受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

鎌倉女学院中学校

2022年9月16日(金)

「つなげて」「つかえて」「つくりだす」女性を育てる新カリキュラム

 東京開成中学校(現在の開成中学校・高等学校)の校長を務めていた漢学者の田辺新之助によって1904年に創立された鎌倉女学校は戦後、鎌倉女学院中学校高等学校となりました。「真摯沈着(しんしちんちゃく)」「尚絅(しょうけい)」の校訓の下、「心身ともに健康で、国際性豊かな人間教育」「知的で洗練された女性エリートの育成」をめざした教育を行っています。

 この日の説明会では、最初に校長の錦昭江先生があいさつに立ちました。錦先生は同校の歴史に触れながら、「創立者の田辺先生は、開成と同じように、最新の知識を授け、宗教色なく、不偏中正の立場で堅実な女子を育成するという考えを持って教壇に立たれていました」と述べ、常に先を見越して教育の刷新に努めてきた同校の姿勢を強調しました。

 また、1980年代から英語4技能の育成に取り組んできた同校では、真の国際理解につなげるために、鎌倉の自然・歴史・文化・社会を知る活動を通して日本を学ぶ「鎌倉学」、それを基盤にして世界を学ぶ「国際・環境学」という独自の科目を設置。さらに2021年度からは、知識や技能を「つなげて」新しい価値を生み出し、その価値を「つかえて」、新たな未来を「つくりだす」女性を育成する、“鎌女のつつつ”と呼ばれる新カリキュラムを立ち上げました。

 次に、この新しい学びの実践を支える「鎌女の英語」について、英語科の先生から具体的な教育活動の紹介がありました。同校では、「Communicative」「Global」を柱とし、「本当に使える英語」を身につけたうえで、世界に貢献できる人材の育成をめざしています。中1から「読む・聞く・書く・話す(やり取り)・話す(発表)」の英語4技能5領域をバランス良く伸ばし、「英語で英語を学ぶ」学習にも取り組みます。授業は「前回の復習」→「聞き取り・口頭確認」→「文字での確認」→「口頭練習・自己表現」→「宿題」のサイクルを繰り返し、インプットとアウトプットを重ねていきます。

 単語テストは課ごとに実施し、理解が不十分な生徒には追試を行います。その他のテストでも追試や補習を行いますが、低学年のうちに、わからないところをそのままにしない習慣をつけることが狙いです。また、リーディングでは、1人1台のノートパソコンを使い、自分のレベルに合った書籍を読むリーディングマラソンに取り組みます。ライティングでは、論理的思考を養うため、筋道を立てて文を書く能力を伸ばします。時間をかけて添削と修正を繰り返し、オリジナルのスピーチ原稿を書き上げたり、意見を瞬時に全員で共有したりと、さまざまな方法で学びを進めていきます。週に1回、ネイティブ教員による英会話の授業もあります。中学ではゲームの要素を取り入れて楽しく取り組み、高校ではハイレベルなプレゼンテーションの授業も選択可能です。

 国際理解プログラムは、中3でのニュージーランドターム留学、アメリカでの海外姉妹校交流プログラム、カナダでの英語研修、イギリスまたはニュージーランドでの1年留学、マレーシアとシンガポールでのアジア研修など多彩です。同校では英検®の取得も奨励しており、2021年度は高3の約9割が卒業時までに2級を取得しました。今後は高校卒業時までに準1級の取得をめざしていくとのことです。

 最後に、現在、横浜国立大学理工学部に在籍する卒業生が登壇。「『国際・環境学』での取り組みから、マイクロプラスチックの環境への影響に興味を持ち、理工学部への進学を決めました。鎌女ではグループワークや発表が多くて大変でしたが、さまざまな活動を通してリーダーシップやフォロワーシップを学んだことが、大学生活に役立っています」と話してくれました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 初代理事長の陸奥広吉が父・陸奥宗光から譲り受けた別荘地に校舎は建てられました

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