受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 「勉強しなさい」「どうしてわからないの」保護者の方が子どもについ言ってしまうことばですが、子どもの立場になってみれば、これでやる気にはならないでしょう。「こうすればやる気が出る」という方程式のようなものもありませんが、少しでも子どものやる気が出るように導く方法としては、どんなことが考えられるでしょうか。仙川校校舎責任者にお話を伺いました。

第153回「子どものやる気を引き出すために
保護者ができることは?」
回答者/仙川校校舎責任者

規則正しい生活習慣と集中できる空間づくり
会話では勉強にかかわる内容を自然に取り入れる

 親子の関係では、距離が近過ぎて意識しづらいですが、そもそも子どもは一人の人間です。子どもの気持ちを親が完全にコントロールしようとすること自体に無理があるのではないでしょうか。それを前提として、子どもがやる気が出るように導く方法を考えるとよいでしょう。
 多くの子どもたちを見ていると、「勉強ができたほうがいい」「できるようになりたい」という気持ちは、みんな持っているように感じます。その思いを信じて、応援してあげることが保護者の大きな役割だといえます。
 応援するだけではなく、保護者の方が実際にできることとして挙げられるのが、勉強しやすい環境づくりです。まず規則正しい生活習慣をつけること。「○時に起きて、○時に食事をとり、○時には寝る」という生活の流れのなかに勉強の時間を入れるようにして、日々の習慣にしていくのが理想です。「気が向いたらやる」「時間が空いたときにやる」としていると、いつまでも手をつけられません。生活のスケジュールを決め、勉強もその一部として「毎日するのが当たり前」という感覚を身につけられるとよいでしょう。
 集中できる空間をつくることも重要です。たとえば、子どもが勉強しているそばで、親が楽しそうにテレビを見ながら話していたら、勉強に身が入るわけがありません。また、調べたいことがあったときに、図鑑や資料集などがそろっていると、その場ですぐに手に取れます。理科・社会をはじめとして、何かに興味を持ったことをきっかけに、得意教科になるケースも多いものです。そのような興味の芽をふくらませる空間を用意してあげるとよいでしょう。
 さらに、保護者の方にも勉強に興味を持っていただきたいと思います。ふだんの家族の会話のなかで、勉強にかかわる内容が自然に出てくるのがベストです。「今日オリオン座がきれいに見えたね」「北海道に出張に行ったとき、おいしい牛乳を飲んだよ」などと、自分が体験したことを話題に出すと、お子さんも興味を持ちやすくなるでしょう。
 ニュースで扱っている話題を取り上げるときには、子どもを「大人扱い」して、大人同士の目線で話し合ってみてください。実際に中学入試の問題でも、大人の目線で問われることが多くあります。机で問題を解くだけが勉強ではなく、ご家庭でふだん話していることが、どこかで勉強に結び付くこともあります。

結果だけでなく「そこまでのがんばり」をほめて
うまくいかないときには講師に相談を

 何よりもお子さんのやる気につながるのは、ほめてもらうことでしょう。テストの結果をほめるのはもちろんですが、「そこまでのがんばり」を認めることが大切です。結果に表れていなくても、「ここまではがんばったね」「この単元は前よりできるようになったね」といった声掛けがあると、お子さんは自信を持てるようになります。「このままがんばれば結果につながる」という気持ちになれるように、前向きなことばを掛けることを心がけましょう。
 保護者の方が結果ばかりにとらわれていると、その気持ちがお子さんにも伝わります。お子さんは、「結果が出ていないから勉強に向いていないんだ」と思ってしまいがちです。目先の結果にとらわれず、勉強する姿勢がきちんとできていたら、その部分をたくさんほめてあげてください。
 最終的には、入試が迫ってくると焦りを感じて勉強するようになります。できるだけ早く志望校を決められると、入試への実感を持ちやすくなり、やる気につながるという面もあると思います。
 中学受験で出題される内容は、相当に高度であり、しかも広範囲にわたります。それに向き合っているお子さんの大変さを理解して、寄り添う姿勢で接してください。親子という近い間柄だからこそ、直接のことば掛けが良い方向にいかない場合もあります。そのようなときは、わたしたち講師にぜひご相談ください。すぐにうまくはいかないときでも、いくつかの方法をご提案することはできますので、一緒にお子さんの学習をサポートさせていただければと思います。

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