受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 志望校は、中学・高校の6年間を過ごす大切な場所になるだけに、慎重に選ぶのは当然のことです。しかし、なかなか決まらないと、お子さんのモチベーションが上がらず、合格に向けてやるべきことがはっきりしないなど、苦労することも考えられます。志望校選びをスムーズに進めるにはどうしたらよいのか、上大岡校校舎責任者に伺いました。

第158回「志望校選びを
スムーズに進めるには?」
回答者/上大岡校校舎責任者

遅くとも6年生の夏までに志望校を決定
学校を訪ねたときのフィーリングが大切

 「この学校に入りたい」という強い気持ちがあるかどうかで、お子さんの勉強に対するモチベーションは大きく変わります。特に国語の漢字や理科・社会の知識を覚えるなど、根気が必要な学習に差が出やすくなるように思います。なかには、6年生になっても志望校が決まらないというご家庭もありますが、結論を後にすればするほど状況は改善しにくくなります。遅くとも過去問対策が始まる夏ごろまでには、まず1校でもいいので、受けたい学校を見つけることをお勧めします。
 志望校選びの際に大切なのは、実際に学校を訪ねることです。6年生になるとなかなか見学に行く時間が取れなくなるため、5年生までに機会をつくって見学しましょう。3・4年生であれば、まずは保護者の方だけで見学し、ある程度学校の知識を得てから、翌年お子さんを連れていくという方法もあります。どの学校から見学すればよいかわからない場合は、まずはお通いの校舎のサピックス卒業生の進学者数が多い学校に行ってみるのもよいでしょう。
 「学校説明会では、どのようなところに注意すればよいか」という質問を受けることがあります。お子さんが学校でやりたいことが明確で、それがITや語学、または運動系の設備を伴うものであるならば、設備の確認は必須です。わたしがよくチェックするのは図書館です。蔵書数だけに注目するのではなく、きちんと本の入れ替えが行われているかなど、どれだけ手がかけられているのかも見てみましょう。注目すべきチェックポイントを、ご家庭で決めておくとよいと思います。学校説明会では、話をする先生だけではなく、ほかの先生にも目を向けてみてください。たとえば年齢構成や性別など、勤務されている方の様子から見えてくることもあるでしょう。
 情報誌やホームページ、口コミなど、情報を得る方法はたくさんありますが、最も重きを置きたいのは、保護者の方やお子さんが実際に学校を見たときのフィーリングです。「いいな」「ちょっと違うな」という直感は、当たっていることが多いからです。

志望校を絞るには、優先順位を意識
現時点の成績だけでは判断しない

 志望校をなかなか絞り切れないという場合は、譲れない条件と譲れる条件を考えてみましょう。家から近いほうがよいか、大学付属校か進学校か、男子校・女子校か共学校かなど、譲れない条件の優先順位を明確にすると、選びやすくなるのではないでしょうか。たとえば、面倒見の良い学校は魅力的に感じますが、過度の干渉を好まないお子さんの場合は相性が良くない可能性もあります。
 中学受験には、どんな学校に行きたいのかという方向性を決める「戦略」と、合格するためにどうしたらよいかという「戦術」が必要ですが、「戦略」についてはご家庭によって大きく異なります。学校見学をしながら、ご家族でしっかりと話し合って決めるようにしてください。受けたい学校が一つでも決まれば、より具体的な「戦術」を考えることができます。こちらについては、お子さんに合った受験方法や併願校のパターンなど、サピックスの講師が豊富な経験と情報を持っています。ご家庭の方針に合わせてサポートしますので、ぜひ相談してください。
 保護者の方のお子さんに対する評価は厳しくなりがちです。本人が受けたいと思った学校が、現時点で無理ではないかと感じたとしても、安易に否定をしないでください。今は学力や成績が足りなくても、行きたい学校があれば、勉強をがんばる意欲につながります。そのがんばりを見せられる環境をつくってあげることが、周囲の大人の役割だと思います。
 わたしがいつも教室で伝えているのは、「受けないと受からない」「受かりたいなら、必要な取り組みをしなければならない」ということです。志望校を決める時点で難しいと判断するよりも、合格するために何をすればよいのかを、お子さん自身が考えて実行できるようにすることが大切です。
 志望校に対する意見は、保護者の方とお子さんとで異なる場合もあるかもしれません。お子さんの気持ちをしっかりと聞き、保護者の方の思いも理由を合わせて伝えてください。最終的にお子さんが納得して、期待感を持って入学できる学校を見つけられるとよいと思います。

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