2019年、日出中学・高等学校から現校名に変わり、日本大学の準付属校として再スタートを切った目黒日本大学中学校高等学校は、建学の精神に「質実剛健・優美高雅」を掲げ、「問題解決力」「進路実現力」「相互理解力」を養う中高一貫教育を実践しています。今春卒業した1期生の大学合格実績のほか、同校の教育内容、生徒の様子などについて、入試広報部主任の天野正貴先生にお話を伺いました。
国公立大・難関私立大に合格
主体的な姿勢が良い結果につながる
入試広報部主任
天野正貴先生
今春、中高一貫の1期生が卒業し、同校は一つの節目を迎えました。入試広報部主任の天野正貴先生は、学校の雰囲気について「心優しく、後輩思いで、何事にも積極的に取り組むタイプの生徒が多いです。この自由で穏やかな雰囲気は、1期生から後輩へと受け継がれているものだと感じます」と話します。天野先生が印象的な出来事として挙げたのは、1期生が高1になった際、高校からの入学生を対象とした4月の行事が多いことに注目し、「内部進学生も新年度を盛り上げよう」と、新しい行事を生徒たちが企画したことです。天野先生は「生徒たちは高1だけでなく、中学3学年までを含めた縦割りの班をつくり、目黒地域を散策しながらのクイズラリーを企画しました。この活動は「高1が企画し、下級生の中学生と親睦を深める行事」として今も受け継がれています。今年は上野散策に出掛けました。このように、1期生がつくり出した縦のつながりが、今も学校全体に良い影響を与え続けているのです」と説明します。
学校説明会のサポート役も、1期生の代から毎回50人以上の生徒が立候補して積極的に取り組んでいます。生徒たちには「受験生のときに、説明会で親切に接してくれた先輩たちへのあこがれ」があるので、自然に手を挙げるそうです。学校説明会ではプレゼンテーション、司会、受付、誘導、制服紹介、校舎見学なども生徒が担当しますが、フォーマルな場でのマナーや振る舞い方も、先輩から後輩へと受け継がれています。
このような校風をつくってきたのは生徒だけではありません。同校では、前身の日出中学・高等学校のころからの伝統で、教員全員が一丸となって個別相談や説明会などのすべての広報活動に取り組んでいます。「本校では新任の教員や副担任も含めて、積極的に参加しています。職員全員が生徒の目線に立ち、妥協しない姿勢で取り組んでいるのです」と強調しました。
充実した学校生活をつくり上げてきた1期生のがんばりは、大学合格実績にもつながっています。2025年春は、防衛大学校、山形大学、慶應義塾大学、上智大学をはじめ、国立・私立の難関大学への合格者を数多く輩出しました。天野先生は「先取り授業や英語教育を強化した効果もありますが、1期生が積み重ねてきた努力と、主体的な学びの姿勢が大きく影響しているのでしょう」と分析します。また、この成果は、後輩たちにも「1期生の先輩たちのように取り組めばいいのだな」という安心感を与え、学習意欲を高める要因になったそうです。2期生には東京大学志望者もいて、日本大学の準付属校でありながら、他大学を志望する生徒が年々増加しています。「ただし、進路については生徒一人ひとりの希望を尊重しています。一般入試で難関大学をめざすのも、総合型選抜に挑戦するのも、日大への進学を選択するのも自由です。たとえば、音楽が好きな生徒であれば、音楽大学への進学も選択肢に含めればいいと思います。自分の好きなことや得意分野を見つけ、それを伸ばすことが、将来の夢や目標につながると信じ、教員はサポートに徹しています」と天野先生は力強く述べました。
英語力を高め、積極性を養う
中3全員参加のオーストラリア短期留学
同校では英語教育にも力を注ぎ、チームティーチングの授業、スピーチコンテストなどを通じて4技能をバランス良く身につけていきます。中1から始まる週1回のオンライン英会話では、1人1台のタブレット端末を使って、それぞれがレベルに応じた内容のレッスンを約40分間マンツーマンで受けます。また、ネイティブ教員による週1回のイングリッシュホームルームでは、ゲームなどの親しみやすいアクティビティーを通して、楽しみながら英語力を伸ばしています。
中学3年間の英語学習の集大成として、中3は全員が約1か月間のオーストラリア短期留学に出掛けます。現地では各家庭に1人または2人ずつホームステイをして、午前中は現地の学校で語学プログラムを受講します。午後は同年代の現地の学生と一緒にアクティビティーなどに参加します。帰国後には研修の内容を発表する機会を設け、それが後輩へのアドバイスになっています。天野先生は「オーストラリア短期留学で積極性が養われ、滞在中に仲良くなった現地の生徒とは帰国後も連絡を取り合っています。現地の生徒が日本に来た際、本校の生徒が浅草を案内したこともありました。メールなどでの交流が続き、長期的な関係に発展するのです。この短期留学をきっかけに、中長期留学に挑戦する生徒もいます」とアピールしました。
希望者を対象に、3か月・6か月・1年間の中長期留学として、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、カナダ、アメリカ、マレーシアから留学先を選択できるプログラムもあります。1年間を選択した場合も、現地の学校で取得した単位が認定されるため、帰国後は元の学年に戻ることが可能です。
天野先生は「将来、広い世界で羽ばたくために、生徒にはさまざまなことに果敢に挑んで視野を広げ、新たな発見をし、成長してもらいたいと考えています。時には失敗することもあるでしょうが、学校はそれを許容し、共に学ぶ場です。チームメイトである学校の仲間と切磋琢磨しながら、いろいろな経験を積んでほしいのです」と述べました。
最後に、受験生やその保護者へのメッセージを頂きました。「今年度から、本校では広報実行委員という生徒主体の委員会を発足させました。教員の推薦などではなく、すべて立候補者で成り立っています。学校見学などで来校された際には、積極的に活躍する生徒の姿をぜひご覧ください」
生徒が主体となって運営する学校説明会の舞台裏。YouTube Liveの配信も生徒が行っています
中3でのオーストラリア短期留学では、生きた英語に触れながらホストファミリーやバディとのかかわり方を学びます