を書くのが好きなことも大事ですが、作家やイラストレーター、デザイナーなど大勢の人をまとめる仕事でもあるので、その部分にやりがいを感じられるのではないかと思います。
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