学校説明会レポート
世田谷学園中学校
2026年6月13日(土)
創造性を育む、学びの拠点となる新校舎「白雲館」が完成
世田谷学園は、1592年に開設された曹洞宗吉祥寺の学寮「旃檀林(せんだんりん)」を源流とする、禅の精神に基づく人間教育を実践する男子進学校です。1902年に私立学校令に基づく私立校となり、今年、創立125年を迎えました。記念事業の一つとして、3月には新校舎「白雲館」が完成しました。
この日、最初に登壇した校長の山本慈訓先生は、教育理念「Think & Share」について、「お釈迦様の『天上天下唯我独尊』を英語で表現したものです。本来は『わたしだけが持っているかけがえのない価値がある。同じように、あなたにもあなただけの価値がある』という意味なのです」と説明しました。続けて、「本校では、この理念の下、『明日をみつめて、今をひたすらに』『違いを認め合って、思いやりの心を』をモットーに、『かしこく(智慧)、豊かで(慈悲)、たくましい(勇気)人』を育てています」と学校が理想とする人物像を語りました。三つのうち「慈悲」と「勇気」を育む取り組みとして行っているのが、仏教校ならではの坐禅教育です。各学年では週1回の「生き方」の授業を実施し、年間5回は校内の禅堂で坐禅を行うほか、希望者を対象に週1回の「早朝坐禅会」も開かれています。また、福井県の永平寺や横浜市の總持寺で「一泊参禅」を行い、坐禅や作務、精進料理などを体験します。山本先生は「坐禅や作法を学ぶことで、感謝の気持ちが生まれ、その心が失敗を乗り越える勇気や周囲への慈悲につながります」と話しました。このほか、理科の解剖実習後には命の尊さについて考える時間を設けるなど、多面的に生命と向き合う教育も行っています。
一方、「智慧(知性)」を育む取り組みとして導入しているのが、「本科コース」と「理数コース」の2コース制です。通常授業は2コース共通で、違いは探究活動を行う前期の「土曜プログラム」にあります。「本科コース」は小説創作や英語劇など幅広い分野に取り組み、「理数コース」は農業体験や理科特別実験など理系分野を中心に学びます。その経験を生かし、中期以降、「本科コース」では最初は幅広く、学年が上がるにつれて興味のある分野について深く探究活動を行い、「理数コース」は「世田谷サイエンスプロジェクト(SSP)」を通して自然科学を深く探究します。
3月に完成した新校舎「白雲館」(STEAM教育センター)には、ICTラボやメイカールーム、アトリエ、グローバルルームなど、生徒の創造性を育む施設が整っています。獅子児祭(学園祭)では、以前から、生徒がジェットコースターを製作するなど高度なものづくりにも取り組んでいますが、新施設の完成によって、さらに充実した活動が期待されます。
続いて、広報部部長の糟谷肇先生が生徒の6年間の成長について説明しました。今年5月には、創立125周年記念事業として、30分間の講義の後に5分間の坐禅を行うギネス世界記録に挑戦し、生徒・教職員1400名強のうち1306名が最後まで坐禅を続け、世界記録を達成したことを報告しました。また、「入学時は人前で話すことが苦手な生徒も、高校生になる頃には大きく成長します。食堂では先輩と後輩が自然に交流する姿も見られます」と校内の様子を紹介。「男子校には好きなことをとことん追求できる環境があり、生徒たちは自然体で学校生活を送っています」と語りました。
学校行事も充実しています。高1では全員参加の海外研修を実施し、「本科コース」はカナダのビクトリアまたはニュージーランドのオークランド、「理数コース」はカナダのトロントでホームステイを経験します。探究活動では、生徒会主催の学内研究発表会「SETA学会」を毎年開催するほか、中1~高2を対象に教科の枠を超えた探究講座も実施しています。そこでは「ドローン製作講習」や「難関理系大学生と学ぶ数学的思考法」など、多彩な講座が開かれているとのことです。
最後に進学実績について。今春は東京大学5名をはじめ国公立大学に63名(防衛大学校4名を含む)、早稲田大学に56名、慶應義塾大学に51名、東京理科大学に122名が合格したそうです。

今年完成した「白雲館」のICTラボ。VR制作やレーザー加工機、3Dプリンタなどを備え、生徒の創造的な学びを支えます。屋上やメイカールーム、アトリエなども整備されています