受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

カリタス女子中学校

2022年9月29日(木)

少人数制によるきめ細かい指導体制と、伝統の英仏複言語教育を実践する女子進学校

 カリタス女子中学高等学校は、カナダのケベック州で誕生したケベック・カリタス修道女会をルーツとしています。日本における戦後の学校教育を充実させるため3人のシスターが派遣され、1960年に学校法人カリタス学園が設立されました。それ以来、「カリタス」のことばの由来である「愛」を基盤とし、「祈る心」「学ぶ心」「交わる心」「奉仕する心」の四つの心を大切にした教育を行っています。

 説明会の冒頭、あいさつに立った校長の萩原千加子先生は、「本校が育てたいのは、『普遍的な愛を持って人に尽くす人間』です。そのために、『豊かな人間性を持った人間』『自ら学び探究する人間』『グローバルな視野を持ち、共生社会を作り上げる人間』を育てていきます」と述べました。

 同校の教育の根幹にはカトリックの教えがあり、その一日は朝の祈りから始まります。また、毎週木曜日を「奉仕活動の日」と位置づけられ、生徒全員が自分にできる奉仕に取り組んでいます。有志による奉仕活動グループ「アンジェラスの会」では、近隣の清掃活動やフードドライブ、東日本大震災の被災地支援なども行っているそうです。

 中学では、小学校からの内部進学生と、中学から入学した生徒とが一緒に学びます。そのため、異なる環境で育ってきた生徒が円滑に学校生活を送れるよう、校内のカウンセリングルームが中心となって「心の交流プログラム」という仲間づくりのためのトレーニングを行っています。生徒たちは自己と他者の考えを理解し、交わり方を見つめ直すことで相互理解を深めていくといいます。

 また、特徴的な取り組みとして英仏複言語教育が挙げられました。同校のルーツであるカナダの公用語が英語とフランス語であることから、開校当初からこの2言語を重視しています。中学では、1週間で「英語6時間、フランス語2時間」が必修となっており、高校進学時に第一外国語としていずれかを選択します。大学入試でフランス語を選択する生徒が毎年20名程度いるそうです。一方、英語では、一般クラスのほかに、中学入学時に英検®準2級程度の実力を持つ生徒を20名程度選抜してアドバンストクラスが設置されます。先取り学習は行いませんが、より深く、高度な内容に取り組み、調べ学習やプレゼンテーションなどを通して、英語を効果的に使う方法を身につけていきます。年度の途中からアドバンストクラスに移動することも可能なため、生徒全体の意識も高く保たれています。

 外部検定試験の受検にも力を入れています。英検®・仏検の受検者は年々増加しており、2022年3月の卒業生について見ると、全体の33%が中学で英検®2級を取得し、高3の卒業時までに65%が2級を、24%が準1級を取得しています。

 2020年度からは、さらなる学力向上をめざし、土曜講座や放課後講座の再編・拡大に取り組んでいます。英検®・仏検・数検の対策講座を増やした結果、数検については2018年度に計17名だった受検者が、2022年度は計156名と飛躍的に増加しました。また、大学受験に向けた講座や、総合型選抜の対策講座を実施したところ、高3生の約4割が総合型選抜で大学に合格するなど、その成果が着実に表れています。

 最後に、現在、お茶の水女子大学理学部数学科で学ぶ卒業生が登壇しました。「カリタスの教育は、将来の夢をかなえるためのものでした」と述べ、数検受検が数学に夢中になるきっかけとなったこと、「将来は女子の理数教育に尽力するため、数学の教員になりたいと考えていることを語りました。また、カリタスの文化として「先生が親しみやすい」「生徒同士で教え合う環境がある」ことにも触れ、「皆さんも6年間、本校で本当に価値のある経験をしてほしいと思います」と結びました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 蔵書数4万冊の図書館は電子図書館システムを導入し、紙とデジタルのハイブリッドな体制を整えています

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