受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 「子どもはがんばっているのに、なかなか成績が伸びない」と感じている保護者の方は、どうしても偏差値という結果だけを判断基準にしてしまい、実際に身についている力を見落としがちです。偏差値という数字のとらえ方、テストでの時間配分と「できる問題」に気づく重要性、そして、親としてどのような声掛けをすればよいかなどを、センター南校校舎責任者にお聞きしました。

第165回「がんばっているのに結果が出ないとき、
どうすればよいか」
回答者/センター南校校舎責任者

がんばった分、力はついているので、
できるようになったことを認めてあげる

 偏差値という目に見える結果が気になり、一喜一憂してしまう保護者の方は多いようです。「本人はがんばっているのですが、なかなか成績が伸びません」という相談もよく寄せられます。
 偏差値というのは、テストでの平均点からの距離です。全体のなかでどの位置にいるかを示す数値であり、そのテストを受けた全員の得点によって左右されるものなので、自分一人でつくっている数字ではありません。「がんばっているのですが」とありましたが、偏差値はがんばらなければ上がらない数字である一方、がんばったから必ず上がる数字ではないともいえます。
 しかし、「がんばった分、力がついている」ことは間違いないので、目に見える「偏差値」と積み重ねた「学力」は別物として考えてほしいと、保護者会などでもお話ししています。偏差値は、お子さんの学力のすべてを示しているものではないということを理解して、テストでできていた部分は、「ここはできるようになったね」と認めてあげてほしいと思います。たとえば国語で、漢字やことばの知識の問題はこつこつとがんばった成果でしっかり得点できたけれど、読解問題ができなくて偏差値が伸びなかったという場合もあるでしょう。そんなときは、「がんばったところは点数が取れたね」と声を掛けてあげてください。
 テストを受けたら、むしろ偏差値が出る前に、自己採点して分析してみるのもよいでしょう。最近、保護者の方から「先日のテストの自己採点をしてみたら、あまりにもできていなくて落ち込んでいます」という相談がありました。これは正しい取り組み方だといえると思います。偏差値という結果が出る前に自分で問題を振り返り、どう改善していくかをすでに考えているからです。

取りこぼさないための時間配分が重要
「できる問題」を知るためにテストを活用する

 テストには制限時間があります。本人はなんとか良い成績を取ろうとしますが、その制限時間があるがゆえに、手をつけられなかった問題があったり、時間内に終わらせようと思って、焦りがミスにつながり、取りこぼしたりすることもあります。つまり、そこで得点できなかったのは、理解できていなかったからではないのです。落ち着いて解けば得点できたのなら、力は持っているといえます。これが偏差値という数字には表れない力です。
 テストの際には、全部解くためではなく、点数を取りこぼさないための時間の使い方が重要です。全部解いて、時間が余ったら見直しをするのではなく、できない問題には時間をかけず、できた問題の確認に時間を使ってほしいと思います。じっくり見直すというよりも、設問文を読み間違えていないかなどを確認しましょう。たとえば国語だと、「ふさわしくないもの」を選ぶ問題で「ふさわしいもの」を選んでいるお子さんが、6年生になっても多く見られます。解いた後に、設問文の「ふさわしいもの」「ふさわしくないもの」をチェックするだけでも、取りこぼさないための対策になります。入試本番では、取れるところは1点も落としたくないので、できた問題こそ見直す時間が大切です。
 この「できる問題」「取りこぼさない問題」を知るためにテストがあるので、うまくいかなかったときには、それを知るチャンスがあります。ご家庭では、テストの結果を分析するお手伝いをしていただければと思います。できなかった問題のなかから、時間があればできたもの、見直していれば気づいたミスなどがわかれば、「できる問題」が見えてきます。「ここから点数が上がるチャンスはいっぱいあるよ」などと、前向きな声掛けをしてください。
 また、「今日はテストなんだからがんばって」などと言って、テストの日を過剰に特別視するのは避けたほうがよいとも思います。気合を入れ過ぎるより(もちろん気が抜けてはいけませんが)、持っている実力を100%発揮できる精神状態で臨むのが一番です。授業や家庭で練習問題を解いているときのように、なるべく平常心で臨むことを意識して、送り出してあげてください。

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