十文字中学・高等学校では、2023年に台湾の実践大学と高大連携協定を結び、さまざまな相互交流を行っています。実践大学の寮に2週間滞在し、ハイレベルな英語の授業を受け、台湾ならではの文化体験ができる「実践大学 Asia Summer University」もその一つ。詳しい活動内容と、実際に参加した感想について、英語科教諭の土谷明子先生と、高2の小野七海さん、高1の横山珠己さんに伺いました。
2週間の台湾研修プログラム
海外ならではのカルチャーショックも
左から、英語科教諭 自己発信コース担当 土谷 明子先生
小野 七海さん(高2)、横山 珠己さん(高1)
─貴校は台湾・実践大学と提携を結び、国際交流を推進されています。夏に実施された「実践大学 Asia Summer University」の詳しい活動内容について教えてください。
土谷 本校は、2023年に実践大学および国立嘉義女子高級中学と協定を結んで以降、さまざまな国際交流プログラムを実施しています。その目玉といえるのが「実践大学 Asia Summer University」です。今年は8月2日~16日の日程で行いました。午前中は実践大学の教授による英語の授業を受けます。午後は代表的な観光地を訪れるシティツアーのほか、パイナップルケーキ作り、タピオカミルクティー&水ぎょうざ作りといった台湾ならではの異文化体験もできる、充実の2週間となっています。
─貴校からは何名が参加されたのですか。
土谷 本校からは、高校生5名です。一定以上の英語力が求められるため、校内応募資格を英検®準2級以上の取得者に限定しました。勉強や部活動で何かと忙しい夏休みですが、「それでも参加したい」という意欲的な生徒たちが集まってくれました。
スケジュールの都合などで参加できない生徒に向けては、希望制の「実践大学 出張授業」を開催しています。これは、本校に実践大学の教授と学生を招き、イノベーション思考やクリエイティブ思考を養う探究プログラムで、国内にいながら、実践大学の教育のエッセンスを体験することができます。
─次に生徒さんにお伺いします。「実践大学 Asia Summer University」への参加を希望した理由と、実際に受講した感想を教えてください。
小野 中3のときに参加した希望制のオーストラリア海外研修が刺激的で、「いつかまた海外に行ってみたい」と思っていたことから、迷わず手を挙げました。授業は、英語での自己紹介から始まり、ペアワーク、グループワークと活動の規模を広げながら、難度の高いディスカッションやプレゼンテーションへと発展していきます。初めは先生の英語を聞き取るのに精いっぱいで、ついていくのに必死でしたが、徐々に慣れていきました。
横山 わたしも小野さんと同じように、中3のオーストラリア海外研修に参加したことで、海外への関心が高まったので参加を決めました。印象に残っているのは、絵文字がかかれたプリントをもとに自分たちでストーリーを作るという創作活動です。積極的な発言を求められるので、最初は苦労しましたが、日がたつにつれ、周囲の参加者とも信頼関係が生まれていき、徐々に臆することなく意見を言えるようになりました。
─カルチャーショックもあったのではないですか。
小野 トイレでトイレットペーパーが流せなかったり、お風呂はシャワーだけで浴槽がなかったりと、日本との生活習慣の違いに少し戸惑いました。
横山 わたしが驚いたのは路線バスのシステムです。台湾のバス停では、自分から運転手にアピールしないと停車してくれません。バスに乗車した後も、日本では完全にバスが停止してから降車口に移動するように言われますが、台湾の場合はそこまで待ってくれないので、早めに出口付近に移動しなければならず、大変でした(笑)。
生徒の新たな一面が発見できる海外研修
2026年からはアメリカでも実施
─今回のプログラムを通して、どのような成長を感じましたか。
小野 グループで話し合う時間が多く設けられていたので、自分の意見を発することに抵抗がなくなりました。
横山 初対面の参加者同士で課題に向き合うなかで、協調性やコミュニケーション力が身についたと思います。
土谷 台湾も日本と同様、第一言語は英語ではありませんから、教授や学生の姿を見て「多少の発音や文法の間違いは気にせず、堂々と発言することが大切なのだ」という気づきがあったのではないでしょうか。また、大学の寮をお借りし、さまざまな国や地域から集まった高校生と共同生活を送るのもこのプログラムの特徴の一つです。けっして快適とはいえない環境下で、知り合って日の浅い多様な仲間と寝食を共にしたことは、柔軟性やたくましさを身につけるうえで良い経験だったと思います。
─貴校では、今後さらに新しい海外研修を増やす計画があると聞きました。
土谷 はい。新たにアメリカ・ワシントン大学と協定を結び、2026年2月から交流プログラムを開始します。台湾でのプログラムと同様、語学研修と現地でのアクティビティーを組み合わせた内容になる予定です。特にワシントン大学のあるシアトルには、アマゾン、マイクロソフト、スターバックスなど世界的企業が集まっていますから、オフィス見学なども実現したいと考えています。本校の海外研修の強みは、外部のエージェントを介さず、学校同士で直接協議するので、生徒の実力や興味に応じてコンテンツを自由にカスタマイズできること。それぞれの海外研修を、夏休み、冬休み、春休みと時期を分散して開催する予定なので、生徒の関心やスケジュールに合わせて選択してほしいと思っています。
─最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
小野 十文字は、授業でわからないことがあってもすぐに先生のところへ質問に行ける、温かい雰囲気のある学校です。充実した学校生活を送りたい受験生にぜひ来てほしいですね。
横山 常に新しい挑戦ができる学校だと思います。来年からさらに海外研修の選択肢が増えるので、それを楽しみに入学してほしいと思います。
土谷 わたしたちが考える海外研修のメリットは、日本の学校生活では目立たなかった生徒の一面が発見できるところです。自分自身も気づかなかった資質や素養が見いだせる良い機会なので、ぜひ多くの生徒にチャレンジしてほしいですね。
今年の「実践大学 出張授業」では、教授と13名の学生が来校。3日間にわたってグループで探究活動を行いました
「実践大学 Asia Summer University」の参加者と共に。動物園や観光名所などさまざまな場所を訪れ、台湾の文化にも触れました