受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

国士舘中学校

2022年6月18日(土)

武道と書写で集中力と忍耐力を養い、「誰一人取り残さない教育」を実践

 国士舘中学校・高等学校は、世田谷区の閑静な住宅地にキャンパスを構える、共学の中高一貫校です。国士舘大学の併設校として、「こころの教育」を重視し、礼儀作法や倫理・道徳観などを身につけながら、社会生活に必要な「生きる力」の養成をめざしています。

 この日のオンライン説明会の冒頭、校長の岩渕公一先生が「本校は、1917年創立の私塾、国士舘が出発点です。教育の根底にあるのは、創設者の柴田德次郎が師と仰ぐ吉田松陰の教えです。常に温かく生徒を見守り、誰一人取り残さない教育を実践しています」とあいさつしました。

 続いて、教頭の神山優子先生が教育内容などを詳しく説明しました。最初に紹介したのは、同校が重んじる武道と書写についてです。中1では、剣道と柔道が必修です。中2以降はどちらか一つを選択し、さらに鍛錬を重ねます。そこでは「礼に始まり礼に終わる」という武道の精神に触れ、相手の立場に立って行動することの大切さを学びます。また、書写も必修です。作法室と呼ばれる書写専用の教室で、正座して取り組む時間は、集中力や忍耐力の養成にもつながっています。

 同校の教育の柱は「心学」と「活学」です。「心学」は道徳や思いやりを、「活学」は実践力を意味し、これらを伸ばす3要素として「読書・体験・反省」を掲げています。中学では、特に「体験」に比重を置き、五感を使って自然やアクティビティーを楽しむ機会を多く設けています。たとえば、中1の4月のオリエンテーションでは、長野県の白樺湖で山登りや和紙作りを行い、中3の9月の下田移動教室では、シーカヤックやシュノーケリングなどを体験します。10月の芸術鑑賞会では、劇団四季や宝塚歌劇団のステージを見るなど、さまざまな経験を通して「活学」を習得していきます。

 国際教育にも力を入れています。ネイティブ講師による英語の授業を各学年で行っているほか、台場のTOKYO GLOBAL GATEWAYや、福島県のブリティッシュヒルズでの英語研修も実施。神山先生は「間違いを恐れず、自分から話し掛ける姿勢を重視した指導で、コミュニケーションツールとしての英語力の獲得をめざしています」と話しました。

 また、中学から大学までが一体となり、国士舘全体で取り組んでいるのが防災教育です。東京消防庁、世田谷区地域振興課(防災係)及び本学防災救急救助総合研究所の協力で、VR防災体験車を使った地震や火災の疑似体験を行うほか、救命講習やAEDの使い方なども定期的に学びます。防災意識の向上はもとより、命の尊さを再認識する機会になっているそうです。

 学習面の特徴は、正課終了後に全学年で「放課後学習」と呼ばれる自習時間を30分ほど設けていることです。「担任が教室にいるという安心感の下、復習や予習など、生徒自身が必要と感じる学習に取り組みます」と神山先生。また、「K-Improve」と呼ばれる、専門スタッフとチューターが常駐する自習室もあります。夜8時30分まで利用でき、弱点克服やさらなるステップアップに活用されています。

 同校では、中2に進級する際に、他大学受験をめざす「選抜クラス」と国士舘大学進学をめざす「進学クラス」に分かれます。途中、成績による入れ替わりはあるものの、高1まではその2クラス体制で進みます。高2と高3では、クラスは文理別・希望進路別に編成。卒業生のうち約半数は国士舘大学に、約4割は他大学に進むそうです。

 最後に、2023年度入試についての説明がありました。試験は、2月1日・2日・3日・5日の4回。いずれの試験も、算数・国語の2科と面接が課されます。合否には面接が占める比重が大きいそうですが、神山先生いわく、「受験生が返答に困るような、難しい質問はしません。問われていることに対して的確に答えられるか、正しいことば遣いができるかといった基本的なポイントを確認します」とのことです。

イメージ写真 校舎各階にあるサンルームのような円形広場は、生徒たちにとってお気に入りの場所でもあります

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