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進学校 ▶ 栄光学園中学校
サピックスとの伴走物語
T.Tさん ●お子さんの名前 Mさん
2月3日の昼下がり、横浜駅近くにある洒落た商業施設のベンチに受験生である息子とその父親は腰掛けていた。前日に受験した第一志望校の栄光学園サイトが合否発表画面に変わり、父親のスマホが桜満開となった瞬間、息子はガッツポーズした両手に顔を埋め、声にならない声を上げて静かに涙を流し、父親は人目も憚らずに号泣していた。母親も息子からの電話口で既に涙なみだであった。
彼がサピックスに在塾した約3年半を振り返ると、私はいつも箱根駅伝の二つの光景を思い出す。一つはレース中に起きた自身の不調を受け入れられず歩いてでも前へ進もうとする選手を、伴走車から降りた監督が抱きかかえてレースを終わらせるシーン。そしてもう一つは、給水ポイントでドリンクを選手に渡した部員が、与えられた数十メートルの距離を全力で並走しながら彼への信頼と鼓舞を、言葉と身振りで懸命に伝えるシーンである。
我が家の中学受験はまさにサピックスとの伴走物語であった。幾つか選択肢の中から入室先をサピックスに決めたのは息子であり、テスト結果でクラスが上下する構造も、実は負けず嫌いだった(らしい)本人の性分に合ったようで、いつのまにか塾仲間も出来て楽しく通っていた。6年生で志望校別特訓の土特や日曜のSS特訓が始まると、もはや勉強面で親の出る幕は無く、秋口でもエンジンが掛からない彼に対して、信じるからこその声掛けや明るい雰囲気作り、そして体調管理が、一番身近な伴走者である親の専らの役割となった。
そんな我が家とサピックスとの伴走物語には二つのヤマがあった。息子は当初から自宅徒歩圏の聖光学院に行くと一貫していたが、10月の学校別サピックスオープンや11月の合格力判定サピックスオープンが芳しくなく、受験を考えればこのぎりぎりのタイミングで軌道修正するか否かの決断を迫られる事態となった。まさに伴走車の中の駅伝監督である。先生方からは、聖光学院の近年の出題傾向と本人の得点内容との相性を鑑みて的確な見解を頂き、本人も内心は悔しかっただろうが納得の上、土特のコースを変更、栄光学園を目指す決断に至った。
二つ目のヤマは1月の栄東中学校A日程の不合格であった。腕試しのつもりが2点及ばず、親子で受験の怖さを思い知ることとなった。動揺する息子へすぐに先生方から直接にお電話を頂いた。母親には2点差ならばB日程を受験し合格を取り戻すべきこと、本人は1点の重み、応用は準備万端、基礎固めをもう一度、との激励を頂いた。目が覚めた息子は漸く自らでエンジンを再点火し、1月の屈辱を2月の歓喜につなげてみせた。彼にとっては、この激励電話が受験に向けた最高の給水ポイントとなったことは間違いない。
最後となりますが、中学受験という途方もないアドベンチャーレースを息子や私たちに寄り添い伴走いただいたサピックスの先生方に改めて深く感謝申し上げます。
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