受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

そこが知りたい!

総復習と基礎固めで土台をつくり、秋以降の学習に備えよう

親子で一緒に学習プランを考え
生活のリズムを整えよう

 暑い夏の間で心配なのは、「夏バテ」と「中だるみ」でしょう。学校が休みの期間に、夜遅くまで机に向かい、翌朝遅くまで寝てしまっては、生活のリズムだけではなく、体調も崩す恐れがあります。ふだんどおりの規則正しい生活を送るよう心がけてください。

 また、貴重な時間を有効に使うためには、夏休みに入る前に親子で一緒に状況を把握し、長期・短期両方のスケジュールを作るとよいでしょう。まずは「やるべきこと」の優先順位を決めて、夏休み全体の学習計画を考えます。そして、「サピックスのある日」と「サピックスのない日」のそれぞれについて、一日のタイムスケジュールを決めます。その際は、サピックスのホームページにある「マイページ」から、『夏休み学習スケジュール表』をダウンロードしてご活用ください。

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 駒場東邦中に進学したS・Sくんは、「夏期講習が始まってからは、毎日算数を中心にデイリーチェックとその日の授業を復習。『漢字の要』に取り組む時間もスケジュールに組み込みました。理科と社会はあまり復習する時間がなかったけど、とにかく算数と漢字はがんばりました」と話します。

 1日、1週間のスケジュールに新しいルーティン・流れを加えたのは、桜蔭中に進学したA・Mさんのお母さんです。「全部やりたいけど時間が足りない娘と、優先順位がわからない親とで悩む日々もありましたが、『朝フィフ』と名付けた5種類の学習に毎朝少しずつ取り組むルーティンを始めました。質問教室も利用し、直近の1週間でわからなかった問題はそこで解決する流れもつくりました」とのことです。

 また、体調を整えて、授業に集中するためには、朝は決まった時間に起き、計画に沿って家庭学習を行い、夜は早めに寝るという生活のリズムを守ることも大切です。

サピックス生が夏期講習で心がけたこと
サピックス生が夏期講習で心がけたこと図
 今春のサピックス卒業生が6年生の夏期講習を受講するに当たって心がけたこととして、最も多かったのは「苦手科目・分野を克服する」でした。秋からの実戦的な受験勉強に備えるため、夏休みのうちに苦手を克服しようという姿勢が伝わってきます。次に多かったのが「復習を徹底する」でした。夏期講習を活用して、これまで十分に理解できていなかった部分をしっかり復習したいということでしょう。「基礎力をつける」「先生に指示された問題は必ず解く」「全体的なレベルアップを図る」といった意見も多く見られました。

適度な息抜きでリフレッシュ
子どものやる気を引き出す

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 スケジュール作りで注意したいのは、予定を細かく決め過ぎないことです。「苦手科目を克服する」という目標を定めたとしても、やることを詰め込み過ぎて余裕のないプランでは、計画どおりに進まなかった場合に修正できなくなってしまいます。その日のうちに「やるべきこと」をすべて消化できなくても、翌日、または次の週が始まるまでに遅れが取り戻せるよう、「予備の時間」を設けるのがポイントです。夏期講習がないお盆の期間に、それまでの進み具合をチェックして、プランを再調整するのも一つの方法です。

 また、やるべきことが予定よりも早く終わったときに、「時間があるから、これもやらせよう」と、安直に学習量を増やしてしまうことはあまりお勧めできません。せっかく終わらせたのに、空いた時間まで勉強を押し付けてしまうと、気持ちのゆとりがなくなってしまいます。せめて予定していた学習が早く終わったときくらいは、お子さんに好きなことをさせてリフレッシュを促すのもいいかもしれません。勉強以外のことをすべて排除せず生活にめりはりをつけるようにすれば、お子さんは前向きになり、やる気を出すこともあるからです。

 たとえば、慶應義塾中等部に進学したH・Nくんは、「勉強した時間の3分の1をフリータイムにするという制度を親に提案しました。大好きなゲームをするフリータイムを増やすために集中して勉強できました」と言います。

 筑波大学附属駒場中に進学したC・Wくんのお母さんは、「息子の家庭学習の姿勢は淡々としていて、気分転換に夫とサッカーやバドミントンをよくしていました。さらにはダイニングのテーブルで卓球まで始めました。のんびりした態度にはらはらし、サピックスの先生に相談すると、『授業中はがんばっています。負担をかけすぎずに見守りましょう』とのお返事。ただ学習量を増やせばよいわけではないのだと気づかされました」と振り返ります。

