私がＳＡＰＩＸに入室したのは、四年生の初め頃でした。最初は学校と少し違った雰囲気の中で緊張していましたが、先生の授業は面白く、内容が難しくても諦めずに取り組むことができました。
　特に印象に残ったのは、算数の授業です。私は国語が好きでしたが、算数は苦手でした。算数の先生は、授業の合間に冗談を言って空気を和ませてくれるだけでなく、勉強が上手くいかない時に、相談に乗ってくれたりもしました。板書も綺麗で、わからない問題には、私が理解できるまでとことん向き合ってもらえました。自分なりの解法を「その解き方もいいね。」と肯定してくれた経験は、今でも心に残っています。
　また、私は五年生の夏と六年生の秋に、成績がのびなやみ、偏差値が第一志望の学校にとどかないことが続きました。志望校を変えた方が良いのかなやみましたが、先生方から励ましを受け、まちがえた問題を解法を覚えるまで解き直す、という学習スタイルに変えることで、乗り切ることができました。
　私の受験最大のアクシデントは、入試一週間前に第三志望の過去問を解いたことです。思うように得点がとれず、精神的にとても不安定になっており、涙が止まりませんでした。そんな時に、先生は私を激励するために、こんな言葉をかけて下さりました。「今できることは、泣いたままでいるか、第一志望の学校の対策をするか、チェスをするかだ。」やったことのないチェスの問題に苦しみ、点が取れなかったと嘆いていた私ですが、この言葉にとても救われました。入試当日もこの言葉を思い出して、「私は誰よりも過去問を解いて、対策をしたんだ。」と考えることで、空元気でしたが心が軽くなりました。
　合格発表を見た時、家族みんなで喜んで、受験をして良かったと思えました。先生方も、本当にありがとうございました。