受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

未来を期待される学校

(「25年12月号」より転載/25年10月公開)

盛岡中央高等学校附属中学校

地域に根ざしながら視野は世界へ
探究とグローバル教育を軸にした学びが 社会とつながり、行動する力を育てる

所在地〒020-0122 岩手県盛岡市みたけ4-26-8

交通IGRいわて銀河鉄道「厨川」駅西口より徒歩10分

TEL019-641-0505(入試広報課)

HP chuo-hs.ed.jp/jhs/

 岩手県初の併設型中高一貫校として注目を集める盛岡中央高等学校附属中学校は、探究学習とICT教育に特に力を入れ、思考力・表現力・人間力を育てています。また、1963年の高校創設当初からグローバル教育を推進しており、世界に26校ある国際姉妹校との交流も盛んです。大学進学を見据えた体系的な学びと、生徒の可能性を伸ばすさまざまな取り組みについて、理事長の龍澤尚孝先生に伺いました。

風光明媚で落ち着いた環境のなか
学力と目的意識、
自分を確立する力を育成

校長写真
理事長 龍澤 尚孝 先生

広野 首都圏で貴校をまだ知らない方に向けて、まずは建学の理念や学校概要を教えてください。

龍澤 本校は、岩手県の盛岡市にある学校です。私立高校としては今年で63年目、学校法人としては73年目を迎えました。創設者はわたしの祖父で、みずからの私財を投じて人材育成のために立ち上げました。校歌には「世界の日本を打ち立て行かん」という歌詞があり、当初からグローバルな視野で教育を行ってきました。探究型学習を通じて世界や地域の課題に取り組み、現在も、学力と目的意識、自分を確立する力を育てようとしています。

広野 岩手の県民性や盛岡という地域についてはどう感じていますか。

龍澤 岩手県民は奥ゆかしく控えめで、理想主義的な人が多い印象です。大谷翔平選手のようにポテンシャルの高い人が多い一方、自分をアピールするのが苦手な傾向もあります。それを教育者として、どう引き出すかが課題ですね。また、盛岡市は新幹線で東京から2時間強の距離にあり、風光明媚で落ち着いた環境です。冬でも思ったほど寒くはありませんので、学ぶには適した場所です。

世界26校の国際姉妹校とつながり
探究力と英語力を実践的に鍛える

イメージ01全世界に国際姉妹校を持つ同校では、親善交流を通じて人種・国籍を問わず、同年代の生徒間の友情を深めています

広野 創立当初からグローバル教育に目を向けていたということですが、具体的な取り組みを教えてください。

龍澤 20年以上前から世界各地の国際姉妹校との協定を結び始め、現在は20か国・地域に26校あります。生徒が世界全体を見渡せるように、アフリカや南アメリカも含む世界のすべての大陸の学校と提携しました。ふだんはオンラインで交流しますが、毎年1回「CHUO国際教育フォーラム」を開催し、SDGsやグローバル課題について、多様な国の生徒と直接ディスカッションをしています。今年からは国際姉妹校との共同研究も始動しました。内容は、探究学習を発展させたものです。英語が共通言語のため、生徒はリアルに語学の必要性を感じながら、語学力と探究力を同時に養えます。

広野 ミッション系の学校のような特別なバックボーンがないなかで、これだけ多くの国際姉妹校を持ち、多様な地域と恒常的な関係を持っているのは珍しいですね。英語を実践的に使うという取り組みもすばらしいです。

龍澤 本校にはネイティブ教員が4名在籍しており、英語に親しめる環境は整えていますが、最も大切にしているのは国境を越えた同世代の交流です。意思を伝えたい相手がいるというのは重要だと感じます。国際姉妹校からは1〜2週間の短期留学生のほか、1年間の長期留学生も受け入れています。岩手にいながら、グローバルな環境が校内にあるのも魅力です。また、海外研修の制度は、約2週間の「グローバル・リーダー育成研修」といったものから1年間の留学まで、幅広く設けています。

地方での寮生活が自立を促し
日々の生活で責任感と協調性が養われる

広野 探究学習についても具体的に教えてください。

龍澤 特徴的なのは、先ほど話した国際姉妹校との共同研究です。大学の先生の協力も得ながら、生徒だけでなく教員も一緒に学んでいます。このほか、地域の企業と連携して課題解決にも挑戦しています。中学では、東日本大震災を経験した方々に話を伺い、地域貢献に生かす「震災学習フィールドワーク」といった探究学習もあります。地域課題とグローバル課題の両方に取り組み、バランスの取れた視野を養うのが狙いです。わたしたちの目的は「社会で活躍し続ける人材」を育てることなので、学校以外でも多様な人との接点をつくることを大切にしています。

広野 中学校を設立した理由を教えてください。

龍澤 岩手では中学受験文化がまだ浸透していませんが、理念に基づいた教育を実現し、社会のニーズに応える形でスタートしました。中学校は、中高一貫2期生が高校を卒業したばかりの新しい学校ですが、3年間ではなく、6年間の指導期間があると、さまざまな取り組みが可能になることを実感しています。たとえば、海外研修も発達段階に合わせて複数回行えますし、大学受験対策にも時間をかけられます。

広野 2026年度からは首都圏入試を始められるとのことですが、どのような狙いがありますか。

龍澤 わたしは、「子どもをいかに自立させるか」が本来の教育の目的だと考えています。寮生活は自己成長や自立に最適な環境です。親元を離れることで考える力も育つと思います。また、地方の学校への入学を機に、首都圏と地方との二拠点生活を送る家庭も増えているようです。

盛岡での学校生活を通じて、生徒が社会との接点を増やし、ロールモデルを見つけ、将来を描いていけるようになってほしいですね。

広野 最後に、首都圏からの受験生や保護者の方にメッセージをお願いします。

龍澤 首都圏の皆さまは、地方の中高一貫校というと、生活面や学習面で不安があると思いますが、安心できる安全な環境で質の高い教育や新しい取り組みを行っています。まずは、本校のオープンキャンパスで盛岡に来て、ぜひ学校と地域の魅力を実際に感じてみてください。「百聞は一見にしかず」です。

ONE POINT CHECK サピックスのワンポイントチェック

 同校は東大・医学部進学をめざす「東大・医進コース」と、探究による課題解決を通して主体性を高める 「みらい創造探究」の2コース制で、合否判定は志望コースごとに行われます。2026年1月12日午前に、東京会場(コモレ四谷タワーコンファレンス)で一般選抜(後期)が実施されます。入試優遇などの詳細は、ホームページでご確認ください。

INFORMATION

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
chuo-hs.ed.jp/jhs/

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