受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

未来を期待される学校

(「25年10月」より転載/25年9月公開)

駒込中学校・高等学校

「なりたい自分になる」ために
伸び伸びと心を育てて探究し グローバルな体験で学びを深める

所在地〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25

交通東京メトロ南北線「本駒込」駅より徒歩5分、東京メトロ千代田線「千駄木」駅・都営三田線「白山」駅より徒歩7分

TEL03-3828-4141

HPwww.komagome.ed.jp

 了翁禅師が開設した学問所「勧学講院」を起源とする駒込中学校・高等学校。仏教主義に基づく心の教育を重視する一方、独自のSTEAM教育やグローバル教育などで注目を集めています。2025年12月に学園創立100周年を迎える同校では、今どんな教育に力を入れ、どんな生徒を育てているのでしょうか。校長の河合孝允先生に伺いました。

STEAM教育を生かした探究学習
AI時代に行動型の生徒を育てる

校長写真
校長 河合 孝允 先生

広野 ここ数年、中学受験者数の増加が続いています。特色ある教育が評価されている表れですね。

河合 駒込の教育の根本的なところは変わっていません。「なりたい自分になる」という駒込イズムを大切に、一人ひとりの生徒が好きなことや得意なことを伸ばせる多様な教育を実践してきました。その一つが、10年ほど前に導入したSTEAM教育です。Science,Technology,Engineering,Art,Mathematicsを統合的に学んで探究心や表現力、判断力、思考力を伸ばし、みずから動き考える行動型の生徒を育てています。

広野 かつては偏差値や大学合格実績が学校選びの基準でしたが、今は6年間で何を学べるか、いかに居心地良く過ごせるかを重視するご家庭が増えています。

河合 皆さん、新しい学びに興味を持って学校探しをしているように感じます。たとえば、STEAM教育の一環として位置づける探究学習では、中1で自走ロボットを作ります。自分たちでプログラミングして走らせたり、音楽に合わせて動かしたりするのですが、説明会で紹介すると保護者の方々がとても興味を持ってくれます。

広野 まさにAI時代の学びですね。

河合 AIの分野では生徒たちがすばらしい実績を出しています。たとえば、東北の自治体の懸賞論文ではAIを駆使した農業の活性化を提案し、金メダルを受賞しました。これからはAIに使われるのではなく、AIを使いこなせる集団を育てていく教育が必要です。経済界の要請で10万人単位のデジタル人材の育成が始まり、大学では理系学部で女子枠入試が行われるようになりました。駒込でも高校に「理系先進コース」を10年前に開設し、理系教育やICT教育に力を入れています。

世界に触れるグローバル教育
多様性を認めて伸ばす環境が整う

イメージ01中学では3年間かけて「デジタル探究プログラム」を実施。たとえば中3の「Google Earthを用いたAR/VR体験」では、コミュニケーション力や思考力、創造性を磨き、さらにVR技術を活用してロボット創作を行いました

広野 語学研修などグローバル教育も充実しています。

河合 中学でハワイやセブ島語学研修、高校では「地中海文明のゆりかご」といわれるマルタ島で2週間の語学研修があります。高2の修学旅行ではシンガポールとマレーシアに行きます。学校での英語教育はもちろん、グローバルな世界を体験させることを大切にしています。

広野 海外に出て、実際に現地で体験をすることは何よりの学びになります。

河合 マルタ島に出発する生徒には、地中海文明について英語で論文をまとめるように伝えています。大学の推薦入試に生かせる場合もあるからです。単なる語学研修で終わらせず、先を見据えて能動的に学ぶ研修にしてほしいと考えています。高校の「国際教養コース」では、さらに海外へ出る機会が多いです。

広野 コースごとに特徴がありますね。

河合 中学は全員が国際先進コースで学び、高校は基本となるSコースのほか、理系先進コースと国際教養コースに分かれ、生徒の多様性を認める教育を大事にしています。卒業生の進路も東京芸術大学から国立医学部まで非常に幅広いです。個別のニーズに対応して「なりたい自分になりなさい」とサポートするのが駒込の教育です。

広野 大学合格実績も好調です。

河合 国公立大学を含め、GMARCH以上に394名が合格しました。過去最高の実績を3年連続で更新しています。全国の児童相談所にアンケートを取ってレポートを作り上げた生徒がそれを評価され、公募型推薦入試での合格につながるなど、探究学習の成果も出ています。

創立100周年の先も大切に継承
心の教育はすべての根幹

広野 今年の12月で学園創立100周年の節目を迎えます。

河合 駒込の伝統や教育方針をもう一度きちんと示す分岐点ととらえています。今、生徒たちは100周年記念誌の編集に一生懸命に取り組んでいます。学校としては、新しいクラブハウスを秋に完成させ、そこにピロティや自販機コンビニなどを設置する計画です。

広野 100周年の先も大事にしたい伝統は、やはり心の教育ということになりますか。

河合 仏教主義に基づく人間教育はすべての根幹です。中学では毎日心のこもった給食を提供し、命をいただくことに感謝する気持ちを育てています。授業の始めと終わりには必ず合掌と礼を行い、形から入って行動で示すことを学んでいます。

広野 今の時代だからこそ重要なことですね。

河合 中2では仏教行事の一つとして日光山研修を行い、写経や座禅などの修行体験を通じて自分自身を見つめ直します。高1の比叡山研修でも修行体験を行い、夜間30kmを踏破する回峰行に挑戦します。嫌々ながら参加する生徒も、琵琶湖から昇ってきた太陽の美しさに感動し、心を成長させます。

 大切なのは歴史や伝統を体験してくることです。感じ取ったものを大切にして自分に気づく自己研修の場を設けて、心を育てています。

広野 最後に受験生へのメッセージをお願いします。

河合 入試では100点を取る必要はありません。駒込でぜひ、なりたい自分になってください。皆さんの入学をお待ちしています。

ONE POINT CHECK サピックスのワンポイントチェック

 多様性を尊重する駒込では、中学入試でもさまざまなアラカルト入試を用意しています。2科・4科をはじめ、適性検査型、算数1科、国語1科、特色入試として英語+2科やプログラミング、自己表現による選抜を実施。自分の得意な分野で受験し、入学後はそれを伸ばす6年間にしてほしいと河合先生は言います。授業料や入学金が免除になる特待生をめざして、複数回の受験にチャレンジする受験生も少なくないそうです。

INFORMATION

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
www.komagome.ed.jp/examinee/guidance.php#briefing-session

ページトップ このページTopへ