受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 新学年での学習がスタートするこの時期に、家庭学習の進め方に戸惑っているご家庭は多いのではないでしょうか。家庭学習の良いリズムをつくるために重要なことが、授業と家庭学習との効果的な連動です。学習効果の高いノートの取り方や活用方法、家庭学習の内容や優先順位の決め方、保護者としてサポートすべきことなどを、東戸塚校校舎責任者にお聞きしました。

第167回「家庭学習の良いリズムとは?」回答者/東戸塚校校舎責任者

家庭学習は、授業の記憶が鮮明なうちに始める
「自分に必要なこと」を残す意識が大切

 家庭学習の目的は、授業で習ったことや身につけたことを定着させることです。そのために、授業の記憶が残っているうちに始めることが大切になります。
 その際に重要になるのがノートや授業中のメモです。講師が板書したことを後で見返してテキストの要点を確認することは、ノートやメモを取る目的の一つですが、そのノートやメモをどの程度見返しているのでしょうか。たとえば、マンスリーテストの前に復習しようとするとき、結局、テキストのテーマや解説をじっくり見返しているお子さんも多いのではないでしょうか。
 実は、ノートやメモを取る目的はほかにもあります。それは、授業を思い出す材料として活用することです。そのために、講師が板書した内容を書くことに加えて、講師の話で大切だと感じたことをメモしたり、「ここがわかった」「先生のあの話がおもしろかった」という自分なりの感想をメモできたりするとよいと思います。そうすると、ライブ感のあるノートやメモができ上がり、授業を思い出しながら家庭学習を始められます。その際に、親子で「授業でこんなことがあった」という話をしていただくのも、授業の内容を定着させるために効果的です。また、こうしたノートやメモの取り方を意識することによって、「自分に必要なことを残す」という意識が身につき、先々の学習にプラスに働きます。
 復習は翌日だけでは終わらないことが大半だと思います。やり残しやきちんと理解できなかった問題は別日に取り組むことになりますが、ここでもなるべく授業の記憶が残っているうちにやるのが理想です。特に6年生の後期に通塾日が増え、授業中に問題を解く時間が増えるときこそ、「授業の記憶が残っているうちに直しをする」「自分に必要なことを残す」という習慣や意識がとても重要になります。

学習する内容と順番を本人が考えることが大切
保護者は確認作業にかかわる

 家庭学習で「やること」は決めていても、「やる順番」は決めていないこともあるのではないでしょうか。「やること」を決めるだけだと、お子さんはやりやすいものから取り掛かります。その取り組み方も間違いではないのですが、「終わらなかったもの」が「やりたくないもの(苦手なもの)」になるケースもあります。できれば、その日にやることだけではなく、学習の優先順位を考えたうえでどの順番でやるかも決めてから学習を始めてください。それにより、「やることがまだ残っているから少し急いでやろう」「時間を決めてやろう」という意識も生まれるようになります。
 優先順位を考えるときは、講師から指示があったところ以外に、授業中に理解することが難しかったところやデイリーチェックで×が多かったところの優先順位を上げるとよいでしょう。授業での手応えは、誰よりもお子さんがいちばんよくわかっているので、保護者の方は、本人の感覚を尊重してあげることが大切です。
 保護者の方が共働きで、家庭学習をあまりサポートできないというご家庭も多いでしょう。そうしたご家庭の場合は、「何をやるか」「どこまでできたか」の2点をチェックしていただければ十分です。要は、家庭学習の始まりと終わりにかかわっていただくイメージです。その際に、「昨日、この問題ができていなかったから、今日はこれをやってみたら」「今日終わらなかったなかで、基本的な内容の問題は、明日やってみよう」といった声掛けをしていただけるとよいのではないでしょうか。こうした毎日の取り組みが、良い家庭学習のリズムへとつながっていきます。

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