 6年生のお子さんをお持ちのご家庭で、この夏を最大限有意義なものにするために大切なのは、お子さんの心と体の様子をよく見ながら、健康管理に気をつけ、日々の生活に適度なめりはりをつけて効率良く学習できる環境を整えてあげることです。親子それぞれにとって、悔いのない夏にしましょう。

がんばって固めた土台が
秋以降の学びを支えてくれる

 6年生の夏期講習では、これまでに学んだ基礎の総復習と、さまざまなタイプの問題演習を行います。それに続く夏期集中志望校錬成特訓では、本格的な志望校対策がスタートすることになります。これまで以上に入試を意識した実戦的な問題に触れ、9月以降に始まる難関校SS特訓にもつながっていくものです。夏期講習は18日間、夏期集中志望校錬成特訓は5日間なので、合計23日間の日程です。長丁場に思えるかもしれませんが、始まってみるとあっという間だと感じる人も少なくありません。この貴重な時間を無駄にしないために、心がけてほしいポイントをいくつかご紹介します。

苦手箇所を確認し、重点を置いて
学習すべき分野を把握

 夏期講習は中学入試における重要分野の総ざらいがテーマです。そのため、各回どれもが重要なのは間違いないのですが、中だるみの恐れもあります。講習のカリキュラムを前もってチェックし、どの回で自分の苦手箇所が出てくるのかを確認しておきましょう。「この回は集中度をいつもより上げて苦手分野を克服するんだ」という気持ちで授業に臨むことで、学習のめりはりが生まれます。保護者の方も、ぜひお子さんの苦手なところを指摘してあげてください。

学習計画が予定通り取り組めたかの
チェックも大切

 貴重な時間を有効に使うためにも、学習計画をしっかり立てることはとても大切です。しかし、事前の計画だとあれもこれもと欲張った計画を立ててしまいかねません。計画どおりに学習が進んでいるかどうかを日々チェックし、塾のない日を予備日として積み残してしまった部分の確認にあててみるのもよいでしょう。 また、新たな学習の課題が見つかるなど実際に取り組んでから気づくこともあります。そうした際には、全体の学習計画の修正も視野に入れるとよいでしょう。

夏休みは体調を崩しがち。
健康管理はしっかりと

 この時期は、外は猛暑…と思いきや室内は冷房がしっかりと効いていて、こうした急な温度変化で体調を崩しがちです。また、夜遅くまで勉強をがんばった結果、起きる時間もどんどん遅くなり生活リズムが乱れやすい時期でもあります。長丁場を乗り切るためにも、健康管理を最優先に考えましょう。第一に睡眠時間の確保。就寝・起床時間はしっかり守り、学校に通っているときとなるべく同じ生活リズムで過ごすように心がけましょう。また、「こまめな水分補給ができるように塾には水筒を持参する」「冷房で体を冷やしすぎないように、脱ぎ着しやすい上着を準備する」といった工夫で体調を崩すリスクを下げられます。

「極力授業内に解決しよう」
という意識を持つ

 夏期講習の授業はふだんよりもボリュームがあり、日々の復習だけでもなかなかの負担になります。ましてや、「今は聞いていてもよくわからないけど、家で復習すれば大丈夫か…」といった心持ちでは、学習効率は下がるばかりです。「この知識が頭に入っていれば、同じタイプの問題はもう間違えないぞ」「この解き方は忘れていたな、今しっかり身につけてしまおう」といった学習姿勢を積み重ねることで、1回1回の授業がたいへん実りあるものとなっていきます。2学期になると学校の授業が始まり、塾でもSS特訓が始まります。すると、家庭で取り組める学習時間が思ったより取れないことに気づくものです。そのときにも「授業内で解決する」という意識が非常に大切になるので、今のうちから身につけておきましょう。

 夏の学びは入試に直結します。夏期講習や夏期集中志望校錬成特訓でがんばるほど、しっかりとした土台ができ上がり、秋以降の学びを支えてくれます。授業の内容をしっかりと吸収し、受験本番へとつなげましょう。

教務本部 小河原 信介

23年8月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.3:
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