受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「25年11月号」より転載/25年10月公開)

母校再訪

東洋英和女学院中学部高等部

山村 奈々子さん(2016年卒業)

ことばの力を鍛える国語教育で
社会で生きる表現力を身につける

 学院標語に「敬神奉仕」を掲げ、キリスト教教育を基盤とする東洋英和女学院中学部高等部。生徒たちの自己を肯定し他者を尊重する精神を養うとともに、世界のために行動できるグローバルリーダーに育てることをめざしています。今回は、スポーツ新聞の記者として活躍する山村奈々子さんに、同校での学びや思い出について語っていただきました。

「敬神奉仕」が息づく日常生活
垣根なく広がる友だちや仲間との輪

山村 奈々子さんスポーツ新聞社勤務
上智大学文学部
新聞学科卒業
阪神タイガースの担当記者として、選手やチームの動向を追って日々取材を行っています。もともと文章を書くのは好きでしたが、国語の授業を通じて記述力と表現力が鍛えられ、それは今の仕事にも生きています。阪神の東京遠征の際は中高時代の友だちに会い、楽しい時間を過ごしています。

─東洋英和女学院を選んだきっかけと、実際に入学して感じた学校の良さを教えてください。

山村 わたしが入学したのは小学部からだったので受験校選びは母が行いましたが、当時通っていた塾の先生から「奈々子ちゃんに校風が合いそう」と勧められて東洋英和を受験しました。世間では「お嬢さま学校」と思われがちですが、実際は芯の強いタイプが多くて、自分のことは自分でやり抜く生徒がたくさんいました。大学に進んで初めて共学を経験しましたが、「男子よりも英和生のほうがしっかりしている」と驚いたほどです。

─小学部からの進学者と中学部からの入学者との違いはありましたか。

山村 小学部は1学年80名で、中学部から新たに120名が入ってくるので、初めは「小学部からの友だちがクラスにいたら心強いな」と思っていたのですが、すぐに打ち解けてしまいました。今でも小学部からの友だちと中学部からの友だちが混ざった友人関係が続いていますし、違いはまったく感じません。

─学校生活で印象に残っていることを教えてください。

山村 毎朝の礼拝ですね。聖書を読み、讃美歌を歌って、自然に祈る習慣が身についたように思います。今でも大切な日の前には「うまくいきますように」と祈ることもあります。学院標語の「敬神奉仕」の精神が根底にあり、人を思いやり、困っている人を放っておかない校風が日常に息づいていました。誰とでも分け隔てなく話せる温かさが東洋英和の魅力だと思います。

─クラブは剣道部に所属されていたそうですね。

山村 高2で引退するまで続け、部長も務めました。外部の先生にコーチとして学校へ来ていただき、厳しい指導を受けることもありました。そのなかで仲間と支え合った経験は大きな財産です。部長として心がけたのは、年齢差のある後輩に気を配り、意見を言いやすい雰囲気をつくることです。体育祭のクラブ対抗リレーで剣道の道着姿で走ったり、あこがれの先輩から鉢巻きを譲ってもらう伝統に胸を躍らせたりと、女子校ならではの思い出がたくさん残っています。

国語教育で培った記述力と表現力
「好き」が進路や職業に直結

毎朝の礼拝が行われた大講堂。思い出深い場所の一つです

─授業で特に印象に残っていることはありますか。

山村 やはり国語です。文章の要約練習や自由作文を通じて、「記述力」と「表現力」が徹底的に鍛えられました。高2で作家について論文を書く課題もあるのですが、これに取り組んだことで構成を考えて文章を組み立てる力が自然に身につきました。新聞記事を書くとき、特に「要点を的確にまとめる力」が役立っていると感じます。

 東洋英和は高校の授業に多くの選択科目があり、わたしはその一つの「国語表現」を取りました。かつお節を擬人化して物語を書くなど、ユニークな創作も経験できて楽しかったです。自由に書かせてもらえる時間が多く、楽しみながら表現の幅を広げられました。

 こうした積み重ねのおかげで、文章を書くことにまったく抵抗がなくなりました。新聞記者として記事を執筆できているのも、東洋英和で培った国語教育の土台があってこそだと思っています。

─英語教育に力を入れているのも特色の一つですね。

山村 東洋英和の英語はレベルが高く、特にネイティブの先生による英会話の授業がおもしろかったです。定期テストは記述問題が多く、時間内に終わらせるのが大変でしたが、大学受験でも英語には困らないほど力がつきました。国語で培った日本語の表現力と、英語で磨いた発信力。この両輪が今の記者としての基盤になっているのではないかと思います。

─進路を考え始めたのはいつごろですか。

山村 ジャーナリズムに興味を持ち始めたのは高校時代です。関西出身の両親の影響もあって、阪神タイガースが大好きだったので、球団にかかわる仕事といえばメディア関係だと考え、スポーツ新聞の記者を志しました。上智大学文学部新聞学科に進学し、在学中は学内最大規模のサークル「ソフィア祭実行委員会」に所属し、コンテストの運営などにも挑戦しました。出場者をスカウトしたり、企画を考えたりするなかで、人の魅力を見抜く力や組織を動かす経験を積めたのは大きかったです。

念願の「阪神担当記者」として活躍
取材現場でも生きる思いやりの心

─そして、現在は念願のスポーツ新聞記者として活躍されていますね。

山村 入社してすぐは紙面レイアウトを担当していましたが、異動願を出し続け、3年目に阪神担当記者になりました。取材では選手に聞きにくい質問をしなくてはならないこともありますが、相手を不快にさせないよう配慮しています。これは東洋英和で培った「思いやりの精神」が大きく影響していると思います。学院標語「敬神奉仕」の精神が、仕事のうえでも自分の軸になっていると感じています。

─チームの遠征で東京に来ることも多いと思いますが、卒業後も中高の友人とのつながりは続いているのでしょうか。

山村 はい。困ったときは親よりも東洋英和時代の友人に相談するくらい信頼しています。卒業してから何年もたち、社会に出てからも深い絆が残っているのは、一貫校の良さだと思います。

─今後の目標を教えてください。

山村 阪神担当を3シーズン務め、リーグ優勝も見届けたので、今後は他球団や異なるスポーツの現場を一人で担当し、記者としての幅を広げていきたいです。

─最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

山村 わたしは本当に東洋英和に入ってよかったと思っています。特に高等部時代は充実していて、仲間と過ごした日々は忘れられません。毎日の礼拝で培った心の落ち着きや、校風として根づく「敬神奉仕」の精神は、社会に出てからも自分を支えてくれています。そして、国語の授業で培った「書く力」「表現する力」は、記者という職業の根幹になっています。受験を考えている皆さんには、「必ず成長できる環境がここにある」と伝えたいです。安心して飛び込んでください。かけがえのない仲間と出会えて、人生の財産となる時間を過ごせると思います。

《学校のプロフィール》

東洋英和女学院中学部高等部

所在地 〒106-8507 東京都港区六本木5-14-40
都営大江戸線「麻布十番」駅より徒歩5分、東京メトロ南北線「麻布十番」駅、東京メトロ日比谷線「六本木」駅より徒歩7分、東京メトロ千代田線「乃木坂」駅より徒歩15分

TEL 03-3583-0696
H P www.toyoeiwa.ac.jp/chu-ko/ 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

www.toyoeiwa.ac.jp/chu-ko/event/schedule/

ページトップ このページTopへ