受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 国語の学習には、読む段階、解く段階、それぞれにさまざまなポイントがあります。あらゆる面からの理解力が求められるため、じっくりと取り組んで力をつけていく学習が必要となります。高学年になると文章量が増え、難度もアップします。5年生後期以降に直面する課題と見通し、得点力につなげていく土台づくりなどについて、松戸校校舎責任者にお聞きしました。

第161回「5年生後期以降の
国語の学習のポイント」
回答者/松戸校校舎責任者

教科の特殊性により、直面する課題もさまざま
体験や学習に基づいた「知識」も解答に影響

 5年生の後期になると、「国語の学習を今の方法で進めても大丈夫でしょうか」という相談が増えます。文章を読むこと一つにしても、「あらすじを説明してみよう」「根拠がどこにあるか考えてみよう」など、担当の講師によってアドバイスも異なりますが、すべて適切な指導といえます。国語の学習を物体で表すなら「サッカーボール」です。多面的なものなので、あらゆる面から理解し、解く力を鍛えていく必要があります。
 国語という教科の特殊性にも目を向けると、国語のテストには、他教科のテストと異なる特徴が大きく三つあると考えています。
 一つめは、文章を書いた人とお子さんとの相性、または、設問を作った人とお子さんとの相性が解答に影響する点です。二つめは、体験や学習に基づいた「知識」があると、読解に有利であることです。6年生になって学ぶ「公民」で得た世の中の知識や、幼少期の読み聞かせでの言語体験が影響することもあります。三つめは、特に文学的文章において、ことばの意味にふくらみがあることです。文字の通りに読んでも、意味が受け取れないケースがよくあります。
 これらの国語の特殊性が影響するため、直面する課題はお子さんによってさまざまです。実戦力が問われるようになってくる5年生後期以降の国語では、今後の見通しを考えつつ課題を認識して取り組むことがポイントだと考えています。

多くの文章に触れ、知識や情報をインプット
その土台を積み重ねて読解力につなげる

 5年生後期からは、論説文や少し大人向けの物語など、抽象的な文章やテーマが増え、その影響の受け方に女子と男子とでは異なった傾向が見られます。女子には、文章の流れを読み取れるお子さんが比較的多く、「だいたいこういう話だな」と、内容の方向性をとらえることができるのですが、この時期からはテストのつくりが少し細かくなり、流れをつかんだだけでは解答できない設問が出てきます。正しく読み解くためには「根拠をとる」ことが必要となります。男子の場合は、もともと持っている知識や情報が少ないお子さんもいるため、知っていることが書いてあると、その内容にこだわり、思い込みで解答してしまうという傾向があります。知識量・情報量を増やすために、さまざまな分野の文章に触れるように指導しています。
 6年生前期に入ると、文章の難度はさらに上がります。女子で、たとえば科学技術などに興味がない場合は、その分野の文章を読むことに抵抗が生じるようです。男子には、物語を中心に苦戦するお子さんが依然として多く見受けられます。
 克服するためには、6年生の夏期講習から夏を乗り越えていく時期が一つの山場といえるでしょう。サピックスのカリキュラムでは、この時期に大量の文章を読んで知識や情報をインプットしていきます。夏から少しずつ土台を積み重ねることで、個人差はありますが、秋以降のテストで結果が出てくるでしょう。
 「漢字・知識」「説明的文章」「文学的文章」という分野に分けると、「漢字・知識」は、『漢字の要』や『言葉ナビ』などにしっかり取り組むことが結果に表れます。これについては差が出やすいともいえます。また、「説明的文章」は、国語が苦手なお子さんでも得点できるようになることが割と多くあります。ことばの意味のふくらみが少ないので、ストレートに内容をつかめれば正解にたどり着けるからです。一方、「文学的文章」については、秋以降も苦戦しているお子さんが多いのですが、入試の直前期に急に伸びることがあるのも確かです。
 6年生の秋以降、多くの文章に触れて演習してきたことで、文章がある程度読めるようになっていたり、解法スキルが向上するとともに、記号選択問題の選び方に慣れてきたりして、得点力がアップすることがあります。記述問題についても、意識して設問内容を正確にとらえられるようになると、やはり得点する力が身についていきます。
 6年生の夏期講習からSS特訓の時期には、多くの文章に触れる機会が増えるので、読解問題の内容に関して「なぜそうなるのか」と積極的に考える姿勢を持って、最後まであきらめずに取り組んでほしいと思います。

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