東大や医学部の志望者増に応え
2027年度より中3に「TXクラス」を新設
中高一貫部 教頭
小林 佑樹先生
「自立した学習者」を育む指導の下、大学進学実績を着実に伸ばしてきた大宮開成中学・高等学校。中高一貫部20周年を迎えた昨年春には「GMARCH合格者数全国1位」という快挙で注目を集めました。
「これまで積み重ねてきた教育改革の成果が形となり誇らしい半面、まだまだ改革の余地はあると考えています。次なる20年を見据え、時代に合わせた学びを次々と提供すべく、すでに『NEXT20』というプロジェクトを始動させています」と、小林佑樹先生は話します。
その柱の一つが、東大・京大・医学部をめざす「TXクラス」の新設です。現在、中高一貫部の中1~3は、習熟度別に「Tクラス」と「Sクラス」の2クラスに分かれていますが、現在の中2が中3に進級する段階で、最上位クラスという位置づけの「TXクラス」を加えた3クラス体制に移行します。「中学開校当初に比べ、成績上位層の入学者が増加したこともあり、高度な授業を提供できる土台が整ってきました。それに伴い、最難関大学や医学部への進学志望者も増えているので、最先端の理系人材を育成するクラスの必要性がありました。もちろん、現状に甘んじることなく、トップ進学校と肩を並べるような『進学実績を打ち出す』という挑戦もあります」と小林先生。
現在、教科横断型の学びとディスカッションを重視した双方向型授業を導入しての「アカデミックな学び」への準備が着々と進められています。たとえば、英会話の授業では、学術的な論文の執筆や、英語によるディスカッションやディベートを標準化する予定です。理系分野では実社会の最先端技術に触れる体験を重視。医学部志望者向けの勉強会「MPP(メディカル・パイオニア・プログラム)」への参加や、JAXA関連施設などを活用した「サイエンスツアー」も計画しています。「ほかにも中学で習った基礎範囲で東大の入試問題にアプローチする『東大対策ゼミ』の開講など、各教科担当者がさまざまな企画を検討しています。最初は30名1クラスの設置で、成績上位者からの選抜となります。志望校選びの段階で「TXクラス」新設を知って入学してくれた生徒も多く、今まで以上に、学習意欲の高まりを感じています」と小林先生は説明します。
理系志望の受験生に対応するため、2027年度入試では、1月12日午後に算数1科入試も新設されます。「募集人員は20名を予定しています。大宮駅からのアクセスの良さを活用して、多くの受験生に挑戦してもらいたいですね」
社会問題に目を向け
人間関係を構築する宿泊行事
一流の進学校に向かう舵取りの一方で、開校以来守り続ける校訓「愛・知・和」の精神に基づく人間教育の土台は「けっして変えない」と小林先生は強調します。「進路や職業のニーズは時代とともに変わりますが、他者と協働し、たくましく社会を生き抜く力を養うことはどんな時代であっても学校教育の使命であるとわたしたちは考えます。勉強をたくさんさせる学校と言われる本校ですが、宿泊を伴う学校行事も実はとても多く、夢中にならざるを得ない仕掛けを豊富に施しています」
たとえば、中1では自然豊かな環境へサマーキャンプに出掛け、農業や牧場での職業体験や星空観測などを通して、自然環境と人の営みについて考えます。中2では奈良・京都に出向き、歴史的建造物や街並みに触れ、日本文化を肌で感じることで、日本という国について考えるプレゼンテーションへとつなげていきます。
これら中学3年間を通じた探究の集大成として、昨年度より導入されたのが「中3・沖縄国際平和研修」です。「以前は国内での留学生交流合宿を実施していましたが、真の国際人となるためには、沖縄の過去・現在・未来を知る必要があるという思いから、平和を深く意識する研修を導入しました」と小林先生。平和祈念公園や戦争史跡を訪れて過去の戦争を学ぶだけではなく、沖縄国際大学の学生の案内で米軍基地周辺を散策してディスカッションを行うなど、「今の沖縄が抱える問題」を直視するプログラムが盛り込まれているのが特徴です。「自分たちと年齢の近い大学生から伝えられる現状に、『自分たちが担い、解決していくべき課題』としての意識が芽生えるようです。研修後も関連書籍を読むなどして、みずから探究テーマへと発展させていく生徒が増えています」
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中学校開校20周年記念のクリアファイルは、公募で選ばれた中3の女子生徒によるデザインです
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6月に実施される中1のサマーキャンプ。農場や牧場での職業体験、星空観測などを行い、生命や自然環境に触れます
先輩から後輩へと受け継がれる
他者を思いやり、協働できる人間力
さらに、2024年から高2に「チャレンジキャンプ」が新設されました。自然豊かな高原での3泊4日の勉強合宿ですが、前出の中1・サマーキャンプと同日程・同施設で行われます。「高2は大学受験へとシフトするための自学自習がメインで、一方の中1は自然のなかで体験学習を楽しみます。一部、山登りや飯ごう炊さんなどを合同で行い、高2が中1をリードする仕組みです。上級生が下級生の面倒を見て、下級生は上級生の背中から学ぶ。これは本校が開校以来大切にしてきた教育の形です。『先輩がこんなことをしてくれたから、自分も後輩にこうしてあげたい』。このマインドこそが、本校の校風を形づくっていると実感しています」と小林先生は笑顔で話します。
中学校開校20周年となった昨年の夏には、1期生から15期生の卒業生に声を掛けて、式典「ホームカミングデー」が開催され、300名ほどが母校に集まりました。「式典の後は、学年ごとに教室に再集合。元担任の先生たちも加わり、思い出話に花が咲く、さながら大同窓会のようでした。こういう機会をこれからも設けたいですね。職種や大学・学部ごとの部屋割にして、在校生も参加できるようにするなど、楽しい企画も思い描いています。世代を超えて、大宮開成の出身者のつながりが広がってほしいと考えています。次なる20年、その先に向けて、これからも『入りたくなる・帰りたくなる学校』をめざしていきたいと思います」と、今後の抱負で締めくくりました。