受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

神戸大学附属中等教育学校

2022年8月28日(日)

学習と探究を繰り返して
確かな知と思考を育成

 神戸大学附属中等教育学校は、神戸大学の附属中学校2校が統合されて2009年に誕生しました。中学までだった附属学校を「中等教育学校」とすることで、大学へとつながる学びを実践できる学校となりました。

 副校長の齋木俊城先生からは、まず「学習」と「探究」のスパイラルについて説明がありました。「『学習』は正解のある問いであり、正解により正確にたどりつくための学びです。一方、『探究』は正解のない問いで、みずから課題を見つけ出し、結論を導き出していきます。学習は探究のためにあり、探究は学習なしに存在しません。学習と探究を繰り返すことにより、確かな『知』と『思考』を育成していきます」

 この「学習+探究」は、大学入学者選抜(大学入試)の転換に対応し、学習によって身につけた学力は一般選抜に、学習と探究によって身につけた新たな知は、総合型選抜などに適応しています。

 10学部15学科を持つ神戸大学とはさまざまな面で連携しています。神戸大学は文系・理系の教員が半々でバランスが良いことも特徴。大学教員16名が、総合的な探究(学習)の時間に取り組む卒業研究(課題研究)をサポートしています。高大接続としては、神戸大学の学生と同じ講義を受講可能で、今年度は社会基礎学とデータサイエンス基礎学が対象となっています。

学年を超えたつながりも生まれ、
全員が卒業論文に挑む

 また、2020年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている同校では、データサイエンス、科学総合、探究情報、ESD(持続可能な開発のための教育)などの学校設定科目が充実。校内ではさまざまなテーマの研修会も開催されています。SSHの取り組みのなかで特に活発なのが、通称ASTA(アスタ)と呼ばれる「Advanced Science Technology Academy」の活動です。「ASTAは、興味のあることに対して自由に集まり、自由に研究する活動で、生徒たちは放課後いろいろなことに夢中になっています。オープンスクールのSSH体験授業はASTAの生徒が行っています」と齋木先生。

 学びの面では、生徒全員に卒業論文を課しているのが大きな特色です。3年生(中3)で4000字、4年生(高1)で8000字、5年生(高2)で1万8000字の論文を作成し、各学年でポスター発表も行います。「卒業研究(課題研究)の取り組みでは、6年生の「4学年協同ゼミ」が特徴的です。先輩は後輩からの質問にしっかり答えなければならないという意識が高まり、後輩は先輩にいろいろなこと聞くことができます。同じ研究テーマに、文系の先輩、理系の先輩のどちらもいるので、『なぜ文系に進んだのですか』といったことや、『4000字、8000字の論文をどのように書いたのですか』など、率直な質問もでき、縦のつながりができます」と齋木先生は話しました。

 進路に関しては、総合型選抜や学校推薦型選抜での難関国立大学への合格者が多く、その数は国公立大学合格者の3分の1に当たります。齋木先生は「4学年協同ゼミで、『発表する』『質問に答える』という経験を3年時から積んできているので、総合型選抜や学校推薦型選抜との相性も良いのでしょう。ただし大前提として、学力の土台がしっかり身についているので、一般選抜にももちろん対応できます」と話しました。

イメージ写真

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