より良い文化祭の実現をめざして改革し、進化し続ける

朝から多くの親子が楽しそうに来場。校門を入ると迫力ある龍の巨大な立体看板が迎えます
9月20日(土)と21日(日)の両日、巣鴨中学校・高等学校の巣園祭(文化祭)が開催されました。晴天に恵まれた2日目、開場時間の9時を過ぎると同時にたくさんの親子が続々と校門を入っていきます。まず迎えてくれるのは迫力ある龍の立体看板です。力強く書かれている文字は、今年のスローガンである「龍躍」。龍が大空へと勢いよく舞い上がるように、生徒一人ひとりが大きく飛躍し、その力は学校全体へと広がっていくという思いが込められています。

生徒会長・文化祭総括管理責任者の石井誠さん(高1)。「より良い文化祭をめざす挑戦が生徒を飛躍・成長させます」と言います
「より良い文化祭の実現をめざして改革していくことが、生徒の活躍、飛躍、成長につながります。そういう意味も含めて“龍躍”ということばを選びました」と話すのは、生徒会長で文化祭総括管理責任者の石井誠さん(高1)です。「過去の良さを受け継ぎながら新しい挑戦を続けたい。運営体制は来年以降も改善する点があると思っています」と語る姿からは、伝統校の誇りと進化への意志が伝わってきます。
毎年多くのOBも来場し、後輩に激励の声を掛けたり、出展で協力したりと、在校生に力添えをしてくれます。石井さんは「ぼくたちが新しいことに挑戦するなかで、OBの先輩がサポートしてくれました。こうした絆が巣鴨の強みだと思います」と語ります。
生徒会活動では他校との交流も多く、石井さんは常にアンテナを張って情報収集に努めています。「他校と比較しても巣鴨は模擬店が充実しているのですが、その反面ごみの管理や片付けが課題でした。今年は一般生徒や事務の方の協力もあり、改善できました」と振り返ります。実際、会場内にはわかりやすいごみ箱が設置され、担当の生徒が来場者に声を掛けながら、ていねいに分別の仕方を説明していました。
飲食や音楽を楽しみ、伝統行事の歴史を知る

ずらりと並ぶ模擬店12店舗。飲食テント内の席数も多く、来場者はゆっくり楽しめます
飲食エリアには、焼きそばやホットドッグ、わらび餅、スイーツたこ焼き、かき氷など、12店舗がずらりと軒を連ねます。飲食の出店ができるのは高校生からで、班(クラブ)、クラス、有志で運営します。なかでも焼きそば店は朝から大繁盛です。複数の鉄板で次々と焼きそばが作られ、店頭には行列が絶えません。
おいしそうなにおいと笑顔が広がり、祭典の活気が一層高まるなか、剣道の招待試合も朝から始まっているとのことで、剣道場に向かいました。城北中高を迎えての試合は、中学生10名・高校生15名による対抗戦です。巣鴨が勝てば次は城北が勝つという一進一退の熱戦で、道場内には掛け声、竹刀がぶつかる音とともに歓声と拍手が響き渡っていました。
一方、校舎からは吹奏楽のアンサンブルの心地よい演奏が聞こえてきます。大きな木を囲むような構造の校舎の3階、吹き抜けのウッドデッキをステージに、吹奏楽班のパフォーマンスが始まりました。木漏れ日がやさしく差し込むなかで、聴衆が穏やかな表情で演奏に耳を傾けています。
伝統行事「大菩薩峠越え強歩大会」と「巣園流水泳学校」の歴史を紹介するコーナーも見応えがあります。強歩大会は61年の歴史を持ち、ゴール地点で手渡されるしおりを、昭和40年の第1回からすべて展示。時代ごとに変化するデザインの数々が、行事の歩みを物語っていました。希望制にもかかわらず新入生の9割が参加するという巣園流水泳学校の展示では、日本泳法の特色をわかりやすい映像で解説していました。

朝から大忙しの焼きそば店。おいしそうなにおいに誘われ、店の前には行列が伸びていきます

広い飲食エリアにわかりやすくごみ箱を設置。担当の生徒がていねいに分別を案内しています

「大菩薩峠越え強歩大会」61年分の「ゴールしおり」。伝統行事の歴史が伝わってきます

木漏れ日が差し込む3階ウッドデッキで演奏する吹奏楽班。アンサンブルでアニメ主題歌やディズニーメドレーなどを聴かせてくれました

城北中高との剣道の対抗戦。熱戦が続き、掛け声、竹刀の音、歓声と拍手が剣道場に響きます
展示や実演で楽しませる工夫
鉄道研究会は、「鉄研でありながら、レールにとらわれない」という意気込みどおり、斬新さと進化を追求した展示で、ジオラマを拡大し、巨大なプラレールタワーも製作。全国津々浦々の発車メロディが聞ける装置や運転シミュレーターもありました。2教室を使った広々とした会場では、真剣にジオラマに見入る小学生たちに生徒がていねいに説明していました。
生物班では今年製作した鹿の骨格模型などの展示のほかにイカやヒラメの解剖実演が行われ、小学生たちが興味津々で実験テーブルを囲んでいます。後方の来場者のために大型モニターで生中継する工夫も。生徒が「今、心臓を取り出しました」と言って心臓を持ち上げると、「おお!」と歓声が上がりました。
書道班は実演パフォーマンスを行いました。作品の見事な出来映えに見学者から拍手が起こります。書かれた文字の意味をていねいに解説する部員たち。来場者が希望する文字をその場でしおりに書いてプレゼントするコーナーもありました。
校内の茶室では茶道班による「巣園茶会」が開催されています。限定100杯の豆乳抹茶ラテは大好評で、午前の分はあっという間に完売していました。また、体育館「ギムナシオン」では、バンドやダンスチームが次々と登場してパフォーマンスを披露し、観客と一体になって盛り上がっています。
随所に巣鴨らしさを発揮して来場者を楽しませてくれた今年の巣園祭。「自分もこの伝統校に入学し、主催する側の一員になりたい」と感じた小学生もたくさんいたことでしょう。

書道班の実演を来場者が静かに見守ります。美しく力強い作品に拍手が起こります

賑やかな屋外とは対照的な、静寂の茶室。茶道班がお点前を披露し、おもてなしをする「巣園茶会」で心を落ち着かせます