受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

静岡聖光学院中学校

2022年9月10日(土)

アダプティブ・ラーニングとSTEAM教育で「世界で活躍できる若者」を育てる

 静岡聖光学院中学校・高等学校は、静岡県内唯一の男子の中高一貫校です。神奈川県の聖光学院とは、同じキリスト教教育修士会をルーツに持つ姉妹校で、今年4月から、聖光学院の校長である工藤誠一先生が、同校の校長を兼務したことでも話題になりました。

 オンライン説明会の冒頭、校長の工藤先生は次のようにあいさつしました。「約70年前、カナダから来日した多くの修道士が『世界で活躍できる若者を育成しよう』と心血を注いで開設したのがこの学校です。彼らの思いを受け止め、きめ細かい指導や多様性を認める教育を通して、生徒たちの才能を開花させていきたいと考えています」

 続いて、校長補佐・経営企画室長の田中潤先生が同校の教育内容について詳しく説明しました。同校では「授業・学習支援」「STEAM」「Project」「Globally Integrated English Program(GIEP) in English」の四つを柱とした教育を実践しています。まず、「授業・学習支援」で重視しているのは、インプットとアウトプットの両輪で知識の定着を図ることです。田中先生は、中学の理科で「気圧」を学習する生徒たちの様子を映像で紹介しました。テーマは「10mのストローでオレンジジュースを吸うことができるか」。生徒たちは、実際に教室の外に垂らした10mのストローでジュースを飲もうと奮闘しながら、自分の立てた仮説と実際の現象を比較し考察を進めます。田中先生は「一見、効率が悪いように見えますが、生徒の興味を喚起するテーマを取り上げて、インプットとアウトプットのサイクルを繰り返すことによって、深い教養を身につけていきます」と説明しました。

 今年度から始まった試みとしては、英語・数学の「朝学習」があります。タブレットを使って確認テストを解くと、その解答を通してAIが各生徒の苦手分野と得意分野を解析。個別最適化された問題が次々と課される「アダプティブ・ラーニング」と呼ばれる仕組みで苦手をつぶし、得意なところをさらに伸ばしていきます。また、放課後学習サポートとして、校内に「ASG(After school Special Guidance)センター」を設置し、週2回、中1~高1の寮生と希望者を対象に個別学習支援を行っています。専門職員が常駐しているので、苦手克服はもとより、発展学習にも集中的に取り組めるそうです。

 二つ目の「STEAM」は、科学・技術・工学・リベラルアーツ・数学を融合した教科横断型の学びです。その一環として、中1からプログラミングの授業が行われています。田中先生は、「大切にしているのは、“課題解決の意識”です。ただコードを書ければよいというわけではありません。プログラミングを通して、課題にどのようにアプローチしていけばよいかを生徒自身が考える機会をたくさん設けています」と強調しました。

 三つ目の「Project」では多種多様な探究学習を、四つ目の「GIEP in English」では英語学習や海外大学進学指導など、それぞれが相乗効果的に作用するよう統合された英語教育プログラムが紹介されました。

 同校には二つの寮が併設されています。田中先生は、寮生活のメリットとして「学習時間が確保できること」「密な人間関係が得られること」を挙げると、個別に学ぶ「アダプティブ・ラーニング」に、寮で友人と学び会う「リビングラーニング」の良さを取り入れることによって、「学力と人間力を磨く最適な環境が整っています」と話しました。

 2023年度中学入試の変更点は、一般入試と特待生入試を同時重複受験できるようになることです。試験会場は、静岡と東京(浜松町)の2か所が設置されます。田中先生は「過去問は学校ホームページから資料請求ができます。傾向を分析し、積極的に挑戦してください」と締めくくりました。

イメージ写真 文理融合型デジタル創造工房「BIGIRION Garage」での授業風景。プログラミングはもちろん、デジタルアートや映像の制作、音楽など、さまざまな創造活動が楽しめます

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