学校説明会レポート
慶應義塾普通部
2026年5月14日(木)
「独立自尊」を基本精神として
労作を重ね、みずから考える力を養う
1858年に創設された蘭学塾を起源とする慶應義塾は、1898年に一貫教育体制を確立しました。それに伴い、慶應義塾普通部は中等教育の課程と位置づけられました。それ以来、創設者・福澤諭吉が掲げた「独立自尊」の精神を基盤に、日々の教育活動が行われています。
SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会は、サピックス教育事業本部本部長の広野雅明先生による入試分析から始まりました。広野先生は、今春の普通部の社会科の入試で、日の吉凶をみるのに使われる暦注の一つ、六曜が出題されたことに触れ、「小学生として、社会のさまざまなことに関心を持って生活しているかが問われています」と話しました。
続いて登壇した普通部長の森上和哲先生は、普通部の教育方針である「労作教育」について、「時間を惜しまずに自分の心身を思う存分に活動させ、そのなかでみずから考え、自主的な選択や決定ができるようにする教育のことです」と説明。「普通部生は労作を重ねていくなかで、みずから考える力をつけていきます」と語りました。
授業・行事・部会活動が教育の柱
労作を通じて学びを深める
同校の教育の柱は、授業・行事・部会(クラブ)活動の三つです。森上先生は自身が担当する理科を例に挙げて説明しました。理科では、屋上での風向・風速の測定や、ブランコを使った振り子の実験など、毎週100分間の実験を行い、その結果や考察したことを900字詰めのレポート用紙5~10枚程度にまとめます。「これを3年間繰り返すうちに、分析力・調査力・コミュニケーション力・表現力・時間管理能力などが身についていきます」と話します。
労作教育は、ほかの教科でも実践されています。その集大成ともいえるのが毎年9月に行われる労作展です。そこでは、みずから決めたテーマに沿った研究・制作活動を通して自分と向き合い、形あるものを生み出していきます。この日は、労作展で実際に展示された、段ボールを用いたビー玉コースターや、翼が額縁からはみ出している鳥の油絵などが紹介されました。普通部生たちは、こうした作品制作の過程で成長し、同時に仲間の作品からも刺激を受け、学びを深めていくのです。
また、「目路はるか教室」では、さまざまな分野で活躍する卒業生を講師として招き、話を聞きます。これについて森上先生は「中1のときに弁護士の講座を受けて法律の世界に興味を持ち、労作展で裁判に関する作品を制作した生徒がいました。彼は高校・大学でも勉強を続け、2018年当時、史上最年少の19歳4か月で司法試験に合格したのです」と、うれしそうに語りました。
最後に森上先生は、「正解のない時代、人が作った問いに答えるのではなく、みずから問いを立て、その答えを探す生徒をお待ちしています」と締めくくりました。

労作展は普通部の「労作教育」を象徴する行事です。生徒は自分が関心のあることに取り組み、ひと夏あるいは1年間をかけて研究や制作活動を行います(写真はビー玉コースター)