受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立両国高等学校附属中学校

2022年8月24日(水)

質の高い授業と特色ある中高一貫教育で、高い「志」を実現

 1901年に設立された東京府立第三中学校を前身とする東京都立両国高等学校は、芥川龍之介や堀辰雄といった文化人や著名人を数多く輩出していることで知られる伝統校です。2006年に附属中学校を開設してからは、併設型の中高一貫教育校として歩んできましたが、今年度から高校募集を停止し、完全中高一貫教育校として新たなスタートを切りました。

 オンラインで開催された説明会の冒頭、校長の金田裕治先生は、「本校は120年以上にわたって『自律自修』を校訓に掲げており、授業を最も大切にする学校です。学校の授業だけで国公立大学や難関大学に合格できるよう指導しています」と力強く語りました。同校では土曜授業も取り入れて、授業時間を十分に確保しています。ほぼすべての教科で専任教員による質の高い指導が行われているのも特徴です。

 次に、金田先生は4本の柱として、「理科・数学教育の充実」「志学(こころざしがく)の推進」「英語によるコミュニケーション能力の育成」「言語能力の育成」を挙げ、それぞれについて説明しました。

 まず、理科教育では、中1から高校と共通の施設を使用して、数多くの実験・観察に取り組みます。「物理・化学・生物・地学の分野別にそれぞれ専門の教員が授業を担当し、教科書にある実験はすべて行っています」と言う金田先生。一方、数学は答えに至る過程を重視し、授業のなかで複数の解き方を発表させるなどして、数学的な思考力を育てています。

 キャリア教育である「志学」にも力を入れています。「総合的な学習の時間」を使って、望ましい職業観・勤労観を培うとともに、職場体験や、生徒が企画立案する林間学校などの行事を通して、みずから進むべき進路を決定する力を育みます。

 英語教育については、中1からネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業があり、スピーチやディベートにも挑戦します。英検®とGTECを全員が受検するなど、検定試験にも積極的に取り組み、現高1生は85%以上が中学卒業までに英検®準2級以上を取得しました。また、現在は中断していますが、中3の希望者全員が参加する10日間のアメリカ語学研修も行われていました。言語能力に関しては、レポート作成や発表の機会を充実させ、「読む・書く・聞く・話す」能力を養成して、全教科の学力向上をめざしています。

 特色ある教育活動を支えるための取り組みも紹介されました。東京都の「英語教育研究推進校」「海外学校間交流推進校」である同校は、実践的な英語力の育成に力を入れるとともに、国際交流を積極的に行っています。たとえば、カンボジアのバイヨン中高等学校と姉妹校提携を結んでオンラインで交流しています。また、高校では、外部の財団法人からの予算援助も受け、「世界に橋を架ける」というテーマで、さまざまな探究学習に取り組んでいるそうです。

 こうした教育の成果は大学合格実績にも表れ、2022年春の卒業生185名のうち71名が国公立大学に現役で合格しました。その中の3名は医学部医学科への合格です早慶上理などの難関私立大学にも多くの合格者を出し、卒業生数に占める現役合格者の割合は89.2%にも上ります。金田先生は、「中学から継続して朝学習に取り組み、外部講師による講演会、長期休暇中や放課後には講習なども実施して、生徒一人ひとりの希望進路の実現をめざしています」と話しました。

 クラブにはほぼ全員が加入しており、中高生が一緒に活動しているところも多いそうです。校内に食堂と厨房があり、中学生には専任の栄養士が自校で調理した給食が提供されます。

 高校募集の停止に伴い、2022年度より中学校の募集人員が増え、男子80名、女子80名となりました。これにより、競争率はやや下がりましたが、それでも5倍近くあります。金田先生からは、「適性検査では、教科横断的な問題も出題されます。知的好奇心を持ち、すべての教科をしっかりと勉強することがポイントです」とアドバイスが送られました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 JR・東京メトロ半蔵門線「錦糸町」駅から徒歩5分、都営新宿線「菊川」「住吉」駅から徒歩10分の校舎。全館に冷暖房が完備されています

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