受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

自慢の授業

成城中学校・成城高等学校

「数学統計」

メインビジュアル

数学だけではなく情報分野も
多角的に学ぶ教科横断型授業

 2025年に創立140周年を迎えた成城中学校は、「社会に有為な人材を育成する」という建学の精神の下、ICT教育にも力を入れています。その一環として、中1で行われているのが、「数学統計」の授業です。現代社会において重視される統計学の基礎に加え、ネットリテラシーも学ぶ授業の様子を紹介するとともに、数学科・情報科教諭の松原圭太先生に授業の狙いなどについて伺いました。

論理的思考や情報リテラシーなど
社会で必要な知識を身につける

 中1を対象とした「数学統計」の授業は、同校2階にある「コンピュータ教室」で、週に一度行われています。「数学」という名前がついていますが、その内容はタイピング練習やネット上でのモラル、コンピューターの学習、簡単なプログラミング、そして、Excelを使った統計処理など、多岐にわたっています。

 生徒たちは、授業開始までにコンピューターにログインして準備を整えておきます。編集部が訪れた日は、ネットリテラシーを学ぶ動画の視聴からスタートしました。とある学校の教室で着替え中の女子生徒と、彼女が背景に映っているにもかかわらず自撮りをした女子生徒の間でトラブルが発生。自撮りをした女子生徒がグループSNSにて写真を拡散させたことから、深刻な事態へと発展する様子を描いた動画を通し、他者の人権を侵害するような写真や動画を撮影しないこと、また撮影させないことの大切さを再認識します。動画視聴後は、松原先生から個人情報を保護するための心構えも伝えられ、生徒たちは真剣な表情で話を聞いていました。

 続いて行われたのは、全員でのタイピング練習です。指のポジションをしっかりと確認した後、タッチタイピングに挑戦します。入力の結果は点数化され、そのデータをExcelに入力します。数字を記録することで、タイピング能力の向上を実感できます。

 次は、素因数分解のプログラムが用意されている計算サイトを使って、4桁の素数を大きいほうから三つ見つける問題に取り組みました。各自のタブレットPCにインストールされたリアルタイム学習支援アプリ「MetaMoJi ClassRoom」で配布された問題用紙に、生徒たちは答えを書き込みます。松原先生はその内容をすぐに確認し、授業はスムーズに展開されていました。

 最後は、「ハノイの塔」というパズルに挑戦しました。3本の木と、中央に穴の開いた大小さまざまな円盤で構成されたパズルで、最初は左端の木に、小さい円盤が上になるように積み重ねられています。この円盤を決められたルールに従い、右端の木に移動させる方法を考え、数学的・論理的思考を養います。最初は円盤3枚からスタートし、4枚、5枚と数を増やして試行錯誤していたところで、授業終了のチャイムが鳴りました。

「こういう数学なら楽しい」と
感じてくれる生徒を一人でも増やしたい

5「数学やコンピューターが苦手な生徒にも、楽しみながら参加してもらえるような授業を心がけています」と話す数学科・情報科教諭の松原圭太先生

 2019年から始まった「数学統計」では、1学期はコンピューターの使い方やネットリテラシー、2学期はExcelを使った統計、3学期は統計の知識を用いたプレゼンテーション資料の作成と、学びを深めていきます。

 授業の特色や目的について、松原先生はこう説明します。「かつて中1の数学の授業では、週に代数3時間、幾何2時間、計算に特化した授業を1時間設けていました。その後、小学校でのカリキュラムが改訂され、入学してくる生徒たちの計算力が高まってきたことを受け、計算中心の授業を変更し、コンピューターを用いながら、数学の楽しさを多方面から感じられる授業を行いたいと考えたのが、『数学統計』を設けた一つの理由です。もう一つは、2025年度大学入学共通テストから『情報Ⅰ』が出題科目として追加されたなかで、統計の分野が非常に重視されるようになってきており、代数や幾何に盛り込まれていた統計の学習を取り出して、より学びを深めていきたいという理由がありました」

 苦手な教科に挙げられることもある数学ですが、通常の授業ではなかなか手が挙げられない生徒も、「数学統計」では、積極的に学びに参加する姿勢が見られるそうです。「先ほどの授業でチャレンジしていた『ハノイの塔』のようなパズルで力を発揮する生徒もいて、数学と数学統計の授業は別のものという感覚で受けているようです。『こういう数学なら楽しい』と感じてくれる生徒を一人でも増やしたいと思っています」

 最後に、松原先生は受験生に向けて次のようなメッセージを送りました。「『数学統計』は本校独自の授業ですので、自信を持って準備をしています。『コンピューターを使って、こんなこともできるんだ』というおもしろさを授業のなかで体感してもらいたいと思っていますので、ぜひ楽しみに入学してください」

生徒たちにとって身近なSNSに関するリテラシーも学びます

タイピングの練習では毎回点数を記録し、さらなるレベルアップをめざします

パズル「ハノイの塔」に挑戦。ルールをしっかり読みながら、円盤を右端の木へ移動する方法を考えます

4 教員は生徒たちの進捗状況をしっかり把握し、的確なフォローを行います

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