受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 「算数の正解率を上げる」というと、まず「計算力をつける」ことを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それだけで必ずしも正解率が上がるというものではありません。「毎日算数の問題に取り組んでいるのに、成績がなかなか伸びない」と悩むお子さんは、テストに対する向き合い方や勉強法をあらためて見直してみることも大切です。その見直しのポイントについて、大宮校校舎責任者にお聞きしました。

第162回「算数の正解率を上げるために
見直したいことは?」
回答者/大宮校校舎責任者

問題文を読み飛ばさないように気をつける
ポイントとなることばには線を引く習慣を

 「算数の基礎力トレーニングやテキストの復習をきちんとやっているのに、テストの正解率が上がらない」という相談を受けることがあります。その理由はお子さんによってさまざまですが、まず見直してほしいことが二つあります。
 一つ目は、正解率が上がらない理由が、基礎トレやテキストへの取り組み方以外にあるかもしれないということです。具体的には、テスト当日の問題に対する取り組み方を見直してみましょう。たとえばマンスリーテストの場合、基礎トレと似ている問題が出されます。すると、なかには、数字が変わっただけのまったく同じ問題だと思って、問題文を読み飛ばして解いてしまうお子さんがいます。これまでに解いた問題の内容を覚えているので、問題文に「2桁の整数」と書かれているのに、3桁の整数を答えてしまったり、「道の両側に木を植えました」と書いてあるのに、片側だと思い込んでしまったりするのです。
 問題文には、数字以外の部分にも大事なポイントが隠されているので、問題文を読み飛ばすような解き方をしてしまうと、毎日きちんと基礎トレをやっていたとしても、テストでの正解率は上がりません。特にサピックスのテストや中学入試の文章題は、最初や最後に大事なことが書かれているケースがあるので、細心の注意を払って、しっかりと問題を読むように心がけてください。
 問題文の読み間違いを防ぐ対策としては、たとえば「四捨五入」など、ポイントとなりそうなことばに線を引く習慣をつけるとよいでしょう。また、テストの見直しをするときには、間違えた原因をメモしておくことをお勧めします。そのメモが増えていくにつれて、自分の間違えやすい傾向がわかってくるので、今後のテストの対策に役立ちます。

問題が完全に理解できているかを確認し
疑問点はなるべく早めに解消する

 二つ目のポイントは、基礎トレやテキストの復習が、本当にきちんとできているのかということです。毎日机に向かって問題を解いているお子さんの姿を見ると、「がんばっているな」と感じる保護者の方も多いことでしょう。しかし、毎日問題をこなすことと、問題を完全に理解することは必ずしも一致するわけではありません。
 たとえば、デイリーチェックテストの大問1は基礎トレの内容ですが、「基礎トレをがんばっている」と話していても、この部分の正解率が低いお子さんもいます。この場合はやり方を見直す必要があります。たとえば、基礎トレ用のノートには、答えだけではなく、式や解き方を書く欄がありますが、慣れてきたからといって、答えしか書いていないことがあるかもしれません。一問一問、解き方をしっかり理解しながら取り組むように意識してください。これはテキストの問題の復習においても同様です。保護者の方からすると、問題が理解できているかどうかを確認するのは難しいと感じるかもしれませんが、デイリーチェックなど小テストの点数がある程度取れていれば、おおむね理解できているといえます。
 また、問題の理解度を高めるには、ためらわずに講師に質問して、なるべく早めに疑問を解消することが大切です。「基礎トレは基本的な問題だから、質問したらだめかな」などと遠慮することはありません。特に算数が苦手なお子さんの場合、勇気を出して質問したことが最初の一歩となり、理解度が増して成績が伸びた例もあります。そして、テキストの復習をするときは、解答や解説をただ書き写すのではなく、授業で聞いた内容を振り返りながら、理解を深めていくようにしましょう。授業の板書をしっかり書き残しておき、それを見返すと、疑問点が明確になりやすいと思います。
 最後に、もう一つ意識しておきたいことがあります。それはお子さんの精神面です。小学生は、中学生や高校生に比べるとメンタルに左右されやすいので、その影響でテストの正解率が変わってくることもあります。ケアレスミスが多い理由が、受験にまだ真剣に向き合えていないからという場合もあるでしょう。入試が近づくにつれて、本気度は上がってくるものです。たとえすぐに結果が出なかったとしても、早いうちから心配し過ぎることはありません。そのことも踏まえながら、受験本番でベストを尽くせるように、学習を進められるとよいと思います。

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