受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

そこが知りたい!


先輩保護者の体験から学ぶ入試までのサポート 入試直前の大事な時期をどのように乗り越えたのか

 入試本番まで残りわずかとなりました。「ここから、わが子をどうサポートすればよいのだろう」と、不安や焦りを感じている保護者の方もいらっしゃると思います。本番を迎えるまでの大事なこの時期、先輩保護者の皆さんはどのように過ごしていたのでしょうか。ここでは「精神面」「学習面」「生活面」など、さまざまな角度からの体験談をご紹介します。

※掲載しているグラフは、2023年4月に中学校に入学したサピックス卒業生に対して実施した「受験生活に関するアンケート」の集計結果をもとにまとめたものです。

精神面 努力するわが子に寄り添い
前向きになる声掛けを

 子どもたちは、志望校への合格を目標にして、これまで一生懸命に努力を重ねてきました。しかし、試験日が近づいてくると気持ちが不安定になり、自信をなくして落ち込んでいる様子を見せることもあるでしょう。そんなとき、先輩保護者の皆さんは、お子さんにどのように接していたのでしょうか。

 「6年生後期に偏差値やクラスが下がっても、『志望校対策をしているのだから仕方ない』『家庭学習をしなくても、SS特訓で丸一日がんばっているのだから』とわたしたち親は見守り、食事や睡眠をきちんととれるように心を配りました」(栄光学園中)

 「重要なのは最後の仕上がり具合なので、模試の偏差値や合格可能性などのわかりやすい数字に一喜一憂しないようにして、必ず間に合うと信じて、先のことを考えました。良い受験にするためにも、『睡眠は削らない』『親子ともども笑顔を絶やさない』『娘が鼻歌を歌っているなら大丈夫!』と考え、受験校に関しては、欲張ってあれもこれも受けないなど、心身ともに健康な受験を心がけました」(桜蔭中)

 「12月のサピックスオープンまで、優れた成績を残すことなく正月を迎えました。国語に関しては、ここまでくると対策が思いつかなかったのですが、ある日、『選択肢問題をほぼパーフェクトにするだけで、ものすごく点数が上がる。だからすべて正解するつもりでやってみたら』と声掛けをしたところ、突如、別人になったように正答率が上がりました」(豊島岡女子学園中)

 お子さんの精神面でのサポートに苦労した経験があるご家庭は多いようです。受験勉強中に悩み事が生じたときに、子どもたちが相談することが多いのは、やはり身近な存在である家族です(図1)。周りの大人たちが、「子どもの気持ちを受け入れ、自信を持たせる」という姿勢で支えていくことが大切ですが、保護者の方も「じっと見守る」のは簡単ではありません。子どもの態度を見て不安になり、つい口を挟みたくなることもあると思います。先輩保護者はどのように接していたのでしょうか。

 「サピックスの保護者会でも『この時期、怒っても何一ついいことはありませんよ』と釘を刺されました。今思えば、息子が『やりたくない』『行きたくない』と、さんざんネガティブなことばを発していたとしても、結局は最後までやり切ったことに注目すべきでした。夜遅くに授業から帰ってきたときに『どうだった?』と聞いて返ってきた『まあまあだった』という返事にも、息子なりの充実感や先生方への信頼感が読み取れたはずです」(開成中)

 「地理・歴史があまり得意ではなかったので、歴史については、気分転換と歴史の勉強を兼ねて大河ドラマを見せました。ドラマで描かれていた時代のみとても詳しく得意になり、何よりも歴史を好きになってくれたのがよかったと思っています」(吉祥女子中)

 「受験生なのに漫画やピアノ、動画視聴、お絵描きにこんなに熱心で大丈夫なのかと、不安になりました。家庭内バトルを最小限にするため、最低限の家庭学習は何かを考えてできるだけ整理し、心配なことはやはりサピックスの先生に相談しました。そうすると、結果的にやらなくていいことには手を出さずに済み、取り組むべき課題が整理され、落ち着いて子どもを応援しやすくなりました」(桜蔭中)

 思うような成果が得られなくても、「入試前に課題が見つかってよかった」と前向きにとらえると、お子さんのモチベーションも保てるのではないでしょうか。間違っても、「今のままではどの学校も受からないよ」などとは言わないこと。精神面のサポートで何よりも大切なのは、「努力するわが子に寄り添う心」です。

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受験勉強中の悩み事をいちばん相談したのは誰ですか?

【単一回答】(有効回答数232)

グラフ1

どうしたらよいか悩んだときは
講師に相談しアドバイスを活用

 受験生活ではさまざまな困難にぶつかり、「どうすればよいのかわからない」と悩むこともあるでしょう。そんなときは、サピックスの講師に相談し、具体的なアドバイスを得ると、解決に向かうケースもあります。

 「苦手な国語の状況を変えようと思い、先生にお電話させていただいたことで転機が訪れました。大好きな国語の先生が息子に直接お話をしてくださったことが息子の心に響き、質問教室に行くようになりました。『国語ができるようになりたい』と言うまでになり、質問教室で教えていただいたことをわたしにうれしそうに説明する姿を、今でも鮮明に思い出します。最後のマンスリーテストの国語は過去最低の偏差値でしたが、それでも息子が落ち込まずに自信を持ち続けられたのは、質問教室でいつも先生が優しく温かいことばで励まし続けてくださったおかげです」(海城中)

