受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「25年12月号」より転載/25年11月公開)

母校再訪

巣鴨中学校・高等学校

尾上 飛羽さん(2025年卒業)
沼尾 嘉門さん(2025年卒業)

仲間と共に乗り越える行事など
多くの経験のなかで築く人間関係

 巣鴨中学校・高等学校は、1910年に哲学者・遠藤隆吉博士が設立した私塾「巣園学舎」を前身とする進学校です。授業と行事の両面から、みずから努力することを重視する「硬教育(努力主義)」を実践しています。学校生活の様子や思い出、今も自身のなかに息づく巣鴨での学びについて、卒業生のお二人に振り返っていただきました。

個性的な先生方のユニークな授業や
特色ある行事が心に残っている

尾上 飛羽さん青山学院大学
文学部比較芸術学科1年
現在はオーケストラ部に所属し、クラリネットを担当しています。大学での学びを生かし、将来は音楽文化の普及や発展に貢献したいと考えています。

─巣鴨中を志望校に選んだきっかけと、実際に入学して感じた学校の印象を教えてください。

沼尾 「大菩薩峠越え強歩大会」「巣園流水泳学校」といったユニークな行事や、伝統的に医学部に強い学校であることに魅力を感じたからです。厳しい行事を共に乗り越えるからか、「困難なことはみんなで助け合おう」という気風があり、とても温かい学校だと感じました。

尾上 父も巣鴨の卒業生なので、父がOBの会合に出席する際には、ぼくも一緒に連れて行かれることが多く、幼いころから身近な学校でした。実際に入学して感じたのは、どの先生もキャラクターが際立っているということ。「中学校にはこんなに個性的な先生がいるのか」と衝撃を受けました。

─思い出に残っている学校行事はありますか。

沼尾 いちばん思い出に残っているのは、「大菩薩峠越え強歩大会」です。夜10時に上野駅に集合し、峠の麓に到着するのが午前1時。そこから夜通し歩き続け、日の出ごろに登頂します。頂上でカップラーメンを食べたときの達成感は、今でも忘れられません。

尾上 国立競技場で行われた高2の巣園祭(体育祭)です。ぼくは吹奏楽班に所属していたため、生徒入場時のファンファーレの演奏を担当しました。国立競技場で楽器を演奏することなど、今後の人生においてもそうそうないと思うので、とても貴重な経験になりました。

吹奏楽班の顧問、佐藤先生を訪ねて思い出の音楽室へ。この日も後輩たちが熱心に練習中でした

─印象的な授業について教えてください。

沼尾 ネイティブ講師と日本人教員のチームティーチングで行われる英語の授業です。わかりづらいところは日本人の先生がうまくサポートしてくださるおかげで、高い英語力が養われました。高1の夏には希望者を対象に実施される「イートン校サマースクール」にも参加しました。単なる語学研修ではない、異文化理解を主眼としたプログラムに、たくさんの刺激を受けました。

尾上 ぼくは数学の授業が好きでした。教え方はもちろんですが、先生方の話術が巧みなので、自然と授業に引き込まれます。巣鴨には若手からベテランまで幅広い年齢層の先生がいますが、どの先生も“少年心”を忘れていないところが、授業のおもしろさにつながっていると感じます。

「学びを絞らない」という方針の下で
身につけた教養が大学での学びに生きる

沼尾 嘉門さん東京慈恵会医科大学
医学部医学科1年
アレルギーや免疫の分野に興味があります。日本国内だけでなく、海外にも目を向けて、世界で活躍できるようなグローバルな医師になりたいです。

─現在の進路を選んだ理由を教えてください。

沼尾 祖父が医師だったこともあり、小学校高学年のころから自分も医師になりたいと考えていました。実際に志望校を決めたのは高2のころです。巣鴨では、中3・高1を対象に、数学の成績優秀者で構成される「数学クラス」が設置されます。ぼくも所属していましたが、一般クラスと合流する高2のタイミングで「これまで以上に勉強しないとすぐに追いつかれてしまう」と危機感を抱いたことも、受験勉強に本気で取り組むにあたって、大きな追い風になりました。

尾上 吹奏楽班で音楽の奥深さに触れたことをきっかけに、次第に芸術を学問として学んでみたいと考えるようになりました。演奏技術の向上を目的とする音楽系大学とはまた違った角度から芸術にアプローチできるところに魅力を感じ、現在の大学・学部を選びました。

─大学ではどんなことを学んでいますか。

沼尾 今は教養科目を中心に、幅広い学問を学んでいます。テストで「一つでも落とせば留年」というハードな環境ですが、巣鴨での学校生活を通して身につけた努力してやり遂げる力で何とか乗り切っています。東京慈恵会医科大学では、1年生から実習を行うので、近々、福祉体験実習や病院実習が始まる予定です。

尾上 演劇と美術と音楽の3分野を網羅的に学んでいます。音楽を志して入学したものの、大学の講義を受けてから美術のおもしろさに魅了され、最近は美術館めぐりもしています。今まで触れてこなかった分野にも手を広げ、芸術への造詣を深めていきたいですね。

─巣鴨での学びは、今のお二人にどう生きていますか。

沼尾 巣鴨は医学部志望者向けのプログラムが豊富で、夏休みには医学部対策講座が開講されたり、医学部に合格したOBが自身の体験談やアドバイスを話しに来てくれたりと、さまざまなサポートを受けることができました。それがあったから、医師になる覚悟が固まり、今も高い意識で学び続けることができています。

尾上 西洋美術の講義には世界史の話題がよく出てきます。高校では日本史を選択していましたが、「学びを絞らない」という学校方針の下、世界史の流れも学んでいたので、すんなり理解することができました。受験科目に限らず、幅広い知識を授けてくださった巣鴨の先生方にはとても感謝しています。

高2・3の担任、数学の山下先生と再会。「若くて兄のような存在で、何でも相談しやすかった」と沼尾さん

─最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

沼尾 生徒が一丸となって授業や行事に臨むことで、自然と達成感や連帯感が生まれます。受験生には、男子校でしか味わえない青春を楽しみに入学してほしいですね。

尾上 同級生、先輩や後輩、そして先生方と良い人間関係が築ける学校です。巣鴨を志望する皆さんには、恵まれた人間関係のなかで、何か熱中できることを見つけて、それを自身のキャリアに生かしてほしいと思います。

《学校のプロフィール》

巣鴨中学校・高等学校

所在地 〒170-0012 東京都豊島区上池袋1-21-1
JR「大塚」駅より徒歩10分、JR・東京メトロ有楽町線ほか
「池袋」駅より徒歩15分

TEL 03-3918-5311
H P www.sugamo.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

www.sugamo.ed.jp/entrance_student/

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