受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 国語の物語文では、登場人物の気持ちを答える記述問題が頻繁に出ます。高学年になると、指定される文字数が多くなるため、「書こうと思っても、最後まで答案を埋められない」と悩むお子さんもいるのではないでしょうか。「気持ち」を問う記述問題に対して、どのようなことに気をつけて答えればよいのか、茗荷谷校校舎責任者にお話を伺いました。

第145回「国語の『気持ち』を問う
記述問題への取り組み方」
回答者/茗荷谷校校舎責任者

まず結論となる気持ちを探し
「理由」や「対比」を加えていく

 ほかの人に何かをことばで説明するときには、大きく分けて三つの方法があります。同じ内容を繰り返すこと、理由を説明すること、対比させることです。
 記述問題で何を書いたらよいかわからない場合、同じ内容を、少し表現を変えて、繰り返し書いて文字数を稼ごうとする答案がよく見られます。しかし、答案は「解答に必要な要素が入っているかどうか」で採点されるので、同じことを何度書いても、一つの要素としか認められません。会話では何度も繰り返す方法もよく使われますが、国語においては理由を説明するか、対比させるか、どちらかの方法で答案を作ることが求められます。
 そのためには、まず答えの「結論となる部分」を見つけることが重要です。登場人物の気持ちは、本文中の行動や表情などに表れているものです。たとえば、「うれしい」という気持ちが結論になると思ったら、次に「なぜうれしいのか」を考え、それが「ほめられたから」であれば、「なぜほめられたのか」を考えてみてください。それぞれの理由をつなげていくと、一つの解答ができ上がります。あるいは、「うれしい」に対して、「以前は叱られて悲しかった」という気持ちが本文にあれば、それを対比させます。
 「理由」と「対比」のどちらで答えたらよいかは、問題文の条件に示されていることがあります。「理由を踏まえて」とあれば、当然理由を答えることになり、「違いを踏まえて」とあれば、何かを対比させることになります。本文はもちろん、問題文も注意して読み、作問者の意図をとらえるように気をつけるとよいでしょう。
 結論から考える習慣をつけると、あまり時間がないときでも対応できると思います。書き始めの部分から考えると、結論に至る前に時間切れになってしまいますが、結論がわかれば、文章の最後に入れるものは決まるので、一つでも理由を加えて書けば、意味が通じる解答ができます。記述問題では完璧な答案を作らなくても構いません。とにかく書くことを恐れず、「何かを書いて、1点でも多く取る」ことを心がけてください。

会話でことばのバリエーションを豊かに
内容よりも書き上げたことを評価する

 登場人物の気持ちを読み取るのが苦手なお子さんは、「自分だったら」と主観的に考えてしまう傾向があるようです。登場人物の気持ちを考えるためには、気持ちを端的に表すことばのバリエーションを増やすことも重要になります。
 ご家庭では、日常の会話の際に使うことばの質を上げるように心がけてください。たとえば、うれしいときも、おもしろくないときも、すべて「やばい」で済ませてしまうと、どんな気持ちなのかはっきりとわかりません。「やばい」では結論にはならないのです。ふだんから、細かに心情を表現する環境に身を置いていると、結論の部分を表すことばも豊かになります。必要以上に子どもっぽいことばを使うのは避けて、大人が使うことばで会話をすることをお勧めします。
 また、お子さんが記述問題に取り組んだときには、まず、「最後まで書き上げた」ことに対して、「よく書けた」と評価してあげてください。書いた内容に対して「これは違うよ」などと言うと、お子さんは「怒られるくらいなら、書かないほうがましだ」と思い、書くことに拒否反応を示してしまいます。
 お子さんと一緒に答え合わせができるような関係であれば、記述のどこが間違っているのかを確認し、模範解答の根拠となるのは本文のどこなのかを一緒に探してみるとよいでしょう。「なぜそうなるのか」と保護者の方が質問し、お子さんが答えていくと、解答の根拠となる部分が必ず本文のどこかにあることがわかると思います。お子さんとのやりとりのなかで、親子で衝突しそうになったり、根拠となる部分がうまく探せなかったりしたら、講師に相談してください。
 記述への抵抗をなくし、気持ちをことばで表現できるようにするために、ご家庭で心がければできることはたくさんあります。保護者の方は使うことばに気をつけながら、ふだんから心情を豊かに表現して、お子さんとの会話を楽しむようにしてください。

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