受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 小学校やサピックスの授業は、時間割に沿って進められますが、家庭学習には決まったスケジュールがないので、それぞれの教科にかける時間はお子さんによってさまざまです。お子さんに合った4教科の学習時間のバランスは、どのように考えればよいのでしょうか。所沢校校舎責任者にアドバイスをいただきました。

第144回「家庭学習における
教科ごとのバランス」
回答者/所沢校校舎責任者

高学年は算数を軸にして考えるのが基本
反復が必要なものをバランス良く組み込む

 1~3年生の場合、サピックスでは、2週間単位でカリキュラムが組まれているため、次の授業までに時間の余裕があります。家庭学習の教科ごとの時間は、特に意識しなくてもよいでしょう。低学年ならではの自由な思考力を伸ばすことも大切なので、ある程度、お子さんがやりたいようにやらせても大丈夫だと思います。
 ただし、特定の教科に偏り過ぎないように注意してください。特に算数と国語には、それぞれお子さんが持っているセンスも関係するので、得意な教科の問題ばかりをどんどん解き進めることもあるかもしれません。しかし、どちらも重要な教科であり、低学年のうちに基礎を固めておきたいので、一方がおろそかになってしまうのは避けたいところです。
 4年生からは、基本的には算数を軸にしてスケジュールを組み立てることになるでしょう。教材の分量が多いこともありますが、単元もかなり枝分かれしているため、解き方を身につけるためには、それなりの時間をかけて、たくさんの問題をこなしていく必要があるからです。
 国語は、人間関係や感情の理解、語彙力など、さまざまな要素がかかわる教科です。特に文章問題は、時間をかければ力がつくとは限りません。あえて言うなら、授業で扱う文章を使って、総合的な考え方をしっかり学んでいくのがよいと思います。一方で、漢字や語句などの知識は、反復して取り組めば確実に点数につながる部分なので、家庭学習に優先的に組み込む必要があります。
 理科・社会は、毎日少しずつでもこつこつと取り組むスタイルが合っているでしょう。早い段階で、理科や社会の特定の分野に興味を持つお子さんは多いと思います。好きな教科や得意な分野を持つことは大切ですが、興味がある分野ばかりに時間をかけ過ぎないように注意してください。気をつけなくてはならないのは、やはり「バランス良く時間を配分して学習する」ことです。

特定の教科に偏らないよう、保護者が目を配り
子どもに合った時間の使い方を見つける

 子どもは時間の感覚が大人とは異なり、先のことを考えて行動するのは苦手です。時間の経過を気にせずに、自分の世界に入り込み、好きなことに熱中してしまうことも少なくありません。それだけに、時間をうまく使うには、保護者の方からの働きかけが重要になります。お子さんが家庭学習で取り組んでいることに目を配り、特定の教科に時間をかけ過ぎていないか、まったく手つかずになっている単元はないかを確認します。もし何らかの教科に偏っていたら、その時間を区切るようにして、「次はこの教科をやろう」と誘導してみてください。
 家庭学習の成果を確認するには、デイリーチェックの点数が目安となります。思うような結果が出ていなかったら、その教科の時間を長めにとるなど、バランスを見直しましょう。そうしたことを繰り返していくと、お子さんにとってベストな時間の使い方がわかってくるはずです。
 また、時期によっても、教科ごとのバランスを変えなくてはならないケースが出てきます。6年生の9月以降は入試対策に取り組むため、4教科にそれぞれ同じくらいの時間をかけ、苦手な教科があればその時間を長めにするのがよいかと思います。さらに入試直前の12月ごろに追い込みをかける際には、点数に結び付けやすい理科・社会にかける時間を長めにすることも考えられます。お子さんの力を最大限に引き出せる時間の使い方に悩むときには、講師に相談するのも一つの方法です。
 なかには、1週間のスケジュールを分刻みで細かく立てる保護者の方もいますが、そのとおりにできることはほとんどないと思われます。教科ごとの時間を区切ることは大切ですが、厳密に管理し過ぎてもうまくいきません。お子さんが学習していることに無関心では困りますが、介入し過ぎるのも考えものです。「ほど良い距離感」で見守ってあげてください。
 なお、お子さんの学習の中心となるのは、あくまでも授業で学ぶことです。初めから家庭学習を頼りにして、「家でやればいいだろう」と考えてしまっては、学習自体がつまらないものになってしまいます。「授業が基本で、家庭学習でしっかり理解する」というサイクルを繰り返していくなかで、お子さんの特性に合った4教科のバランスを見つけてください。

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