一人ひとりに合った個別最適化へ
カリキュラム改革が進む
校長 本間 朋弘 先生
広野 学校改革を始めてから、中学入試の志願者数が増加しています。本間先生が校長に就任されて以降、さらに改革のスピードが上がったと感じます。
本間 わたしは神奈川県の公立高校に29年間勤務し、最後の9年間は横浜翠嵐高等学校など学力向上進学重点校で進学体制を構築しました。本校には2013年に着任し、進学指導を担当。副校長を経て2024年4月に校長に就任し、昨年9月からは中央教育審議会総則・評価特別部会専門委員として次期学習指導要領の策定に参画しています。社会の変化のスピードが速い今の時代こそ、学校も変わらなくてはなりませんし、改革が不可欠だと考えています。
広野 その筆頭がカリキュラムの改編ですね。
本間 大学入試ではすでに総合型選抜や学校推薦型選抜での入学者が50%を超え、学力だけでなく、非認知能力が求められるようになりました。非認知能力が重視されるのは、社会で再現する力を持つからです。カリキュラム改革は教育課程を柔軟化し、生徒の非認知能力を向上させるための取り組みです。
自分で授業を選んで学ぶ
自律型学習で個性を伸ばす
広野 ペーパーテストでは測定できない力を伸ばすということですね。
本間客観的な数値以外で能力を測る多様な評価を実施しようと、本校では2023年度から中学入試にプレゼンテーション試験とグループワーク試験を導入しました。これがカリキュラム改革のきっかけになっています。次の学習指導要領では、1人1台の端末を前提に、生徒たちは自分たちで学び方を組み立てていくことになります。それに先駆けて、個別最適な学びの実践に力を入れているところです。
広野 個別最適な学びのために、どのようにカリキュラムを変えたのでしょうか。
本間 たとえば、中学の英語の授業は週4時間あり、2時間は通常の一斉授業ですが、残りの2時間は自分で選択した授業を受けます。クラスや学年の枠はありません。中1から中3までが一緒に、日本人教員から学ぶもの、ネイティブ教員から学ぶもの、教員と対話しながら学ぶもの、自学自習で先取りして学ぶものなど、六つの内容から自分に必要な授業を選択します。
広野 個別最適化すれば、生徒の力をそれぞれの学び方で伸ばすことができますね。
本間 はい。数学の授業も同じ形式で実施しています。また、各教科とも単元テストでは知識の定着度を測り、定期試験ではプレゼンテーションや小論文など、パフォーマンス評価を中心に据えています。身につけた力を社会のなかで役立てるための準備です。
広野 欧米型の評価といえそうですね。
本間 自分の強みやとがった部分、個性を明確に理解している生徒が多いので、今後は大学入試の総合型や学校推薦型で今まで以上の結果を出していくと思います。
広野 自由度の高いカリキュラムの背景には、「考えて行動のできる人の育成」という建学の精神があるのですね。
本間 はい。生徒には自分で考えて、自律的に学校生活を送ってほしいと思っています。入学式や卒業式は生徒がすべて仕切りますし、体育祭で教員がマイクを握ることはありません。高校の修学旅行も生徒が行き先やプログラムを決めて業者とやり取りをします。実行委員がプレゼンをして生徒の総意で行き先を決めるのですが、こうした一連の経験のなかで企画力、修正力、プレゼン力、判断力など、社会に必要な要素が鍛えられていきます。
広野 改革の一環として、中学のコースも2025年度に再編されました。
本間 はい。「サイエンスコース」と「グローバルコース」に再編し、今後はさらに、サイエンスでは数学、グローバルでは英語の授業を増やす計画です。あわせて、中高とも2025年度から2期制に移行しました。高校では自由選択の授業を大幅に拡大し、学年制のより柔軟な運用を始めました。生徒は自分自身で必要な学びを選択し、自分だけの時間割で学んでいます。
プロジェクトフェスタは、他学年の生徒や学外の専門家などへ探究成果を発表する場です。自分の探究を文章・絵・図などで「表現」するプロセスを繰り返し、「創造」する力を育てながら、サイエンス・情報リテラシーや、クリティカルシンキングの修得をめざします
社会に開いて、つながる
探究授業や高大連携が充実
サピックス
教育事業本部 本部長
広野 雅明
広野 探究学習の充実も強みですね。
本間 卒業までに「自律・対話・創造」の力を養うことを目的に探究授業を行っています。まず中1では、社会の一線で活躍するトップランナーの講義を受け、中2からは各自で探究のテーマを決めていきます。テーマは自由ですが、社会とつながっているかどうかを重視しています。探究学習の成果は年に一度の「プロジェクトフェスタ」で発表します。外部のアドバイザーもお招きするのですが、そのアドバイザーへの依頼も生徒たちが行っています。
広野 高大連携も非常に活発です。
本間 現在15大学と高大連携協定を結んでいます。大学の講義を聴講して本校の単位を取得できる制度もあり、生徒たちは放課後や夏休みを利用して大学に出向いています。高大連携講座を受講した生徒がその大学に興味を持ち、総合型や推薦型で進学するケースも増加しました。たとえば、産業能率大学への進学者は2桁にもなります。実際に行って学ぶことの意味は大きいです。
広野 自分が学びたい大学に進学すると自己肯定感が高まり、入学後も一生懸命に学んでくれそうですね。
本間 学校の最も重要な役割は、社会で生きていく力をどう育てていくかです。子どもたちはみんな「自分もできるかもしれない」という自己効力感を持っています。こうした能力をさらに高められる学校にしていきたいと考えています。
広野 最後に、受験生と保護者の皆さんにメッセージをお願いします。
本間 横浜創英の教育は学校のなかだけで閉じていません。常に社会に開き、つながり、社会のなかで生き抜いていく力を育てようとしています。お互いを認め合う環境で多様な生徒が活躍している学校でもあります。ぜひ自由なカリキュラムの下で伸び伸びと学んでください。