受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 家庭には遊びの誘惑になるものがたくさんあるので、ただお子さんに「勉強して」と言っても、集中してやるのは至難の業でしょう。ご家庭によって状況も違いますが、そのなかで保護者の方ができる限り環境を整えることが重要だといえます。勉強に集中できる環境づくりのポイントと、休憩時間の設定の仕方や過ごし方について、日吉校校舎責任者にお聞きしました。

第156回「勉強に集中できる環境づくりと
休憩時間の過ごし方」
回答者/日吉校校舎責任者

遊ぶものを近くに置かない環境で勉強
「つかず離れず」の親子の距離感も大切

 勉強しやすい環境を整える際にまず必要なのは、物理的な空間を用意することです。子ども部屋を設けているご家庭が多いと思いますが、同じ空間にタブレットやスマートフォン、本や漫画などが置いてあると、勉強だけに集中するのは難しいでしょう。
 お勧めしたいのは、お子さんごとに部屋を分けるのではなく、「遊ぶ部屋」「勉強する部屋」と目的ごとに分ける方法です。勉強する部屋には遊ぶものを一切置かず、遊ぶ人は入ってはいけないというルールを決めます。まだ小さいお子さんがいる場合でも、勉強する部屋では本を読むなど、静かに集中できる環境にすることを意識して過ごします。その部屋では勉強以外のことはできない状態なので、集中しやすくなると思います。
 とはいっても、住宅事情などにより目的別の部屋を用意できないこともあるでしょう。その場合は、「リビングで勉強する」と決めるのも一つの方法です。親と同じ空間にいたほうが、人の目が届かない子ども部屋よりも、勉強しなくてはならない環境になりやすいと考えられます。
 もう一つ、勉強しやすい環境づくりで大きな意味を持つのは「親子の距離感」です。隣に座り、付きっきりで勉強を教える保護者の方もいますが、ずっとその状態のままにしていると、お子さんは自立して勉強することができなくなってしまいます。自立させるタイミングを見極め、徐々に手を離していくようにしてください。たとえば、「4年生の夏からは子どもが自分で採点する」と決めたら、4年生になったら保護者の方がどのように採点しているかをお子さんに示して、自分でできる部分を少しずつ増やしていくとよいでしょう。
 また、保護者自身が何かに集中して取り組んでいる姿を見せることも大切です。家事や読書をしたり、おもしろそうな問題を一緒に解いてみたりすると、お子さんにも「勉強しよう」という気持ちが湧いてくると思います。
 親子の距離感は「つかず離れず」を心がけてください。べったりでも困りますが、勉強に関心がなさ過ぎてもお子さんが不安になってしまうので、「いつも気にかけている」という姿勢で見守ることを心がけましょう。「物理的な空間」と「親子の距離感」。この二つを両輪とすることで、勉強に集中できる環境を整えるのが理想だといえます。

勉強の合間の休憩は頭を休めて
長い休憩は好きなことをする時間に

 環境づくりとともに、オンとオフの切り替えも勉強への集中力に影響します。そこで、あらためて考えていただきたいのが、休憩時間の取り方やその過ごし方です。
 子どもの集中力は長くは持たないので、勉強時間は短めのサイクルのほうがよいと思います。たとえば、40分勉強したら5分休憩すると設定し、その時間でできるように学習計画を立てます。「この問題が終わるまで」と決めると、いつまでも終わらないという事態になりかねないので、時間になったら途中であっても一度終わらせるようにします。
 5分の休憩は、頭を休めるための時間としてください。動画を見る、本を読むなど、続きが気になるものは避けて、外の景色を見たり、好きな飲み物を飲んだり、好きな曲を1曲聴いたりするのがお勧めです。
 一方、食事をした後はすぐには集中できないので、30分程度と長めに休憩を取り、好きなことをする時間に充てるのがよいでしょう。4・5年生の休日なら、昼食の後に好きなことをする時間をある程度ご家庭で決めておけば、勉強との切り替えもしやすいのではないかと思います。
 保護者の方の重要な役割は、中学受験に挑むに当たって、お子さんを精神的に孤立させないことです。お子さんにきちんと向き合い、今ある環境のなかでできる限り協力する姿勢を見せてください。ちょうど学年が変わって少し経ったタイミングですので、勉強する環境や休憩時間の過ごし方を見直してみてはいかがでしょうか。

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