学校説明会レポート
逗子開成中学校
2026年7月10日(金)
「海洋人間学」を軸に主体性と協同性を養い、世界標準の視野と行動力を育む
1903年、東京の開成中学校の分校「第二開成学校」として開校した逗子開成中学校・高等学校は、神奈川県で最も長い歴史を持つ男子進学校です。校名の「開成」は、中国の古典「易経」の「開物成務」に由来し、「人間性を開拓・啓発し、人としての務めを果たす」という意味を持ちます。このことばは建学の精神として受け継がれ、創立123周年を迎えた現在も教育の根幹となっています。
この日の説明会の冒頭、校長の小和田亜土先生は、6年間で育てたい力として「主体性」と「協同性」の二つを挙げました。そして、「自然環境や社会環境とかかわるなかで、生徒たちの興味・関心や、生きるエネルギー(欲動)を育み、存分に発揮できるよう教育活動を展開しています」と述べ、少年期にさまざまな経験を重ねながら「反省的思考」を身につけることの大切さを強調しました。こうした教育方針の下、同校では、体験的な学びを通して、世界標準の視野で物事を考え、行動できる力を育んでいます。
続いて、副校長で入試委員長の小西信行先生が教育内容について説明しました。同校を象徴する教科横断型の学びが「海洋人間学」です。学校のすぐ前に広がる、逗子の海を生かし、ヨット帆走実習やヨット製作、遠泳実習などに取り組むほか、海に関する知識や教養も深めます。まず、中1でヨット帆走を体験。その後、半年かけて学年で3~5艇の木造ヨットを製作。骨組みから塗装まで生徒たちが自分たちで行い、完成したヨットは中2以降、帆走実習やヨットレースで使用します。
帆走実習後のレポートにも、生徒の成長が表れるそうです。中1では、初めて海に出た感想が中心ですが、中2では操船技術について、中3では仲間とのかかわりや周囲の景色へと、生徒たちの視点が広がっていきます。また、遠泳実習では、中3生全員が約1500m沖まで約1時間かけて泳ぎます。当然、入学時は泳ぎが苦手な生徒もいますが、屋外温水プールで泳力を高め、毎年全員が完泳しているとのことです。小西先生は「泳ぐのは自分ですが、独りではなく、仲間と一緒に挑戦する実習です」と語り、困難を、協力して乗り越えることの大切さを伝えました。
国際教育も充実しています。中3ではニュージーランド研修旅行、高1では英語圏以外の留学生と英語で交流する「グローバルビレッジ」、高2では5コースから行き先を選択する「アジア研究旅行」を実施。このほか、希望者を対象とした国内外の研修や留学制度も用意されています。
さらに、中1から段階的に探究の進め方を学ぶ総合学習「人間学」や、年間100講座以上を開講している「土曜講座」についても紹介されました。土曜講座は希望制で、学年を超えて自由に講座を選択できることもあって、知的好奇心を広げながら多様な学びに触れられる機会となっているそうです。
例年、2月1日・3日・5日の3回行っている一般入試については、読解力・思考力・表現力を重視しているとのこと。この日は、複数回受験で合格をつかんだ受験生のデータを紹介し、「大事なのは、最後まであきらめず努力することです」と受験生にエールを送りました。
続いて広報部長の秦健二先生が登壇し、生徒たちが生き生きと学校生活を送る姿を映像と共に紹介しました。昼休みは思い思いの場所で過ごすことができるとのこと。学校前の海辺でお弁当を広げる生徒もいるそうで、同校の自由で伸びやかな校風をうかがうことができました。そして、説明会の最後には、校長先生を含む教員が在校生や受験生への応援歌として制作・演奏を手掛けた「学校の歌」の動画が披露されました。

逗子湾に面した海洋教育の拠点「海洋教育センター」。地下1階には多くのヨットが並ぶ艇庫があり、中1生がヨット製作に取り組む工作室も設けられています