 「直前期は知識の確認に取り組むべきだと思っていましたが、先生の助言は苦手分野の算数と理科に取り組むことでした。しかも、算数は『ここをやるように』という具体的な指示までいただきました。娘はその課題をこなしていき、1月の冬期講習後のSS特訓の算数では、それまでとは違う点数を取ることができるようになり、『なんか解き方がわかってきた』と言っていました。それまでは算数の点数は一定でしたが、最後の1か月で力が伸びたことは今でも驚きです」(フェリス女学院中)

 「国語の記述が苦手で、保護者個別面談のときに先生に相談させていただきました。先生は『秋以降、演習の機会がたくさんあり、そこで伸びるから大丈夫です』とおっしゃいました。実際に記述力が伸びてきて、本番でも得点源になりました。生徒のことをいちばん近くで見てくださっていて、豊富な経験・データに裏づけされた先生方のアドバイスは信頼できるのだなと実感しました」(筑波大学附属駒場中)

学習面 これまでの教材を活用して
解けなかった問題を復習

 9月に始まったSS特訓も後半戦に入ります。子どもたちは、志望校の出題傾向に沿った「志望校別講座」と、強化したい科目を集中的に学習する「単科講座」で着実に力を伸ばしています。12月末から1月初めにかけては「冬期講習」(首都圏のみ)や「正月特訓」などの直前講習が行われ、入試本番に照準を合わせた授業が続きます。

 この時期に、多くのご家庭が学習面で重視しているのは、復習を中心にすることです。知識を確実に定着させるためにも、これまでの授業内容を振り返り、プリント・教材・模試などで解けなかった問題をやり直すことがとても重要です。

 「寝る直前に暗記ものをやり、翌朝に同じ内容を復習するという方法は本当に効果的でした。まずは、苦手だった年号から始め、その後、データバンクや『知識の総完成』などを受験前日まで続けました。また、冬からは新しいことはやらず、さまざまなテキストから間違えた問題を妻が抜き出して切り貼りしたものを娘が解き直しました。おかげで、基礎力を上げることができました」(鷗友学園女子中)

 「息子は、家庭学習をみずから進んでやるタイプではないため、細かいスケジュールを組みました。算数の『基礎力トレーニング』、理科と社会および算数の前回の復習を怠らず、理科と社会の『コアプラス』と国語の『漢字の要』『言葉ナビ』にまめに取り組むこと、授業での小テストで高得点を取ることを目標としました」(渋谷教育学園幕張中)

 サピックスでは、志望校に合格するために必要なことを、各学年の最も適切な時期に学ぶようなカリキュラムを組んでいます。講師も、一人ひとりの性格や状況に合わせてフォローをしているので、これまでに学んできたことを着実に身につけるのが合格への近道です。まずは授業に集中し、ご家庭では復習に重点を置いた学習を心がけましょう。

志望校の過去問演習で
本番をシミュレーション

 この時期、復習と同様に重要なのが、志望校の過去問演習です。出題傾向をつかむために必要なのはもちろん、制限時間や解答欄の大きさを実際の入試と同じにして解くことによって、本番に近い形でシミュレーションができるという点でも大きな効果があります。

 「12月から本格的に過去問に取り組み始め、毎回、必ず振り返りと解き直しをしました(志望順位の高い学校は2〜3周)。算数の超難問については、挑戦はしても早めに切り上げました。国語は問題を記憶してしまっていたので、解き直しはしませんでした。また、毎回の結果を記録することで『算数でどうにか持ちこたえ、残り3教科でカバーする』という、わが子の勝ちパターンも見えました。過去問データが日々増えていくこと自体も、本人にとって『これだけがんばっているんだ!』と自信になったようです」(早稲田大学高等学院中学部)

 「過去問については、時間を計って3周ほど取り組みました。国語は1周のみでしたが、サピックスで添削していただけるのがとても助かりました。最初は、時間が不足していましたが、徐々に時間内に解けるようになってきました。入試直前まで、過去問演習をしたことがよかったと思っています。苦手だった社会も正答率がかなり上がりました」(吉祥女子中)

 過去問演習は、実力を確かめるためというよりも、むしろ弱点を見つけ、その対策を立てるために活用するものです。間違えた問題は、なぜ間違えてしまったのかをしっかりと分析し、正解を導けるようにしておくことが重要です。保護者の方が問題の難度を見ながら上手にスケジュールを立てると、お子さんも効率良く取り組めるようになります。

2

9月にSS特訓が始まってから、学習に取り組む姿勢や学習方法などに何か変化はありましたか?

(自由回答を以下の6項目に分類して集計。有効回答数144)

グラフ2

※「学習時間が増えた」「復習を徹底するようになった」「基礎力をつけることに重点を置くようになった」「負けたくないという気持ちが芽生えた」など

3

SS特訓を受講して、お子さん自身に変化が見られましたか。

(自由回答を以下の6項目に分類して集計。有効回答数239)

グラフ3

※「みずから解けない問題に向き合うようになった」「長時間の勉強に耐えられるようになった」「精神的に鍛えられた」「時間の使い方を工夫するようになった」など

23年12月号「そこが知りたい!」シリーズ Vol.5:
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