6年間の中高一貫教育により「社会に貢献できる人材」「国際社会で活躍できる人材」を育成する専修大学松戸中学校・高等学校。2000年に中学校を開校して以来、1期生から実施しているアメリカ・ネブラスカ修学旅行は、中3生全員が参加する同校の伝統行事です。現地でのプログラムや参加した感想などを、教頭代理の北村洋先生、中3の佐藤壱太さんと池部舞さんに伺いました。
体験型サマースクールとメンターとの活動で
現地の生徒・学生との距離を縮める
左から、佐藤 壱太さん(中3)、北村 洋先生、池部 舞さん(中3)
─修学旅行の狙いと特徴を説明してください。
北村 中3の6月に実施するネブラスカ修学旅行では、親元を離れて海外での生活を経験し、自立心を身につけること、異文化を理解して視野を広げ、自分の将来を考えることを狙いとしています。専大松戸のオリジナルプログラムで、1期生から現在までほぼ変わらない形式で続けているのが特徴です。
─現地でどのような活動をしたか教えてください。
佐藤 8泊10日の日程で、現地の大学の寮に宿泊しました。午前は体験型サマースクールに参加し、午後はメンターと呼ばれる現地の大学生と一緒に活動します。サマースクールでぼくが選んだのは、サバイバル工学の授業です。参加している現地の小中学生と専大松戸の生徒がグループになって、ゾンビから逃げるという設定でペットボトルでロケットを作ったり、お菓子で橋を作ったりしました。
池部 わたしは料理の授業を選び、アメリカの家庭のお菓子作りを体験しました。先生はとてもフレンドリーで、生徒に教えるというより、生徒と一緒に体験を楽しんでいるようでした。作ったお菓子を食べてみると、甘過ぎると感じました。日本の食べ物との違いを実感できたのはおもしろい経験でした。
─現地の生徒と接してみて、日本との違いを感じたことはありましたか。
佐藤 現地の生徒が積極的に話し掛けてくれたので、授業になじみやすかったです。「何が好きなの?」と聞いたりして、距離を縮めてくれたので、自分からも話し掛けやすい雰囲気になりました。
池部 もともと人と話すのが得意ではなかったので、不安もありました。でも、うまくいったときに、現地の生徒が「よかったね」と一緒に盛り上がってくれたので、楽しく過ごせました。最初は問い掛けに対して答えるのが精いっぱいでしたが、次第に自分から「一緒にやろうよ」と言えるようになりました。
─メンターとの活動についても教えてください。どのようにコミュニケーションを取りましたか。
池部 6~7人の生徒のグループにメンターが1人ついて、一緒に博物館や動物園を訪れたり、ショッピングをしたりしました。最初はわたしの英語がメンターにあまり通じていないようでしたが、あきらめずに話し掛けたら、理解してくれるようになりました。がんばって自分から話し掛けることが大切だと思いました。
佐藤 どのようにコミュニケーションを取ったらよいか、グループで事前に話し合い、メンターに日本の「しりとり」を教えたりして、親しくなっていきました。最後の日には「離れたくない」と泣いてしまうほど仲良くなって、別れがとてもつらかったです。
英語でのコミュニケーションに自信がつき
自分の意見を伝えることもできるように
─事前学習や事後の取り組みとして、どのようなことを行っていますか。
北村 中1ではグループごとに英語で作品をつくって発表する「イングリッシュデイ」を実施します。中2ではTOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)プログラムへの参加や、ネブラスカのミドルスクールの生徒と手紙のやり取りをする「ペンパルプログラム」などで、学んだ英語を活用します。また、日本文化や現地で役立つ会話表現なども3年間かけて学んでいきます。ネブラスカ修学旅行は、そのような学習活動の集大成という位置づけです。
直前には、自分のことを語るミニアルバムを作成したり、フェアウェルパーティーで日本語と英語の曲を1曲ずつ披露するため、朝の時間なども使って歌の練習をしたりしました。帰国後の7月には「ISAプログラム」を行います。これは、日本の大学・大学院で学んでいるアジア圏を中心とする留学生が、グループに1人ずつ入って、英語で交流するものです。最後に“My Future Goal”というテーマで全員がスピーチを行い、修学旅行で学んだことを将来にどうつなげるかを考えます。
─修学旅行を経験して、自分自身で変わったなと思うところはありますか。
佐藤 メンターに表現の仕方を教えてもらって、英語でのコミュニケーションがスムーズにできるようになったと思います。ぼくはもともと自分から人に話し掛けるタイプだったのですが、コミュニケーション力をさらに伸ばせたことを自信にして、これからもさまざまな人と良い関係を築いていきたいと考えています。
池部 英語ではリスニングが特に苦手でしたが、ネブラスカに行ってから、自分で聞き取って答えられるようになりました。英検®の2次試験で面接官の英語をしっかり聞き取れたので、力がついたことを実感しました。今は留学にも興味が湧いています。また、わたしはこれまで周りに流されるタイプでしたが、自分の意見を述べることを大事にできるようになりました。
─受験生にメッセージをお願いします。
佐藤 ネブラスカ修学旅行は、専大松戸でしかできない貴重な体験です。この体験をしたら、海外で働けるくらいの自信がつくと思うので、ぜひ本校を志望校として考えてみてください。
池部 修学旅行に行ってみると、自分の想像とは違う新しい発見があり、すばらしい体験ができます。少しでも興味があれば、専大松戸に入学して、この体験をしてもらえるとうれしいです。
北村 中3という大事な時期に、世界を広げて自分と向き合うことができ、豊かな人間性が身につくプログラムです。実際に行ってみると、生徒たちはたくさんの気づきや感動を得て帰ってきます。全員が参加する中3の海外への修学旅行を、これからも大切に受け継いでいきたいと思っています。
体験授業の1つである「生物解剖」の様子。オールイングリッシュで、現地の子どもたちと一緒に5日間参加します
午後のメンターとの活動で、ネブラスカ歴史博物館を訪問。メンターは生徒たちに明るく優しく接してくれます